WPA公認とランキングの仕組みを紐解く〜前編〜
ワールドプールシーンを知るための最もオフィシャルな地図
現在中国・上海で開催中の『2026 WPA PUDONG TANGCHENG 9-Ball China Open』(チャイナオープン)、来週末の19日(土)からスタートする日本開催の『第39回ジャパンオープン』、ベトナム開催の『男子テンボール世界選手権』、『サイゴン女子オープン』。この4大会に共通するのは、その全てがワールドプールシーンを統括するWPA公認のランキング対象トーナメントである点だ。
これまでBilliard Web CUE’Sでは、WPA公認トーナメントの情報を様々な形でお伝えしてきたが、ここでは大井直幸、河原千尋を両エースとして、この期間に数多くの日本のプレイヤー達が挑むトーナメントをより興味を持って追っていけるよう、WPAランキング、さらに公認トーナメント規定などについて2回に渡って詳しく紹介していきたい。
■世界の序列を表すオフィシャルランキング
ワールドプールシーンにおけるトッププレイヤーのランキングには現在、WPAランキングの他に、男子ではwnt.ランキング、女子では世界最高レベルの女子プロツアーであるWPBA(Women’s Professional Billiard Association)ランキングがあり、それぞれが独自に運用されている。
しかし、現時点で最もオフィシャルなランキングは、wnt.との対立終了後、wnt.主催イベントを「承認(Ratified)」トーナメントとして位置づけて協力関係を構築し、WPBAツアーをWPA公認としてランキング対象トーナメントに取り込んで体制を整えてきたWPAランキングと言って良いだろう。
最新のWPAランキングはオフィシャルサイトで確認できる
その結果、直近1年間のトーナメント結果を反映して発表されるランキングは、地域やツアーごとの垣根を超え、世界中のトッププレイヤーが、どこで何を成し遂げたのかを評価することのできる指標となり、このランキング順位により、世界選手権をはじめとするメジャートーナメントへの「シード権」が与えられることもあって、プレイヤーにとってもより重要度が増してきている。
■WPA公認のもう一つの大きな意味
主催者や団体にとってWPAとの関係性には別の側面もある。ランキングポイントが付与されるのは、あくまでWPAから「公認(Sanction)」を受けた大会に限られ、公認を受けるためにはトーナメントの規模に応じた公認料を支払うだけでなく、その他様々な規定をクリアする必要がある。それでもこの枠組みの中で大会を開催するのは、「WPA公認」こそが競技の公平性、ステータスの証であり、主催者にとっても大きなメリットがあるからだ。
中国のメガビリヤード企業であるJOYもWPAとタッグを組んで世界展開を進めている
WPAの公認を受けるということは、その大会が「世界最高のプレイヤーが集結する場所」として、WPAのプラットフォームで公式に保証されることを意味する。これにより、例えば政府からの助成金や企業スポンサーシップ獲得への道が開ける可能性が高まる。
ヘイボールのオフィシャルランキングでは、ジュリアン・セラディラが27位、奥田玲生が21位にランクされている
つまり、WPA公認とそれに紐づいたランキングシステムは、プレイヤーだけでなく、大会主催者にとってもステータスを維持するための「インフラ」として機能しているのだ。このことは近年WPA公認となったヘイボールの急速な世界的な浸透からもわかる。さらに言えば、この相互作用が健全に働いているかどうかが、その国のビリヤードの競技レベルと普及・発展のレベルを測る一つのリトマス試験紙となるとも言えるだろう(次回に続く)。
写真提供:WPA













