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【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA大井直幸プロ編_01

2025.12.29

「歴史的勝利」と「見たことのない強さ」。

Billiard Web CUE’Sがピックアップした、今年活躍したプロプレイヤー、将来が期待される注目プレイヤーのインタビューをお届けしていく「ビリヤードプレイヤー・ファイル」。その3人目は、日本のエースとして今年もまたワールドプールシーンの最前線で戦い続けた『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)、そしてwnt.プロでもある大井直幸(FR:825)。

●プロフィール
名前:大井直幸(おおい なおゆき)
生年月日:1983年1月10日(42歳)
プロ入り年:2006年(JPBA40期生)
出身地:東京都
JPBA公式戦優勝数:44
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2025年シーズン、大井直幸はどのような思いでスタートを切ったのか。オフシーズンの準備、そしてシーズン序盤のラスベガス、ヨーロッパでの戦いを振り返る。そこには、本人も「歴史的」と語る勝利と、周囲を驚かせた快進撃があった。世界と戦う男の1年に迫る。

●僕の中では歴史的な勝利だったんですよ

——お久しぶりです。
大井プロ:お久しぶりです。もう多分1年以上ですね。いつ会ったのか全然覚えてないですよね。

——一昨年のシーズン終わりに話を聞いて、去年のシーズンは追ってはいたのですがお話を聞く機会がなかったんです。なので、今年はやりたいなというのと、見ていて良い感じの試合も多かったので。
大井プロ:惜しかった、みたいな(笑)。

——はい(笑)。ということで、まとめてこの1年のお話を聞ければなと思ってやってきました。よろしくお願いします。
大井プロ:よろしくお願いします。

——まず、シーズンのはじめは例年だとダービーシティ・クラシックに行かれていましたよね。
大井プロ:そうですね。

——今年は行かれていませんでした。
大井プロ:そうですね、珍しいパターンでした。なんで行かなかったのかな……。あ、ここの(自身のスタジオ『Flannel Pool Studio』)準備があったんですね、多分。練習環境を作るパターンもあったんで、それで行かなかったんです。

——なるほど。ここのオープンが2月でしたよね。では、シーズン前の一つテーマとしては練習環境を整えるというところがあったんですね。
大井プロ:そうですね。練習ができてないことはないんですけど、まだちょっと宙に浮いてる状態だったので。やっぱりアメリカの試合は精神的にも技術的にもかなり準備が大事なんで、それでスキップしたって感じですかね。

現在の拠点となっている『Flannel Pool Studio』

——ということで、ダービーはスキップして、2月はまずラスベガスオープンに出られました。今年に入るまでに道具などは変わりましたか?
大井プロ:今年に入る時は変わってないですね。一緒です。

——去年からずっと同じ装備で。
大井プロ:そうです、バランスとかはやっぱり変えたりしますけど、今年の前半はそうでしたね。

——その前の年はシャフトを変えたりもされていました。
大井プロ:今年は変えないでそのまま入ったような感じかな。ああ、こういう企画で喋ると回想するんで思い出すんですよ。去年イメージしたのは、何もあまり新しいことをやらないで行こうっていうイメージでした。特に前半は「安定」を考えていたんですよ。

——なるほど。
大井プロ:途中で全然装備が変わっちゃってるんで今はもうすでに残ってないですけどね。なるほど、それをもうちょっとキープしたら、また結果も変わってたかもしれないですね。

インタビュアー:「安定した、今の段階でわかってる感じで戦おう」という。
大井プロ:そうですね。自分の中では、シーズンに入る時に、キャリアも年齢も全て含めてもうほぼマックスに近い状態だった。もうこれ以上はなかなか見つからないというか、そこを認めて戦おうみたいなのは覚えてます。だから体のトレーニング、健康面も含めてそっちにフォーカスを当てようかなっていうのが始まりでした。

——そういった意味では、道具の不安も体の不安もなく、しっかり練習できてシーズンに入った、という感じですね。
大井プロ:はい、今までのビリヤード人生においては、かなり安定して入れたんじゃないかな。

——その状態での2月のラスベガスの試合内容はいかがでしたか?
大井プロ:試合はちょっと覚えてないですけど、そんなに悪くなかったです。(アルバート・)ジャヌアルタ(インドネシア/FR:803)に負けたんですけど、まあシュートアウトなので負けることはあるなと。で、(村松)さくらプロ(FR:685)と組んだダブルス、これは良かったですね。

ラスベガスのミックスダブルスオープンはベスト8フィニッシュだった(写真提供:PREDATOR PRO BILLIARD SERIES

——と言いますと?
大井プロ:いや、これは僕の中では歴史的な勝利だったんですよ。台湾に勝ったことがないんです。予選のどこかで、7月に亡くなってしまった張榮麟(台湾/FR:845)と周婕妤(台湾/FR:774)にヒルヒルで勝ったんです。僕、20年ぐらい選手やってて、今まで世界対抗戦、世界チーム戦、ペアマッチ、スコッチダブルス、台湾には全部負けてるんですよ。

——そうだったんですか。
大井プロ:この時はさくらプロが良かったですね、張榮麟を「ぶっ壊した」みたいな感じで半端じゃなかった。張榮麟にプレッシャーがかかって、周婕妤もおかしくなって。うん、これはよく覚えてます。歴史的勝利だったのを覚えてる。

●ホームランを打ちたいんですよね、優勝が欲しいから

——ラスベガスは全体的に安定して良いパフォーマンスで戦えていたんですね。そして、そのすぐ後がヨーロピアンオープンでした。
大井プロ:ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ、初めて行きました。これも多分ラスベガス中に決まった試合なんですよ。まだマッチルームとWPAが結構揉めてて、一回これ(開催が)飛ぶか飛ばないかぐらいの試合だったのが、急遽行くことになって。

——アメリカから直接ではなく?
大井プロ:これ1回日本に帰ってきたんですよ。3月にすぐ帰ってきて、1週間くらいですぐ飛んだんじゃないかな。面白い場所でしたね。やっぱり内戦の跡も残ってるし、静かでしたけど不思議な街でした。

——この試合では準優勝と素晴らしい結果でした。
大井プロ:そう、惜しかったですね。でもこの試合は予選が苦しかったのを覚えてます。勝者最終でポーランドの(ダニエル・)マシオル(FR:815)と当たったんだけど、どうしようもないぐらい強かった。ハイプレッシャーで全然戦える感じじゃなくてすごい苦しくて。でも何かが起きたんですよね、その時。何が起きたのかは覚えてないんですけど、「こいつに勝つために、もう1回頑張ろう」と思って敗者側から上がって、ベスト4で彼にリベンジしたんです。

——もう一度当たりましたね。
大井プロ:シングルイリミネーションでは11-1ぐらいで勝って、それはもうすごい良いプレーだったんですけど、そこでガソリンが切れましたね。最後のジョシュア(・フィラー【ドイツ/FR:857】)の時はもう燃え尽きてたというか、ロール(ツキ)も来なかったし、また全然簡単にいかれちゃいました。

フィラーには敗れたものの、2025年wnt.メジャー初戦で準優勝(写真提供:Matchroom Pool

——かなりワンサイドになってしまいましたね。でもベスト4の試合のあの勢い、決勝トーナメントに入ってからの勝ち上がり方っていうのが、正直これまで見たことのない……。
大井プロ:見たことのない強さでした?

——はい。
大井プロ:なんて言えばいいのかな。まあ日本でプレーしてるような感じで、パパパッと行ける感じでした。まあ珍しいというか、ブレイクも良く決まってましたしいい試合でした。少し自信になったような感じだったかな。

——ここで一つ、もう一つ自信というか、何かが掴めたのかなと。
大井プロ:まあちょっと、フィラー戦は残念だったんですけどね。

——確かに。でも今年始まった時のファーゴレートが819ぐらいだったのが、このあたりからどんどん上がっていきます。
大井プロ:だいぶ上がってきましたね。でも、なかなかここからが大変なんですよね。

——確かに。さて、このヨーロピアンオープンでの活躍で、「今年は違うかな」「さらに勝負強くなったな」という印象を受けました。
大井プロ:前はそういうの(周りの評価を)嫌がってたというか……でも結局、周りの目の方が良かったりすることもよくあって。やってるのは本人で、本気でやってるから熱くなってて、言われて悔しかったりとかはあるけど、でも試合のことは周りの人の方がクリアに見えてるから。だから、その辺はそうだと思います。確かに勝負強さはちょっと付いた感じはしましたね。

——それが感じられて、フィンランドに行ったんですね。
大井プロ:これ、調子悪かったなあ。なんでこれ調子悪かったんだろう。

——これは去年優勝されている試合ですよね。
大井プロ:そう、よっぴー(吉岡正登【FR:757】)と行ったんですけど、すごい難しく感じました。去年とキューのセッティングが違ったんですよね、それは覚えてるんです。だからテーブルの感じ方も違ってて、それにはちょっとびっくりしました。いい感じで行けるかなと思ったら、「あ、全然違う」と思って。それは覚えてます。

——それで少し自信をなくして、そのままスコティッシュオープンに向かったと。
大井プロ:うん。スコティッシュは誰に負けたんだろうなあ……。ああ、あいつか、オランダの子に負けたのかな。(マーク・)ビスタボッシュじゃなくてもう一人いるんですけど、その中の一人(ヤン・ファン・リーロプ【オランダ/FR:778】)に負けちゃいましたね。彼のプレーは良かったけど、僕はあまり良くなかった。かなりブレイクも厳しかった記憶があります。うん、苦しかったのは覚えてるな。

スコティッシュオープンの後のメジャー『UKオープン』は9位タイに入賞(写真提供:Matchroom Pool

——こうして振り返ると、結構苦しい時もありますね。基本的に大井さんは出た試合の決勝トーナメントには残るというのが前提じゃないですか。
大井プロ:なるほど。

——それが64からなのか32からなのかは別として、少なくとも予選のダブルイリミネーションラウンドではよっぽどじゃないと……。
大井プロ:今年はそのアベレージはやっぱり高かったとは思いますけど、残れなかった試合もありますしね。残れない試合ではホームランが打てない、みたいな。ホームランを打ちたいんですよね、優勝が欲しいから。

——でも今年は3塁打、2塁打で、打点はかなり高い感じだと思います。
大井プロ:まあ、確かに打点は良かったかな(以下次回に続く)。

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