【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA大井直幸プロ編_03
優勝していないので成果はない。飽くなき向上心と2026年への決意
Billiard Web CUE’Sがピックアップした、今年活躍したプロプレイヤー、将来が期待される注目プレイヤーのインタビューをお届けしていく「ビリヤードプレイヤー・ファイル」。その3人目は、日本のエースとして今年もまたワールドプールシーンの最前線で戦い続けた『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)、そしてwnt.プロでもある大井直幸(FR:825)。
●プロフィール
名前:大井直幸(おおい なおゆき)
生年月日:1983年1月10日(42歳)
プロ入り年:2006年(JPBA40期生)
出身地:東京都
JPBA公式戦優勝数:44
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世界を転戦し続けた2025年シーズンもいよいよ終盤。アメリカ、アジアでの連戦を経て、大井直幸は何を感じ、何を得たのか。1年を総括する彼の言葉から見えてきたのは、自らへの厳しい評価と、来シーズンに向けた決意だった。トッププロの現在地と未来像に迫る。
●やれることはやっとかないと、落ちたら帰ってこれないので
——その後インドネシア、フィリピンを転戦して、アジアの最終戦は、カタールの『QATAR WORLD CUP 10-BALL 2025』でしたね。
大井プロ:これもでかい試合ですね。10万ドルクラスだから。とてもいい試合です。まあ試合会場とかは全然大したことないですけどね。
——ホテルでの開催でしたよね。
大井プロ: ホテル自体はいいホテルなんだけど、WPAの試合はあまり中身にお金をかけないから。マッチルームはやっぱり見た目で、すごいお金をかけるからね。
——この試合もかなり惜しかったですね。
大井プロ:勝てそうな感じだったけど、途中で壊れちゃったというか。
——本当に勝てるかなと思って見ていたんですけど。
大井プロ:久しぶりにやっちゃいましたね。
——あれは何だったんでしょうか。
大井プロ:ねえ。まあその時は悔しいけど、今はもう別に笑っていられる。まあ、こんなこともあるでしょう。何パーセントかは、たまにこういうことが起きてしまうっていうのが、僕のビリヤード人生においてはあるんですけど、これが良さでもあり、悪さでもあるというか。そういうもんだろうね。チャンスだった。またチャンスは来るから。
準決勝で無念の逆転負けを喫してカタールは3位タイフィニッシュ(写真提供:WPA)
——来ると思いますし、多分予想してるのは、今年以上にチャンスが来るだろうなと。ただカタールの準決勝はちょっと残念な感じでした。
大井プロ:そうだね。ファンにもそうだし、応援してくれる人たちもみんな悲しそうだった。ごめんね、としか。
——見てて悲しくなりました。
大井プロ:泣いちゃうね。僕も泣きそうなぐらい悔しかったけど。まあ、いつも悔しいからもう慣れたもんです。
——そして今年最後の試合がインターナショナルオープン。そのイベント中のビッグフットテンボールでは準優勝でした。
大井プロ:フェダー(・ゴースト【アメリカ/FR:847)が調子悪くて負けてたから、おかげさまでポンポンと勝って(ロビー・)カピト(香港/FR:817)に当たって。ブレイクも良かったし結構球入ってましたね。最後の試合だけブレイクが当たらなくて、また(アロイシウス・)ヤップ(シンガポール/FR:839)に超簡単にやられちゃって。まあしょうがない、あれはイベントだったから。
ビッグフットテンボールの準優勝で8,000ドルを獲得
——メインのインターナショナルオープンは誰に負けたんでしたっけ? スペインの……ソウト?
大井プロ:そう、ジョナス(・ソウト【スペイン/FR:798)に負けた。いつも俺勝ってたのに、これ最後に取りこぼしちゃいましたね。調子が悪かった。この辺はちょっと自分のコンディションの合わせが悪かったですね。ビリヤード人生において初めて起きたかな、コンディションを合わせるエラーが。
——初めてですか。
大井プロ:もう暇すぎて、10日間ぐらいあったのかな。やることなさすぎて、運動と食事しかないから、初めて運動の量をどんどん増やして運動ばっかりしてたら、最初のうちは調子いいんですけど、1週間ぐらい経ってきてだんだん体が疲れてきて結構腕が動かなかったんです。初めてだったんでショックでした。オーバーワークだった。でもこれを受けて、日本に帰ってきて、そのトレーニングがオーバーワークにならないように、今考えながら、どれぐらいなのかを探っておかないと。ギリギリのところで止めないとね。
——やりすぎもダメ。
大井プロ:やらなかったら多分、僕なんかもう年だから帰ってこれないじゃないですか。だからそこは本当に難しくて。でもこれが勉強になった、そう考えたらいい試合でした。自分の体と付き合わなきゃいけないし、メンタルと体のバランスをかなり合わせないと、ビリヤードはやってられないし良いプレーはできない。きっと本当にそのちょっとしたところの差だから。この時はピントが合わなくなっちゃって「うわっ」と思って。
——試合中に?
大井プロ:いや、もう練習から。「あ、もうこれヤバい」と思って。どうしようと思ったけど、今までは、体が悪いという状況の合わせ方はできたんです。体調が悪いとか、熱があるとか、風邪ひいてるとかに合わせて。でも、この逆バージョンというか、筋肉痛は筋肉痛で、体は一応動くけど、この合わせ方が全然分からずに全然入らなかった。びっくりしました。悲しかった、俺でも。
大井プロの今シーズン最終戦は9位タイフィニッシュ(写真提供/The International open
——やはりその微妙なズレで、高いレベルでは入らなくなるんですね。
大井プロ:初めて起きたから。でも逆に言えば、昔からそういうのを恐れて運動とかしなかったのかもしれないなと思ってたので、それが実際に起きるまでやれたということ自体、僕の中ではまあまあいいことかなと。
——実際そうですよね。維持していくだけでも結構やらないとダメな年頃ですし。
大井プロ:そうそう。僕なんか特に。今42だけど、体力的にはかなり戻ってきてるから32、3ぐらいの感じはしますけどね。20代までにはいかないですけど、50になっても体が30代後半ぐらいだったらまだ戦えますからね。そこまではイメージしたい。でもやっぱり、やれることはやっとかないと、落ちたら帰ってこれないので。
——できるなら上げたいですもんね。
大井プロ:そりゃそうですよ。上げたいから考えてます。全てにおいてプレーに影響してきますからね。メンタルも体も。そういう時代なんですよ。レベルが上がってくるとそうなってくる。
——みんなやってますからね。
大井プロ:(ダビッド・)アルカイデ(スペイン/FR:817)とかも毎日10km走ってますし。
——結構ですよね、10kmは。
大井プロ:信じられない、僕より年上だから。でも彼が取り組み始めてもう2年ぐらいかな。そういう選手も増えてきてるし。シェーン(・バンボーニング【アメリカ/FR:846】)でもたまに走ってますから。
——そうなんですね。
大井プロ:たまに走ってる。僕は好きだから毎日どこ行ってもウォーキングしてるけど、まあやらない選手もまだいっぱいいる。若い選手はまだ大丈夫だけど、ヨーロッパの選手はよくやりますよ。(モリッツ・)ノイハウゼン(ドイツ/FR:818)とか、あの辺はよくジムで会うし。(ピジュス・)ラブティス(リトアニア/FR:812)とかもそう。
——そこら辺の選手って真面目そうですよね、見た目から。
大井プロ:まあプロフェッショナルですよ。単純に賞金稼ぎというか、本当プロですよね。まあそういうところに居ればそうなってくる。僕もいい刺激をいただいてます。
——あそこで戦ってる人たちは、だからどんどん全体が良くなっていく感じがします。だけど、ここに入ってないと、だいぶもう……。いる中でも厳しいのに、入っていかないと。
大井プロ:そういう世界ですね。
●来年勝つためにやる、そうするしかない
——大井さんの2025年は11月のインターナショナルオープンで終了ですよね。
大井プロ:今年はもうスキップして、来年に備えようかなと。技術的なものもそうだし、体的なのもそうなんですけど。まあ、行っとけばよかったなっていうのもいつも思うんですよ。行ってるヨーロッパの選手もいるんで。でも来年の動き方は、もうちょっと本気出そうかなと思ってます。ずっと本気なんですけど、もっとですね。この2試合も来年あるとすれば出るだろうし。行くのも実際はしんどいけど、もうちょっとできる部分があるので。
——そうですよね。
大井プロ:しんどいとか言ってられないので。どうしてもこの国に帰ってくること自体が遠いから、それをうまいこと避けながらというか、もうちょっとスケジュールも合わせて。
——やはり帰ってきたい?
大井プロ:帰ってきたいんですけど、僕自身は。だけどそういうこと言ってられないので。拠点をまたアメリカの方に重点置くなり、ヨーロッパ行くにしても1回アメリカ経由で戻るなりして、時差の対策を整えながらやらないと。
——一回日本に帰ってきちゃうと大変ですよね。
大井プロ:また疲れちゃうんですよ。精神的には休まるんだけど、それに対してあまり意味がないというか。僕の人生としてはとても豊かですけど、プールプレイヤーとしては、やらなきゃいけないことはやらなきゃいけないんで、そっちにフォーカスを当てようかなと。12月の2試合に行かなかったことにより、余計にまた思うというか。まあこれをいい方に働かせないといけないんで、頑張りたいと思います。
——では大井さん、今年1年はどうでしたか? 成果のあった年でしたか?
大井プロ:まあ、優勝してないので成果はないでしょうね。結局は優勝してないところで、自分の中で手応えみたいなのはあって認めようとはするんですけど、でもやっぱり勝ってないんでダメでしょうね。来年は勝つためにやる、そうするしかない。
——勝つ方向に、もうちょっとシフトして。
大井プロ:ええ、という感じですかね。
——でも、いい年ではありましたか?
大井プロ:いい年ですよ。すごく楽しく、本当、皆さんの応援とスポンサーさんのおかげで挑戦させてもらってるけど、とてもいい人生だし、何度生まれ変わってもこのスタイルでいい。でもやっぱり、みんなが勝ってほしいわけだから。その期待に応えたいし、自分も自分に期待してる部分があるので、ちょっと勝ちにこだわりたい。優勝したいですよね。本当そこだけです。
——3年前に聞いた時の、プールプレイヤーとしての幸せな状態、こうなっていったらいいなという形には、もうなっていますか。
大井プロ:なってます、なってます。プールプレイヤーとしては幸せなんです。だからもっと……そこには勝つしかないから頑張りますよ!
●大井直幸の2025年
・海外戦25試合出場(wnt.13試合、WPA10試合、独立系1試合)
・最高成績:準優勝(ヨーロピアンオープン)
・25戦の平均順位:16位
・FR推移:819→825
・獲得賞金:75,640ドル(約1,180万円)













