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JAPAアマタイトル戦、喜島安広が7期連続防衛に成功

2026.09.28

第65期名人戦 名人位決定戦@埼玉・セスパ東大宮

喜島はこれで歴代最多となる通算9期在位の記録も達成

競馬好きの人はG1の日程で季節を感じるという。春は桜花賞、初夏にダービーがあって、秋は菊花賞、年末は有馬記念というわけだ。我々ビリヤード関係者にとって、夏の終わりを告げるのがジャパンオープン、秋の始まりを感じさせるのが名人位決定戦というところか。9月27日(日)、まだまだ長雨が続く埼玉のセスパ東大宮で、第65期名人位決定戦がおこなわれた。

改めて年表を眺めてみると、現名人位喜島安広が如何に長期政権を続けているかが分かる。喜島が初めて名人位に就いたのが2014年だから実に干支が一回り前。最初は一期で現プロの小川徳郎にタイトルを譲ったものの、2018年に小川のプロ入り後に復位してから昨年までで7期タイトルを保持していることになる。

余談だが、球聖位は小宮鐘之介が6期、女流球聖位は増田真紀子が3期と、近年のJAPAタイトルは防衛が続く傾向にある。そして、今年喜島の牙城を崩すべく東上してきたのが大阪の坂本吉央だ。坂本は初出場となった8月の名人戦A級の初戦で昨期はA級2位で涙を飲んだ愛知の島田隆嗣を敗者側に送り、勝者最終、決勝、プレーオフと続いた第61期挑戦者林秀忠との死闘に競り勝って挑戦権を掴み取った。

坂本(写真右)は並み居る西日本の強敵を倒して挑戦権を獲得

ちなみに林は9月頭のマスターズで準優勝だっただけに、その林に勝った坂本の強さが分かろうというものだ。だが記録を調べる限り、坂本にはこれまで目立った成績は残っていない。強いて挙げれば昨年のアマナインでベスト16入りしたことくらいか。先週のジャパンオープンでも決勝日に残った誰もが認めるアマチュア界のトップ vs 大阪の超伏兵レフティ。果たしてどのような試合展開になるのだろうか。

喜島応援旗(写真上)と坂本応援旗

定刻の10時にスタートした第1セット。名人位決定戦は300点先取なので、最低でも1セットに3ラックかかる計算だ。序盤、坂本がペースを掴んで48-192で2ラックを終える。しかしそこから喜島が反撃転じ、第4ラックマスワリで276-204と逆転。第5ラックも9番で決めて喜島が先制。とはいえ300点ゲームの5セット先取という超ロングフォーマットなのが名人位決定戦。まだまだ先は見えない。


●第1セット:(1)喜島安広 Wー220 坂本吉央(0)

序盤の坂本にシュートミスが続いた第2セットは、第2ラック終了時点で喜島が169-71とリードしたものの、坂本が差を詰めて188-172としたところで第3ラック終了。第4ラックは最後に喜島が⑮を飛ばして252-228となり、2セット続けて第5ラック突入。坂本、逆転へ入れ繋いでいくが、⑨で無念の入れラッチ。喜島、ここからのハイボールはセーフティを絡めて勝利を逃さない。喜島2セット連取。


第2セット:(2)喜島安広 Wー264 坂本吉央(0)

ここまで見てきて坂本にSAクラスのシュート力があるのは間違いない。だが、同じ1つのボールが最大15倍の価値差を持つローテーションならではのゲーム性や、300点最大5ラックというロングゲームでのペース配分といった部分への理解度では、明らかに歴戦の喜島には及ばない。

第2セット、坂本が序盤からリードを広げる

そんな感じが見え始めた第3セット、坂本は10-110、10-230と、大量リードで第3ラックへ。序盤で大差になった場合、ビハインド側があっさり土俵を割るシーンもよく見られるのだが、ドラマは坂本が⑩をセーフティに行った10-275から始まった。ここから喜島が甘くなったセーフティを取り切って85-275で第4ラックへ。坂本は①、②、⑨を落として287点まで到達するも③セーフティ戦から喜島が取りきって193-287で第5ラックへ。

喜島は大量ビハインドから追撃を開始

そしておそらくこのラックがこの日のハイライト。喜島がお見事としか言いようのない取りきりで、15球を入れ切って大逆転に成功! 坂本、茫然自失の3セットビハインド。競馬でいえばラストの直線10馬身差で先頭に立っていたのに、ゴール板直前で最後方一気の追い込み馬にハナ差差し切られたようなもの。この日の名人戦は事実上、ここで勝負あったと言ってしまっても過言ではないと思う。


●第3セット:(3)喜島安広 Wー287 坂本吉央(0)


なんとか1セットは取って一矢報いたい、あるいはその1セットが逆転の足がかりになる可能性も……。そんな坂本に対して、球聖&名人のタイトル数だけで10を超える喜島は既に気持ちに余裕が生まれているように感じられた。

決して油断ではない。これまでの数々の戦歴から、相手に残った戦力を見切り、この先の展開を予想出来てしまったのだろう。結果としてこの後1セット取られることがあったとしても、勝負付けは済んでいる。

思えば昨期の喜島は誰もが驚くほどの不調の中で喘いでいた。だが本人曰く、その不調の原因であった右肩痛は随分良くなったそうだ。体調に自信が持てれば、気持ちに余裕も生まれるというものだ。ましてや第3セットでは会心の大捲りを決めている。第4セットは5ラック、第5セットも4ラックまで行ったものの、どちらも喜島が取ってセットカウント5-0。喜島、8期連続の名人位保持、通算では9期と、第1期から連続8期名人位にあった故藤間一男の記録を抜く単独1位となった。


●第4セット:(4)喜島安広 Wー200 坂本吉央(0)
●第5セット:(W)喜島安広 Wー118 坂本吉央(0)

坂本応援団(写真上)と喜島応援団

終わってみれば圧巻の防衛劇。現時点では来期への不安はどこにもないといったところか。このまま喜島が最多在位記録をどこまで伸ばすのか、来年からはそれも一つの楽しみとなる。次のJAPA全国公式戦は、愛知アジア大会の関係で11月末開催と日程が後ろにずれた、全日本アマローテだ。果たして、最強名人の参戦はあるだろうか?

Text & Photo by On the hill!

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