【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA土方隼斗プロ編_02
全日本選手権と世界での戦い、海外で得た確かな手応えと課題
2025年に唯一参戦したwnt.メジャー「USオープン」は33位タイ
2025年シーズン、3年連続となる国内ランキング1位・年間MVPの座に輝いた『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)所属の土方隼斗(FR:805)。国内ではグランプリ3勝、全日本オープン14-1選手権優勝と盤石の強さを見せつけ、海外ではエイトボール世界選手権ベスト4という自身のキャリアハイを達成。まさに日本のトッププレイヤーとして、そして世界の強豪として、その存在感を改めて示した1年だったと言えるだろう。激動のシーズンを終え、2026年開幕戦を前にした彼は何を思うのか。国内での戦い、そして世界の舞台で得たものとは。3回にわたる連載で、土方隼斗の2025年シーズンを深く掘り下げる。
●プロフィール
名前:土方隼斗(ひじかた はやと)
生年月日:1989年3月16日(36歳)
プロ入り年:2006年(JPBA40期生)
出身地:東京都
JPBA公式戦優勝数:47
スポンサー:MEZZ Cue、自遊空間、sesSion、Just do it、BIZEN TIP、ビアポンバー、ココカラダ
国内前半戦を圧倒的な成績で折り返した土方プロ。連載第2回では、グランプリイーストを挟みながら臨んだ夏から秋にかけての海外戦の後、最後の国内戦となった全日本選手権の結果と3年連続MVP達成の心境を語る。さらに話題は海外戦に移り、初戦となった5月のゴールデンナインからUSオープン、そして大井直幸プロとの日本人対決もあったチャイナオープンまでの戦いを振り返る。
●1試合1試合を大事にプレーしていければと思います
——2025年の海外遠征を全て終えた11月、目標に掲げていた全日本選手権はベスト16という結果でした。
土方:初戦の金澤(蒼生/JPBA/FR:755)君との試合もほぼパーフェクトな内容で勝てましたし、自分の中では悪いプレーはそんなにしていなかったなと。負けた試合(決勝トーナメント3回戦 vs ロメル・サントス【フィリピン/FR:770】)も、相手がすごく良くて、致命的なミスは全然していないのに展開も悪くなり、最後はすごいマスワリをされてしまいました。なので、悔いはない感じですね。
——そして、最終的に3年連続となる国内ランキング1位、MVPを獲得しました。ここも目標の一つでしたね。
土方: そうですね。そこでちゃんと結果を残せたことについては、本当に素直に良かったなと思いますね。
——この3連覇という結果も踏まえ、2026年、今シーズンの国内での目標はいかがでしょうか?
土方: 正直3連覇できたことで、2026年は気を張らずに国内戦を戦いたいという気持ちが強いところもあります。本当に毎年毎年、羅プロとランキング争いをさせてもらってるんですけど、最後の最後までどっちになるか分からないところでは、なかなか気が休まらないというか、難しいところがあるんですよね。今年もジャパンオープンには出られないのがほぼ決まっていますので、多分ランキングは無理だろうなと思いつつも、全日本選手権はずっと目標に掲げているので、そこは勝ちを意識して戦って優勝して、結果的に4年連続1位にもなれたら最高、というイメージを持って、1試合1試合を大事にプレーしていければと思います。
●お互いに力を出した良い試合だったと思います
——それではここからは海外での戦いについて伺います。まず2025年の海外戦についてはどのような目標を持って臨みましたか。
土方:2024年に海外戦で戦績を残すことができてWPAランキングが13位まで上がってWPAシードも受けられる状態だったので、WPAの試合を中心に参戦して、ランキングをキープしていくこと、その流れの中でもちろん海外のメジャートーナメントでの優勝を目指すことを目標にしていました。
WC:2月には2024年にも参戦したPBSイベントがラスベガスで行われましたが、そこには参戦しませんでしたね。
土方:行くことも考えていたんですが、2025年は世界選手権(男子テンボール世界選手権)の開催がなく、オープントーナメント1試合のためだけにという状況になったので、スケジュールや遠征費などを考え合わせた上でスキップしました。
WC:なるほど。それもあって今年の初戦は5月、中国でDUYAが主催する『ゴールデンナイン』でした。この大会はシーズンの最後を飾る優勝賞金1億円のグランドファイナルでしたが、これは招待を受けたんでしょうか?
土方:この大会には海外選手枠があって、そこにWPAランキングシードで参戦しました。予選が何段階もあって、ズオン・クォック・ホアン(ベトナム/FR:823)やバデル・アルアワディ(クゥエート/FR:787)などには勝ったんですが、勝てば海外選手ベスト32という局面でオーストラリアのスヌーカー系のプレイヤーに負けてしまいました。
初参戦のゴールデンナインでは賞金圏内に到達
——ゴールデンナインはいかがでしたか?
土方: 面白かったですし、あれはまた出たいなと思いますね。ヘイボールのエイトボールも面白いのですが、少し実力の差が出やすいというか、やはりチャイニーズエイトをやっている選手の方が確実に有利だなと思うところはありました。でも、これがナインボールになることによってセーフティが結構有効になってくるし、組み立ての戦略もセーフティが加わることで変わってきて、ポケットプレイヤーにも少しやりやすい、力を出しやすいフォーマットになっていると思います。
——なるほど。
土方: だから戦えている実感もあったし、点数制のルールも面白いです。「マスワリ1撃の重さはやっぱりこれだよな」と思いました。マスワリを出して当たり前じゃなくて、出したらめちゃくちゃすごいっていうのって、やっぱりいいなと。
——その後の海外は少し空いて8月のwnt.メジャーのUSオープン、この試合は33位タイでした。
土方: wnt.のメジャーはやはりメンバーがハイレベルで、1回戦でズオン・クォック・ホアン、本当にアジアのトップクラスの選手と当たったんですけど、そこの試合で勝てたのはやはり大きかったですね、その後の勝者最終で張玉龍(台湾/FR:815)選手に負けて、敗者側で勝って決勝トーナメントに進んだんですが、1回戦でまた張玉龍と当たってやられてしまいました。
——当時の張玉龍は非常に調子が良かったですね。
土方: そうなんです。USオープン前のアメリカでのwnt.2戦(フロリダオープン/メジャー 、バトルオブザブル/ランキングシルバー)でベスト4、ベスト4で状態がかなり良かったですね。で、僕とやった試合でも、ミスをほとんどしてくれませんでしたので、結構難しい試合でした。でもいい試合はできたという感じでした。この試合に関して言えば、成績的にはもうちょっと上に行きたかったですけどマッチルームの試合で自分の力がちゃんと出せたのは良かったですかね。
——その翌月が前年に準優勝したチャイナオープンでした。大井直幸(FR:825)プロとの日本人対決に敗れて結果は9位タイでした。
土方: まさかの日本人対決が2年連続実現してしまいましたね……。
チャイナオープンでは昨年の準決勝で勝利した大井直幸に敗れ9位タイ
——当たるのがちょっと早すぎましたね。
土方: 昨年は準決勝で当たりましたから、もちろんもう少し上で当たりたかったところもありますが、ベスト16戦ですから、可能性はありますよね。この試合は2024年に僕が勝った時とは逆の展開で、結構リードされていたんですけど、そこからかなり追い上げて、あと1点取ってヒルヒルにしたかったなっていうのを覚えています。前半はブレイクの展開が若干悪かったのも覚えていて、そこの差が大きく出てしまった感じでしたが、お互いに力を出した良い試合だったと思います(以下次回に続く)。
写真提供:matchrooom pool、WPA、土方隼斗













