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【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA杉山功起プロ編_02

2026.04.23

世界トップとの「確率」の差。アベレージを底上げする思考

今シーズンの国内戦は3位タイ、優勝、3位タイ、5位タイと全てベスト8以上

現在、『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)で最も勢いのある若手の一人が、プロ入り4年目の杉山功起だ。2025年には年間2勝を挙げ、男子ランキング3位へと躍進。2026年も開幕早々にグランプリイーストで優勝を飾るなど進撃が続き、今月も中国・青島で開催中のDUYAゴールデンナインに挑戦。精度の高いシュートと、スピーディな決断力、そしてゴールデンナインへの参戦を経て手に入れた「世界基準の思考」。今回は3回シリーズでビリヤードプレイヤー、杉山功起に迫る。


●プロフィール
名前:杉山功起(すぎやま こうき)
生年月日:2000年10月7日(25歳)
プロ入り年:2021年(JPBA55期生)
出身地:岐阜県
JPBA公式戦優勝数:3
スポンサー:BIK JAPAN、NAVIGATOR、OROCHI

連載第2回は、杉山プロが見据える「世界トップレベル」との具体的な差、および自身の内面的な進化について掘り下げる。世界のスターのショットレベルと内容に「衝撃は受けなかった」という杉山だが、トーナメントで見せる驚異的なアベレージの高さと「底辺のレベル」に差があることを痛感した。ミスに対する執着を捨て、次のターンへ100%の集中を向けるための「メンタルの安定」がいかにして育まれたのか。国内トップ、そして世界の王座を狙うための現在進行形のアップデートを追う。

【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA杉山功起プロ編_01

●中国遠征の相乗効果。プールが「楽」になった

——中国での経験をプールと上手く両立、あるいは置き換えて、相乗効果は出ていますか?
杉山:そうですね。グランプリ第1戦の優勝は、やはり中国に行っていたからだという感じがしました。ゴールデンナインはシュートが非常に難しいので、集中力がかなり必要とされます。その経験があったから、プールの方ではシュートに対して「楽さ」が感じられ、幅広くテーブルを見ることができました。あの遠征後のグランプリでは、球を外す気がしないくらい気持ちが楽でした。

——シュートに対する意識や持っていき方が全然違うように見えました。開幕戦から「3位・優勝・3位」というのは、MVPを狙えるレベルだと思います(この後の関東オープンは5位タイ)。
杉山:(笑)頑張ります。

——先程の話に戻りますが、自分の中では去年よりだいぶ良くなっている実感があるということですが、逆に世界のトップと戦って「ここが足りないな」と感じた部分はありますか?
杉山:全体的に一つひとつのレベルが一段階違いますね。ただ、やっているビリヤード自体は僕でも理解できる内容でしたから、衝撃を受けた訳ではありません。ただ、とにかく一つひとつのレベル、ショットの正確さや細かい部分のレベルが上だなという印象です。あとは経験値ですね。トップ選手はあの独特の雰囲気に飲まれない。経験値と細かいレベルの違いを一番感じました。

●世界のスターを追うための「アベレージ」と「吹っ切り」の思考

——プレー自体に驚かなかったということは、例えば世界のトップの精度が80%の部分が、杉山プロは40%だったというような、確実性の違いということでしょうか?
杉山:恐らくそうですね。自分も試合をしている身なので、観客のような見方はしていませんが、ハイレベルな試合を出す「確率」の差です。アベレージが向こうの方が高いので、そこに勝つのは大変です。「底辺(最低限)のレベル」が高い。それは強く感じます。

——どんなに調子が悪くてもこれだけはやる、という最低ラインですね。例えば世界のトップがその「最低ライン」の状態で、杉山プロが「最高のパフォーマンス」を出した時なら勝てると。
杉山:勝てると思います。

——フェダー・ゴーストが「今日はあまり良くないな」というパフォーマンスで、杉山プロが「最高だ」という噛み合いなら?
杉山:それなら全然チャンスがあると思います。ビリヤードは一方的に進められる競技ですから。ただ、そのパーフェクトに近いアベレージを出せる確率に、まだ大きな差がある。誰にでもチャンスはありますが、その確率が桁違いなんです。

——今の自分の中で「納得のいく良いパフォーマンスができた」と思える確率はどれくらいですか?
杉山:まだ50%もないと思います。自分が納得できるのは3〜4試合に1試合くらいでしょうか。

——それが少なくとも2試合に1試合くらいにならないと優勝は難しいと。
杉山:難しいですね。冷静に見て、やはり何か反省点はあります。ただ僕の場合、その反省点は「完全に改善できるミス」なんです。例えば、余裕が出すぎてしまったミスなんかは自分で止められるものなので。そういったミスがまだ3〜4試合に1回くらい出てしまいます。攻める場面でバンクを狙って外すようなものは、僕の中ではミスとは感じません。

——自分のチョイスとして集中して行けたのならOKだと。
杉山:そうです。そうではなく「どうだったんだろう」というような迷いが出るのがミスなんです。

——以前はプレッシャーを感じたり、ミスを引きずったりする方でしたか?
杉山:かなり引きずる方でした。自分のミスに自分でイライラして悪循環になる傾向が多かったのですが、最近は割り切れるようになっています。ミスを理解するというよりは、吹っ切ることができている状態です。ミスを自分の中で消して、次のターンに集中するというバランスが、前よりできるようになりました。以前はそう思っても体がついてこない部分がありました。

——以前はグランプリの試合などを見ていても、顔に出ていましたよね(笑)。
杉山:はい、だいぶ出ていました(笑)。

——そのあたりが改善されてメンタルが安定してきた。それは技術に裏打ちされた結果でしょうね。強くなろうと思ってなれるものではないですから。バランス良く上がってきているなと思います。
(以下、次回に続く)

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