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【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA杉山功起プロ編_01

2026.04.21

中国遠征がもたらした「外れる気がしない」メンタル

杉山は今月も優勝賞金4,000万円のゴールデンナイン本戦に出場

現在、『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)で最も勢いのある若手の一人が、プロ入り4年目の杉山功起だ。2025年には年間2勝を挙げ、男子ランキング3位へと躍進。2026年も開幕早々にグランプリイーストで優勝を飾るなど進撃が続き、今月も中国・青島で開催中のDUYAゴールデンナインに挑戦。精度の高いシュートと、スピーディな決断力、そしてゴールデンナインへの参戦を経て手に入れた「世界基準の思考」。今回は3回シリーズでビリヤードプレイヤー、杉山功起に迫る。


●プロフィール
名前:杉山功起(すぎやま こうき)
生年月日:2000年10月7日(25歳)
プロ入り年:2021年(JPBA55期生)
出身地:岐阜県
JPBA公式戦優勝数:3
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絶好調で幕を開けた2026年シーズン、自身のプレーに劇的な変化をもたらした「中国遠征」裏側にあったものとは……。これまでの国内での戦い方から一変し、シュートに対して「楽な気持ちで臨めている」と語る杉山、第1回では、プールとは異なる競技特性を持つチャイニーズプールの経験が、いかにして彼のシュート力と集中力を研ぎ澄ませたのか、若き才能が掴んだ「外れる気がしない」というメンタルバランスの本質を紐解いていく。

●「厚みが自然に見える」感覚とシュートの選択

——早速ですが、昨年は優勝2回の他、アベレージもかなり上がってJPBA男子ランキング3位になりました。今年に入ってからも、グランプリイースト第1戦でいきなり優勝となかなか良い感じでスタートできたと思うのですが、2026年に入っての感触はどうですか?
杉山:はい、去年も優勝できましたし、毎回そこを目指してやっているのはもちろんなんですが、あまり「優勝、優勝」と考えてしまうと変にプレッシャーにもなるので、一つひとつの大会に集中するように考えています。今年は関西オープン3位、グランプリイースト第1戦で優勝、第2戦は3位タイですからアベレージは保てているのかなと思います。

グランプリイーストでは年を跨ぎ2連勝

——むしろ上がっていると思うのですが、そのあたりはどうですか?
杉山:そうですね(笑)。海外戦に行ったことで、技術だったりメンタルだったり、レベルが少しずつ上がりました。あとはDUYAゴールデンナインに参戦して、また違う面からビリヤードのいろいろなものが見えたりもしたので、その辺りでさらにレベルアップできている部分は確かにあるなと感じます。

——全体的にレベルアップしたことにより「今取り組むべきことはこれだ」という部分も見えてきていると思いますが、具体的に何かありますか?
杉山:もちろんセーフティもありますが、今僕が思うのはシュート力。ただ、そのシュート力とは何かとなると「選択」が大きいです。選択と、その球に対する集中力の使い分けですね。

——それは、今まで曖昧だったところが一球に向かう時にはっきりしてきた、ということでもあるのでしょうか?
杉山:そういうところもあります。あともう一つ大きいのは、これまでよりさらに自然に入る厚みに当てられるようになってきている感覚があることです。違う言い方をすると「適当にやっても入る印象がある球」が増えている。今の自分の持っている厚みのイメージ、球のイメージが結構良いのでそれができているのかなと思います。

——なるほど。
杉山:配置をパッと見て、厚みを見に行かなくても「入るな」と自分の中で思える。一応ルーティンとして厚みを見に行きはしますが、その辺りの幅広さが増えています。試合中に無駄な体力を使ってしまうことが減っている感じです。

●ゴールデンナインで痛感した「攻め」の姿勢

——元々そういう感覚はあったと思いますが、それが増えてきた要因は何でしょう?
杉山:やはり今まで感じたことのないメンタル、特に海外戦で緊張感の中で試合をしてきた経験ではないでしょうか。今までビリヤードを難しく考えていたのが、経験を経てちょっと簡単に思えてきたような感覚が自分の中にあります。

——確かに今年のプレーを見ていると以前より自然に向かっていますね。そこに不安などの要素が少ないように感じます。ご自分の中に確固たる自信があって、構えた瞬間に、どんなシチュエーションでも「このショットをする。それならこれだ」というのが見えていると。
杉山:はい。基本、球を外す時は、ネクストなどの邪念が何かあるからだと思っています。少しでもそういった邪念やストレスをなくして試合をしたいので、頭の回転を上手く使えているのかもしれません。パッと思い浮かんだ一つ目の球の選択に間違いがない。その選択をしてミスせずに撞けているので、最近は球に対してのストレスがだいぶ少なくなってきました。

2月の中国遠征では65位タイ

——その中では、2月のゴールデンナイン(DUYA LEGENDS GOLDEN NINE MASTERS)では、決勝トーナメント入りは惜しくも逃しましたが、しっかり賞金圏内には入りましたね。
杉山:はい、自分でも結構頑張ったと思ってます。

——やはりヘイボール(エイトボール)よりは戦いやすいでしょうか?
杉山:ヘイボールとゴールデンナイン、どちらの試合にも出ていますが、エイトボールは相当な知識がないときついです。テーブルに慣れるのと、エイトボール独自のルールに慣れることが必要です。ナインボールならある程度わかるので、テーブルにもっと慣れて経験を積めば、もう少し上手く戦えるのではないかという印象を受けました。

——試合を見ていましたが、しっかり大金(マスワリ)も出して得点も取っていました。 DUYAの試合では、シュート力が重要だと仰っていて、チャイニーズプールはハードなショットでズバッと入れていくパターンが多いですが、それを普通にやっていましたね。
杉山:はい、もう行くしかない、と思ってました。

——基本的にゴールデンナインは「入れ倒している」感じですよね。
杉山:そうですね。向こうに2週間近くいて、どこに行ってもあのテーブルしかないのでかなり撞いたのですが、他の選手の試合を見ていても、やはりマスワリや取り切りをしないと勝てないので「行くしかない」という気持ちでした。日本の選手は「テーブルが難しい」という意識からセーフティ多めになりがちですが、向こうはもっと「イケイケでイレイレ」という感じです。

昨年11月、日本で初開催されたゴールデンナイントーナメントで優勝(写真右は準優勝の谷みいな)。写真中央が中国で絶大な人気を誇るレフェリーの王鐘瑶さん

——昨年日本に来てくれたチャイニーズプールの審判の方(王鐘瑶)も「日本の選手は賢い、セーフティをよくする」と。
杉山:言っていましたよね。本当にその通りだなと思いました。でもそれだけでは勝てないというのも事実です。

——ゴールデンナインは手応え感じましたか?
杉山:ゼロではなかったです。もっと練習して慣れていけば、また一歩ずつ上を目指せるなという感じはありました。
(以下、次回に続く)

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