【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA奥田玲生プロ編_03
初優勝よりも印象に残る敗戦、そしてプロとしての決意
奥田プロは今年ヘイボール(チャイニーズエイトボール)に初挑戦(写真提供:WHT)
今年活躍したプロプレイヤー、将来が期待される注目プレイヤーのインタビューをお届けしていく「ビリヤードプレイヤー・ファイル」。Billiard Web CUE’Sがピックアップした1人目は、2025年はプールだけでなく、ヘイボール(チャイニーズエイトボール)のトーナメントにも積極的に参戦し、7月には待望のプロ初優勝を飾った『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)所属の奥田玲生プロ。
●プロフィール
名前:奥田玲生(おくだ たまみ)
生年月日:2002年3月18日生まれ(23歳)
所属(プロ入り年):JPBA54期生(2020年)
出身地:神奈川県
JPBA公式戦優勝数:1
スポンサー:アマリファミリーサロン、ウイングライフ株式会社、KeithAndy、Japan CSI Pool League、3seconds、NISHIKI BRAND、PREDATOR、リネアカンパニー(五十音順)
2025年の奥田プロはついに7月の『東海レディースグランプリ』で公式戦初優勝。もちろんその喜びは大きく自信にもなった。しかし、彼女の印象に残っているのはそれよりも悔しかった3度目の決勝での敗戦、そしてプロプレイヤーとして新たに取り組んだヘイボール(チャイニーズエイト)への挑戦だった。
【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA奥田玲生プロ編_01
【ビリヤードプレイヤー・ファイル】JPBA奥田玲生プロ編_02
●ずっと覚えてますね。多分忘れることはないと思うくらい
——今シーズンは待望の公式戦初優勝を果たされましたが、これを含めて今シーズン、ご自身の中で最も印象に残っている試合はありますか?
奥田:ポケットとヘイボールで分かれるんですけど、ポケットだと決勝戦で負けた試合が一番今年は印象に残っています。関東レディースオープンで河原プロとの対戦だったんですけど、最後追いついて……。
——ヒルヒルでの敗戦でしたね。
奥田:そうです、追いついて上がれるんじゃないかというところで、自分で手球をちょっとだけ隠してしまって。それはもう、ずっと覚えてますね。多分忘れることはないと思うくらい。でも、それを経験して、その後にヘイボールの試合に初めて行ったんですけど、緊張した場面で「あの時はやっぱり多分ふわふわした状態で撞いていたんだろうな」ということにも気づきました。そこからはポケットでもヘイボールの試合でも、よりイメージやショットを決めてから撞こうとか、色々考えることができたので、負けて良かったとは言いませんが、いい勉強にはなっているのかなとは思います。
関東レディースオープン決勝、ヒルヒルの最終ラック
——では、ヘイボールで最も印象に残っている試合は?
奥田:TVテーブルで初めて試合をした、ステージ2に勝ち残るための最終戦です。1台しかないメインテーブルでもうピカピカ光っていて、すごく舞い上がりましたし緊張もしましたけど、とても良い経験になりました。それからこの大会ではステージ2の初戦でトップ選手のギャレス・ポッツと初めて対戦できたんですが、海外枠のプレイヤーの中で一番対戦してみたい人と当たれたので、ヘイボールは今年始めたばかりなのに、贅沢な経験をさせていただきました。
ワールドトップスターの1人、ギャレス・ポッツと対戦
——そう言えば奥田プロはこの年末にまた中国へ行かれますね。
奥田:はい、今年何度か出場しているジョイが主催しているヘイボールのスーパーツアーに出場します。優勝賞金4000万円の試合で、中国国内で年間4、5試合あって、その中の1試合がグランドファイナルで優勝賞金が1億円なんですよ。この大会はもう本当に選手の数がすごく多くて、海外選手枠でもステージ1で800人くらいの規模になります。スーパーツアーはそこまでの規模ではないですけど、海外選手は多い時で200人くらいはいる感じです。
——ステージ1からステージ2までは海外選手枠で戦うフォーマットですか?
奥田:そうですね。今回はもう1回ステージ2に残るのが自分の中での一つの目標です。前に残った時はもう1勝すれば賞金圏内だったので、それも目指したいです。そしてここを突破してもしステージ3に残れたら、そこからは中国選手と対戦できるんですよ。
——ステージ3は海外枠を勝ち抜いたプレイヤーとハイレベルな中国のプレイヤーがぶつかる本戦という感じですから、ここまで行ったら相当ですよ。
奥田 はい、そうなったらめっちゃスゴイと思いますので頑張ってきます!
●プロとしてのスタイルを確立するのが来年の目標です
——では、今年はもう1試合残っていて気が早いんですが、奥田プロは2026年をどう見据えていますか?
奥田:ポケットとヘイボール、多分両方やると思うので、その両面で活躍できるように頑張りたいなと思ってます。すごくずうずうしいかもしれないですけど、ヘイボールの目標があって、ポケットにも目標があるので、海外の試合で活躍できるように頑張りたいですし、プロとして稼げるようになりたいです。
——ここ2、3年で世界のビリヤードはかなり大きく変わってきていますからね。
奥田:はい、他の皆さんもアメリカやアジアでポケットの大きな試合に行って頑張っています。その中で私の海外遠征はほぼ中国ですが、ポケットの試合にもどんどん挑戦していきたい気持ちはあります。でも経験は必要ですがそれだけでは生活できませんから、今はトータルでプラスにすることを目標にしています。
——確かにビリヤードプロが稼ぐのはまだまだ簡単ではないですよね。
奥田:トーナメントの賞金、スポンサーさんからの援助やイベント、チャレンジマッチなどのギャラもありますが、来年はもう少し他の人から見て夢があるような感じにしたいなと。最終的に1年経った段階で「ビリヤードプロとしてこれだけやったら、こんな感じなんだよ」という提示ができたら……とまでは言いませんが、それくらいできる選手として活躍できたらいいなと思っています。すごく現実的な話かもしれないですけど、それが若い選手たちとか、今後のビリヤード界を夢がある業界にすることにも繋がると思っています。
——まずは年末の中国、そして来年の活躍を期待しています。
奥田:ありがとうございます! プロになって今年の前半くらいまでは国内でランキングを上げたい、優勝したい、この試合で頑張りたいというのがメインで、まだ1回勝っただけなので、国内戦で複数回優勝することももちろん目標の1つではあるんですが、今はプロとして、そういう夢がある選手になること、プロとしてのスタイルを確立するのが来年の目標です。
取材協力:DUYA CLUB関内店












