【プレイヤーズボイス】青木知枝、NISHIKIを語る〜第3回〜
プロの自覚と、ビリヤードの未来
最終回となる今回は、プロとしての在り方に踏み込む。スポンサー企業との理想的な関係、モチベーション、そして彼女が描く、ビリヤード界の新しい未来の形とは。
【第1回】道具選びの哲学:「短所を補い、再現性を高める」
【第2回】驚愕のルーティーン「2年間タップを変えない」理由
■プロのモチベーションを支える「報奨金制度」のリアル
——道具としての魅力に加え、NISHIKIには「報奨金制度」があります。これはプロの活動において大きな意味を持ちますよね。
青木:プロとしては非常に大きな魅力ですよ。最初にお話を伺った時は、あまりの好条件に「桁を間違いですよね?」と聞き返したほどでしたから。
——それほど、プロの価値を評価した内容だったと。
青木:ええ。「プロならこれくらい受け取って当然」と重田代表が仰ってくださる。昨年のジャパンオープン時もそうでしたが、結果を出した分だけ還元される仕組みは、大きな励みになります。
昨年のジャパンオープンでは優勝賞金に加え報奨金も獲得
——他のNISHIKI契約プロとの間でも、その話題になりますか。
青木:なりますね。準々決勝くらいになると、みんな「ここを勝つかどうかで全然違う」と気合を入れて撞いていますから(笑)。
——結果がダイレクトに収入に反映されるというのは、プロスポーツとして健全な姿だと言えます。
青木:本当にそう思います。私も最近になってやっと、プロとしてこれを「仕事」だと言える自覚が持てるようになりました。
■「仕事」としての自覚と、スポンサーシップ
——仕事としての自覚。何かそう思えるきっかけがあったのでしょうか。
青木:そうですね。お金のことってどうしても卑しい話になりがちですけど、プロですから。ちょうど重田さんの後に、他のスポンサーさんも条件が変わったりと色々ありまして。今、やっとプロとしてこれを「仕事」と言える、言ってもいいのかな、と思えるようになりました。
——仕事としての自覚、ですね。
青木:自覚というか。今この時期になって、ようやく初めてそう思えたんです。確定申告した時、数字を見て「あ、これくらいあれば、他のメジャースポーツみたいにそれだけで暮らせる……とはいかなくても、一応ちゃんと稼ぎになっている」って言えるかなと思って。
——スポンサーシップと自身の成績が、プロとしての自立を裏付けていたわけですね。
青木:ええ。だからこそ、お互いにメリットのある良い関係を築けているんだな、と実感できました。仲間にもNISHIKIを勧める時は、プロ活動を支えてくれる制度のことも自信を持って伝えられます。
■業界の外側へ届けるためのアイデア
——プロとしての基盤が整った今、今後取り組んでみたいことはありますか。
青木:ビリヤードをしない人でも買いたくなるようなもの、例えばLINEスタンプとかを作ってみたいです。
——LINEスタンプですか。NISHIKIのプレイヤーは個性的ですから、面白いものができそうです。
青木:ビリヤード人同士でLINEをする時に、よくスタンプを使いますよね。でも、業界外のイラストレーターさんが描いたものを使うことも多い。だったら「チームNISHIKI」で作ればいいのにな、と。
チームNISHIKIの府川真理プロ、と高田奈実プロ。今年6月の全日本女子プロツアー第2戦ではそろって報奨金をゲット
——親しみやすい入り口を作る、ということですね。
青木:そうです。今はAIで写真から簡単にイラストが作れますし。試合に負けて悔しがっている姿とか、なみぞー(高田奈実プロ)とリリちゃん(若江梨々花プロ)が麻雀をしているスタンプとか(笑)。
——麻雀スタンプは、もはやビリヤード関係ないですね(笑)。
青木:いいんですよ(笑)。以前、キングコングの西野(亮廣)さんが映画の横で自分のシャンプーなどを売っているのを弄られていたTV番組を見たんですけど、でも西野さんは「こういう(入り口を広げる)のが大事やねん」と仰っていて。
——まずは存在を知ってもらうきっかけを増やす、と。
青木:はい。映画に興味がなくてもシャンプーがきっかけで認知が広がることもある。ビリヤードの外にいる人にも届くような、可愛らしいきっかけが作れたらいいな、と思っています。
■不満がない、という最高の信頼関係
——最後に、長年使用しているNISHIKIタップに対して、さらなる要望があれば教えてください。
青木:それが、本当に不満がないんです。
——すでに、現在のままで完成されているということですか。
青木:そうなんです。重田代表も私に「新しいの出ました」とか全然言わないですし(笑)。主人はアダムさんとやり取りして色々試行錯誤していますが、私は「今のままで悪くない。不満がない」という状態なんです。
——メーカーとしては、これ以上の評価はないかもしれません。
青木:重田代表はもっと意見を欲しがっているかもしれませんが(笑)。でも、「いいんです、結果を出していただいているので」と仰ってくださる。
——お互いの役割に対する、深い信頼を感じます。
青木:はい。これからもNISHIKIと一緒に、より「簡単」で「楽しい」ビリヤードを届けていきたいと思っています(了)。
写真提供:NISHIKI BRAND
取材協力:Link和光市店













