【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA河原千尋プロ編_03
悲願のWPAメジャー制覇、そして『ワールドトップスター』の領域へ
2025年シーズン、国内外で目覚ましい活躍を見せた日本女子ビリヤードをその実力で牽引する『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)所属の河原千尋(FR:753※2025年末時点)。国内では3年連続となるMVPを獲得し、海外戦では悲願のビッグタイトル『チャイナオープン』を制覇。FargoRate(ファーゴレート)750オーバーという世界的トップスターの領域に足を踏み入れた彼女に、激動の1年を振り返ってもらった全3回のインタビューをお届けする。
●プロフィール
名前:河原千尋(かわはら ちひろ)
生年月日:1985年1月5日(41歳)
プロ入り年:2005年(39期生)
出身地:大阪府
JPBA公式戦優勝数:46
スポンサー:MEZZ、EXCEED、斬TIP、BANDEL、Roi Marketing Design
最終回となる第3回は、2025年シーズンのハイライト『チャイナオープン』での海外メジャー初制覇の瞬間に湧き上がった感情と戦いを通して得た確信、さらに続いた遠征で気付いたプレイヤーとしての変化の必要性を中心に、FargoRate750超えの「ワールドトップスター」としての矜持、さらに河原プロの未来への展望に迫る。
【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA河原千尋プロ編_01
【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA河原千尋プロ編_02
●勝ち切るために何が必要かということを考えなきゃいけないところに来たな
——9月は遂に優勝を果たしたチャイナオープンでした。この試合は予選ラウンドこそともにヒルヒルになりましたが勝者側から決勝トーナメントに進出。そこからは周婕妤(台湾/FR:769)、クリスティーナ・トカチ(AIN/FR:747)という世界女王を下して準決勝の相手が、やはり世界タイトルを持つジャスミン・オーシャン(オーストリア/FR:757)でしたが、試合はいかがでしたか?
河原:相手の状態が悪かったいうのもありますけど、チャンスも多くて自分の状態はどんどん良くなっていった感じでしたね。でも上がり際、ここで決めておかないといけない場面で一発やってしまったのが良くなかったです。その後にチャンスが来て結果として勝てたのですが、相手の状態が悪かったお陰もあったと思います。
——上がり際で1発ミスした場面、見ている方はちょっと不安になりました。
河原:はい、私もちょっと不安になって危ないなとは思いましたね。でもロケットスタートのお陰で点差がかなりあったので、それが効いていましたね。
——ここを勝ち切って、決勝では劉莎莎(中国/FR:769)を下してWPAメジャートーナメント初優勝を達成しました。その瞬間はすごく喜びを噛み締めてるなという風に見えたんですが、改めてどんな感情だったんでしょうか?
河原:嬉しい以外にあったのかな? どういう感情が一番強かったかは迷うところですね。
河原千尋 vs 劉莎莎(YouTubeチャンネル『Kozoom Pool』より)
——何と何で迷いますか?
河原:嬉しいもあるし、ようやく優勝できたとか、もう今後は「果たして優勝できるのかな」という想いに追われなくていい安心感もありましたし、全部ですかね。
——私は個人的にその瞬間「これでもう今後はいくつも勝つようになるだろうな」と思っていました。
河原:確かに 「これでいいんだな、ちゃんと足りてる、通用してる」ということは思いました。やはり結果に表れないとわからない部分ですから、この優勝でそれが確信に変わったいうところが一番大きかったかもしれません。
——良かったです。これまで本当にあと一歩のところで勝ち切れなかった決勝戦を見てきましたので、まあいつかは勝つだろうと思ってはいましたけど、河原さんご自身の中に、そういう不安要素があって積み重なっているんじゃないかということも思っていました。
河原:気にしないようにしているだけで、おそらくどこかにあったのかもしれませんね。でも優勝できたことでそれがなくなり、単純に自信に繋がりました。
——その後の海外戦は4試合でテンボールとナインボールの世界選手権があり、この2つはものすごく期待していました。
河原:私ももちろん自信と期待を持って臨んだんですが、テンボール世界選手権では(マルガリータ・)フェフィロバちゃん(FR:734)に負けました(結果は9位タイ)。この試合は相手が上手かったので納得の結果でしたね。
——ナインボールはどうでしたか?
河原:付小芳(中国/FR:755)に負けて9位タイだったんですが、この試合は3セット先取で0-2から2-2に追いついて最終セットもマスワリで先行したんです。次のラックでマスワリできそうな配置でネクストをミスしてからは、取り切り、マスワリ、マスワリ、最後もすっと取られました。これもテンボールと同じで、やり切って負けたので後悔はないんですが、多分今年は、ここを勝ち切るために何が必要かということを考えなきゃいけないところに来たなと思っています。
2025年の海外最終戦、女子ナインボール世界選手権は9位タイフィニッシュ
——プレーも考え方も一段上のレベルに来ているということでしょうね。
河原:はい、来てると思います。
——そのことは河原さんのファーゴレートも示していると思います。2025年のスタート時が743でシーズンを終えた段階では753、数字上でもワールドトップスターの1人ですね。
河原:ファーゴレートはわりと気にしています。ハイレベルな戦いをたくさんして高いアベレージを保って、時に格上を倒して優勝するとかしないと中々上がらないし、数値が上がれば優勝できる確率がアップしていると思うので、それを上げることも目標ではありました。
——さて、これまで振り返ってきた2025年シーズンを踏まえ、河原さんは2026年の目標をどこにおいていますか?
河原:まずは、2025年と同じように海外戦にはどんどん挑戦していきます。昨年までは遠征の準備に追われたり、初めての土地でのトーナメント期間中の過ごし方など、不慣れな部分もあったりしましたが、かなり慣れてきたので、今年は昨年よりもっと試合に集中できるようにしっかり準備して試合に臨めると思っています。
——世界タイトルもぜひ狙ってください。
河原:はい、今年もまずはWPAランキング16位以内(現在は9位)、できればもっとランキングを上げてしっかりシードをキープするのが第一ですが、今年はまだ開催が決まっていないエイトボールを含めて、3つの世界選手権での優勝も目標です。国内では今年も出場できない試合は出ると思いますが、一戦一戦を大事にして、結果としてランキング1位を守れたら良いと思っています。
——河原さんの2026年シーズンは国内が24日〜25日(土・日)の関西レディース、海外戦は27日〜31日(火〜土)のアジア選手権からのスタートとなります。
河原:関西レディースは昨年決勝で(ソ・)ソアちゃん(FR:759)に負けて準優勝だったので、私も含めてJPBA女子でタイトルを奪還したいですね。決勝会場のDRAGONでは昨年の『BLUEROSE CUP』で一度プレーしたことがありますが、ここで皆さんに良いプレーをお見せできればと思っています。その後のアジア選手権は関西レディース直後の移動になるスケジュールですが、しっかり結果を残したいですね。
——両大会ともにタイトル獲得を期待しています。本日はありがとうございました。
河原:こちらこそ、ありがとうございました!
●河原千尋の2025年
・海外戦9試合出場(WPA5試合、WPBA【WPAランキング対象】1試合)
・最高成績:優勝(チャイナオープン)
・9戦の平均順位:12位
・FR推移:743→753(※2025年末時点)
・獲得賞金:54,422ドル(約860万円)












