【北陸OP現地リポート】特設で輝いたベテランの矜持と絶対女王の誇り
第37回北陸オープン@富山・JR富山駅新幹線改札前イベントスペース特設会場
スポーツの秋、食欲の秋、そして我がビリヤード業界で秋と言えばやはり北陸オープンだ。今年も決勝会場は富山駅前の特設。10月18日、ふと振り向けばそこに「みどりの窓口」や「新幹線入場口」がある不思議な空間で、沢山の視線に囲まれながら第37回北陸オープンは開催された。
今年は海外戦の日程被りがなかったことでランキング上位の不参加こそ免れたものの、昨今の海外試合の活況と円高に寄る実質賞金減が影響してか、海外勢の参戦はなし。それでも男子228名(注:エントリー〆切時に10名追加)、女子64名の枠はあっという間に埋まってしまい、リストには大量の赤字(キャンセル待ち)が並ぶことになってしまった。
決勝会場となった『JR富山駅新幹線改札前イベントスペース』
富山での開催はこれで4年連続。富山駅前特設ではこれで3年連続だ。レイアウトに比較的融通が利くフリースペース(駅構内)だけに、試合外のイベントも盛り沢山。開会式は地元キッズチームによるダンス披露で始まったし、コインテーブルを4台置いたキッズコーナーも絶え間なく人が集まっていた印象。また、昨年新設されたばかりの新川高校撞球部による曲玉披露もあった。
「親子でキッズビリヤード」は今年も大盛況
トリックショットショーも会場を盛り上げた
地方のオープン戦には、普段訪れない土地にプロアマ一緒になって参加して、その土地の名物を味わうという楽しみがある。今はなくなってしまったが、そういう意味で札幌開催の北海道オープンも人気があった。
インバウンドの増加などで、筆者がこの業界に飛びこんだ二十数年前より、様々なことが便利になったにもかかわらず、ホテル代の高騰などで逆に移動(旅行)はしづらくなっているように感じる。イレギュラーな場所での開催のため、大会実行委員会には想像以上の大変があることは想像に難くないが、その尽力に感謝しつつ本大会にはこれからも続いて欲しいと思う。
上が決勝日テーブルのコーナーポケットで下がサイドポケット
富山の2会場で予選をおこなった女子は6ラック先取のベスト8から決勝日スタート。大会連覇を目指した第4シードの栗林美幸はベスト16で村松さくらに敗れて決勝日には進めず。
23&24年と2年連続北陸で準優勝だった村松は2年ぶりの決勝会場で河原千尋と対戦して敗退し、今年も頂点には届かなかった。ちなみに昨年準優勝の髙田奈実はベスト32で村松に決勝日への道を阻まれてしまった。
ベスト8では3年前の北陸を制した曽根恭子は奥田玲生に敗れ、一昨年の覇者小西さみあも青木知枝に惜敗を喫することに。結果、ベスト4は河原千尋 vs 青木知枝、平口結貴 vs 奥田玲生となり、それぞれ河原と平口が勝ち上がった。
3位タイ:奥田玲生
3位タイ:青木知枝
データを調べていて興味深かったのが、青木がベスト16で梶谷景美に勝って7連勝としたのに、対河原では連敗を6に伸ばしてしまったこと。また、奥田はこれで対平口6戦全敗となってしまった。
そして決勝。ここも対戦成績的には平口の分が悪く、3月の全日本女子プロツアーで勝つまで6連敗中だった。半年ぶりとなる両者の対決は序盤2-2まではシーソーゲームだったが、そこからジリジリと河原が得点を重ね、平口の反撃は3点まで。河原、4度目の北陸制覇に成功だ。
準優勝:平口結貴
今年はこれで国内では関西レディースと合わせて2勝だが準優勝が3回あり、9ボール世界選手権3位タイ、8ボール&10ボール世界選手権5位タイと、海外戦で着実な結果を出し続けた結果、全日本選手権前に今年のMVPは確定という状態だ。「今大会を通じて、優勝するための妥協した球は一球もなかったです」とは優勝インタビューでの河原の言葉だ。来月、悲願の全日本選手権優勝が叶うか、注目だ。
河原は今年も、国内外でトップレベルのプレーを続けている
17日に富山、石川の9会場で予選がおこなわれた男子。フォーマットは予選ダブル7先、ベスト128から8先。交互ブレイクとはいえ9ボール、例年ランキング上位が何人も討ち取られるイメージがあるのだが、今年のトップランカーたちは堅実で、トップシードの半数以上が決勝会場に駒を進めることに。
そんな中、地元富山のアマ連員、過去には名人戦A級ファイナリスト、都道府県対抗準優勝メンバーという戦歴を持つ、野崎和彦が唯一人アマチュアとしてベスト16進出を果たす。
野崎は特設緒戦でディフェンディングチャンピオンの北谷好宏と対戦
ここから7先となる初戦の相手は強敵、2連覇を目指す北谷好宏だ。特設の新羅紗台というと、都道府県、アマナイン、アマローテなど、アマチュアの方がむしろ撞く機会が多いように感じるのだが、プロの試合で使う特設テーブルは圧倒的にポケットが小さい……。野崎も必死に食らいつくが1点止まり。北谷は勢いのままに菅原利幸も倒してベスト4入りを果たす。
富山開催になってから優勝、準優勝、準優勝と圧倒的な好成績を残している羅立文は今年も決勝会場の舞台に立ったが、ベスト16で竹中寛に惜敗。朝一は東7、西8、アマ1はという構成比だったのが、ベスト4はなんとグランプリウェストに。
3位タイ:北谷好宏
3位タイ:吉岡正登
決勝は北谷の連覇を阻止した稲川雄一と、吉岡正登を倒した川端聡という顔合わせに。共に今年のグランプリを制しているが、これまでの対戦は2勝2敗の五分。しかし直近の全日本ローテーション決勝での対戦は僅差で稲川が制している。
決勝は稲川の2-0からスタートしたが、ここからはシーソーゲーム。初の北陸ファイナルに勝ちたいという気持ちが顔に出る稲川と、淡々とプレーを続ける川端。川端は何故か北陸には縁がなく、ファイナルまで辿り着いたのは実に24年ぶり。その時は利川章雲に敗れていた。
準優勝:稲川雄一
両者の意地がぶつかり合った接戦は5-5から稲川が取って次は自分のブレイク。⑥セーフティから稲川、縦バンクを決めた! しかしイージーに見えた⑦を抜いてヒルヒル。
最後の川端ブレイクは⑥⑦がトラブル。川端は完璧なポジションから⑥セーフティ。クッションから行った稲川はこれを当てることが出来なかった。川端取り切って、北陸オープン初優勝!
川端はこれで今シーズン3勝目
稲川は勝利が目前にあっただけに、⑦を少し強く撞き過ぎてしまったのが悔やまれる。綺麗に入れも出しも決まった縦バンクが逆に徒となってしまったのかもしれない。
川端の全国オープン制覇は2019年の全日本14-1以来。9ボールに絞ると……なんと2007年の中国オープン(注:この年が最後の開催)まで遡る。川端は優勝インタビューの最後で「来年で57歳になりますが、これでもう少しやれるという自信がつきました」と語ってくれた。正直、この言葉に同世代として涙ぐんでしまった。
さあ、2026年のJPBA公式戦も残りあとわずか。女子は11月頭に京都レディースオープン、男子は同じくグランプリイーストを挟んで、いよいよ全日本選手権を迎えることになる。
Text & Photo by On the hill!













