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【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA河原千尋プロ編_01

2026.01.22

海外戦優先の中で3年連続JPBA女子MVPを獲得

2025年シーズン、国内外で目覚ましい活躍を見せた日本女子ビリヤードをその実力で牽引する『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)所属の河原千尋(FR:753)。国内では3年連続となるMVPを獲得し、海外戦では悲願のビッグタイトル『チャイナオープン』を制覇。FargoRate(ファーゴレート)750オーバーという世界的トップスターの領域に足を踏み入れた彼女に、激動の1年を振り返ってもらった全3回のインタビューをお届けする。

●プロフィール
名前:河原千尋(かわはら ちひろ)
生年月日:1985年1月5日(41歳)
プロ入り年:2005年(39期生)
出身地:大阪府
JPBA公式戦優勝数:46
スポンサー:MEZZ、EXCEED、斬TIP、BANDEL、Roi Marketing Design

第1回は、2025年の国内シーズンを振り返る。WPAランキング上昇を掲げ、海外遠征を優先するスケジュールの中で、いかにして国内ランキング1位を守ったのか。前半戦の好調から、悔いの残る『全日本選手権』ベスト8、そして3年連続MVP確定まで、揺るぎない国内女王の、知られざる葛藤と進化に迫る。

●いつもとは違った貴重な1位だと感じています

——まずは2025年の国内戦にについて伺います。シーズンが始まる前に「今年はこんなことをしたい」とか「こうしよう」といった目標は何かありましたか?
河原:国内戦の目標ですか……。これまでおそらく4勝が最高で、優勝回数については少し思いましたが、日本で5戦優勝するというのも試合数的に結構難しい数字ではあるので、それよりも『全日本選手権』で優勝したいということは常に思ってましたね。

——では目標達成のために2025年に向けて何か変化したことなどはありましたか?
河原:プレーキューのシャフトをカーボン(イグナイト/MEZZ)にしたことでしょうか。完全に移行したのは2024年の6月です。

——河原プロはずっとウッドシャフトでしたよね。
河原:そうですね。MEZZから発売されている新作のウッドシャフトは、歴代のものをほぼ全て試させていただいて、最終的にずっと使っていたのが『EX Pro』です。『EX Pro』が出た後も新作は発表されましたが、イグナイトになるまで『EX Pro』を使い続けていました。

——2025年のスタート時はすでに思い通りのプレーができる状態でしたか?
河原:はい、カーボンは使ってみたいと思っていましたし、その頃に良いきっかけもあって使い始めたイグナイトにはすぐアジャストできました。

イグナイトでの初優勝は2024年9月開催の第2回京都レディースオープン

——2025年シーズンの前半戦、関西レディースオープンは準優勝でその後の2戦、全日本女子プロツアーと関東レディースオープンは連続優勝。とても良い状態だったように見えていました。
河原:そうですね。恐らく自分の中で何かがあって、発見というか……「これからはこんな感じ」「これを習得しなきゃな」みたいな感じのことを取り入れたというか入ってきたというか。それを試合でやってみて、しっかりと結果に現れているなというのは感じていました。

——「何かあった」というのは技術的な部分ですか?  それとも精神的な……。
河原:技術的な部分ですね。足りないものをしっかり補って自分自身を「補強」したという感じです。

——具体的にはどのような部分なんでしょうか?
河原:そうですね……これという部分ではなくて、結構幅広く全体的にという感じなので、これは内緒にしておきます(笑)。

関東レディースオープンの勝利でランキング対象公式戦2連勝

——(笑)わかりました。そうしてさらにパワーアップした形で、前半戦は良い感じで表彰台に上り、中盤では全日本女子プロツアー第2戦がベスト4で京都レディースが9位タイ。この後、海外戦が続いていきました。
河原:京都レディースに出た後はもう全日本選手権か……。

——ですから2025年の国内戦は、東海レディース、ジャパンオープン、北陸オープンをスキップという形になりました。
河原:全日本女子プロツアーと京都オープンの2試合に関して言えば、状態が悪くなったわけでもないですし、悩んでいるということもなく、こういう結果の試合もあるだろうという感じでしたが、海外戦への準備もあってかなり忙しくしていたので、気持ちが多少そちらに向いていた部分はあったかもしれません。

——スキップした3戦はJPBA女子ランキングに大きく影響しますが、その辺りは考えていましたか?
河原:考えはしましたが、昨年WPAやPBS、WPBAの試合に参戦したのはWPAランキングを上げるという目標があったので、国内のランキングに関してはそこまでではなかったです。

——やはり海外をメインにしていこうと?
河原:2024年はスケジュール的に何とか日本の試合も出られていましたが、昨年は厳しくなりましたね。目標は最低でもWPAランキングをシード権(優先エントリー権)がもらえる16位以内、そこがギリギリだとちょっと危ないので、10位くらいと考えていたので、それをクリアするまでは、とにかく海外戦を優先するということで、去年はもう被ってるなら海外に行くということにしていました。

——国内戦に出ないことによって、ランキングが下がってしまうという不安はなかったですか?
河原:昨年はもう下がっても仕方ないと思っていました。でもチャイナオープンで優勝したことで、「ありえるかもな」という希望は出てきましたね。

——報奨ポイントが大きいですからね。
河原:そうですね。実際あれがなかったら1番にはなってないですから、その辺りから「もしかしたら25年も1位が取れるかもしれない」と一応気にしてはいました。

——そんな海外戦優先の流れがあって11月と12月の2戦になるのですが、まず全日本についてはこれまで決勝戦に何度も出ながらまだ優勝がなく、常に優勝を目指している大会の1つですよね。結果はベスト8でしたが、全日本自体を振り返ってみるとどんな感じだったんですか?
河原:やはりそのベスト8の試合は良くなかったです。自分の中でも悔いが残る試合だったと同時に自分の反省点、技術的な本当に細かな部分に甘さがあったことに気づけました。最近は負けたとしてもやれることはやり切れているので、納得ができてる試合の方が多いのですが、あの試合は後悔が残る、そして何かいつもと違ったやり切れていないモヤモヤしたものが残る試合になりました。

初制覇が期待された全日本選手権は5位タイフィニッシュ

——そうだったんですね。こちらは現場で試合を見ていて、あの試合の前まで「今年こそ優勝するな」と思っていたんですよ。
河原:そうですね。そこまではなかなかいい、いや、すごく良かったと思います。昔はあの会場の雰囲気でおかくしくなることも多かったですけど、気負いもなく普通に試合に臨んでいました。実際、内容も良かったと思います。だからこそ最後の試合で自分の弱さが余計に浮き彫りになった感じでした。

——見ていて、「急にどうしたんだ」と少し驚いたというか、割と長いこと河原さんの国内外の試合を見てきている中で、私の中では、河原さんが決勝まで行って、なぜか勝てなかった試合を見ていた時と同じような感じでした。
河原:そうですね。自分の中では常にクリアにプレーしているつもりなんですけど、自分でも気付いてない何か、どこかで「優勝したい、しなくちゃ」という思いがあるのかもしれません。でも、こうした反省点も必要だと考えて次に活かすしかないと思っています。

——全日本は残念でしたが、2025年は12月に全女子プロツアー第3戦(最終戦)が行われました。この時にはもうMVPはほぼ確定みたいな状態だったですよね?
河原:いえ、細かな計算はもちろんしていなかったですし、世界選手権が終わるまでは確定じゃないなと思って1戦でも多く勝つだけっていう感じでした。

——全日本の悔しい負けからの最終戦はいかがでしたか?
河原:テンボールだったのでめちゃくちゃ優勝したかったんですけど、やはり自分がミスした結果だったので仕方ないなという負けでした。

——河原プロはJPBA女子の中ではかなりテンボールをたくさんプレーしていますよね。
河原:PBSがテンボールになったこともありますが、その前からテンボールはかなりプレーしています。普段は1人練習も含めて、どちらかと言うとナインボールよりテンボールの方が多いですね。

2025年の国内シーズン最終戦は3位タイ

——好みで言うとナインとテンのどちらですか? 
河原:テンボールですね。ナインボールならラックシートでナインオンフットが良いかな。マスワリを何回出す、みたいなゲームよりは、しっかりとした戦略が必要で、いろんな技術が高くないとそのセットやマス(ラック)が取れないという戦いをやりたいですね。

——今の世界の戦いはかなりそうなってきていますね。ということで、国内のシーズンは終わり、世界選手権も終わり3年連続MVPが確定しました。当初2025年はWPAランキングを優先したにしても、途中からチャンスが出てきて、終わってみればMVPになれた。このことに関しては、もう素直に嬉しいって感じですか?
河原:はい、とっても嬉しいですし、国内戦を3つ出ていなくて1位というのもなかなかすごいんじゃないかなと素直に思います。それから、いつもとは違った貴重な1位だと感じています。国内で全ての試合に出なくても、海外戦で結果しっかり残せば重複ポイントや報奨ポイントが国内にも反映されて、どちらかを選ばなきゃいけないこともないということで、これからのプレイヤーの可能性にもつながったと思うので、この点も良かったと思います。

——では国内編の最後に、これまでお話を伺ってきましたが2025年は良い年でしたか?
河原:悔いが残ったのは全日本だけで……はい、良い1年でした(以下次回に続く)。

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