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中式九球、ゴールデンナインボールって何?〜前編〜

2025.05.27

テーブルメーカーが主導する中国発信の新たなルール

新たなナインボールを種目に優勝賞金1億円のビッグトーナメントが開催中だ(写真提供/土方隼斗)

現在中国・北京昌平で開催中の『2024-2025 “Liber Win Billiard Cloth” Duya Legends Tour Golden Nine Global Finals』(2024-2025“利百文台尼”独牙传奇中式九球国际巡回赛全球总决赛/ゴールデンナイングローバルファイナルズ)。この大会は、これまでにないナインボールである「中式九球」(ゴールデンナイン)を種目としたシーズン最後を飾るビッグイベントで、その優勝賞金は約1億円。先日成都で行われた『JOY CUP The 13TH HEYBALL MASTERS Grand Finals』(ヘイボールマスターズグランドファイナルズ)と同規模を誇る世界最大級のビリヤードトーナメントだ。

その共通項は、ポケットサイズも狭く、クッションの角の形状も丸みを帯びている、一般的なプールテーブルよりも難易度の高いテーブルを使用することで、このテーブルは、従来チャイニーズエイトボール用として、中国国内で最もプレーされているものだ。

チャイニーズエイトボールを「ヘイボール」として、WPAが中国の大テーブルメーカーであるJOYとパートナーシップ契約を結んで以降、JOYはWPA公認のヘイボールワールドツアーを行い、今年8月開催の『第12回ワールドゲームズ成都大会』ではヘイボールが正式種目になるなど世界的な普及活動を推し進めている。

一方ゴールデンナインは河北省秦皇島市に本拠を持つ、こちらもテーブルメーカーの『DUYA(独牙)』が全面的にプロデュースする形で、現在は中国国内を中心にツアーが展開されている。

DUYAは自らを「THE TERMINATOR OF OLD-FASHIONED POOL TABLES. 」(旧式木製プールテーブルを終わらせる者)として、クッションやポケット部分にマグネシウムやアルミ合金などを使用し、現代的なデザインを施したテーブルで世界進出を狙っており、現在は通常のプール用、キャロム用テーブルの開発も進めている企業だ。

日本から出場した土方隼斗もDUYAテーブルでプレー(写真提供/土方隼斗)

そんな背景を持つ今回のゴールデンナインは、「中国におけるビリヤードの発展に貢献する、100年続く文化的なナショナルブランドとなることを目指す」とするチャイニーズエイトとスヌーカー用のラシャメーカー『Liber Win Billiard Cloth』(利百文台尼)を冠スポンサーに迎え、WPAのイショーン・シン会長も招待して5月22日(木)に開幕。中国国内選手と海外選手に分かれたダブルイリミネーションの予選が行われた後に、国内選手32名、海外選手32名の計64名によるダブルイリミネーションラウンドで決勝トーナメント進出者32名が決まり、ここからのシングルイリミネーションで優勝者を決めるフォーマットとなっている。

この大会には『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)から昨年のJPBA男子MVPでランキング1位(4月末時点)の土方隼斗と、同4位で今年はより積極的に海外戦にチャレンジしているジュリアン・セラディラの2名が出場。セラディラは予選ステージ2で敗退し、土方は勝てば海外選手ベスト32入りとなるゲームを惜しくも落としてステージ3で大会を終えている。

この後大会は、1億円をかけた31日(土)のファイナルマッチに向けてさらに盛り上がっていくところだが、やはりまず注目すべきは、日本では全く見ることのない特殊なゴールデンナインのルールだろう。という訳で、後編では今大会のオフィシャルルールの中から、ポイントとなる部分を抜粋しながら紹介していきたい。

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