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史上最年少ファイナルを制して金澤蒼生が戴冠!

2026.05.06

第51回日本縦断関西オープン@大阪・マグスミノエ他

ゴールデンルーキー、金澤蒼生が大会初制覇

●通称『関ポケ』、伝統の一戦

今年で51回目を迎えた『日本縦断関西オープン』が、5月3日(日)に大阪市の『マグスミノエ』(予選は大阪市内4店舗併用)において開催された。このオープン戦は、『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)のランキングポイント対象試合ではないが、主催・主管はJPBA西日本が担い準公式戦的な試合に位置する。

関西圏では『関ポケ』と呼ぶ人が少なくない本大会。「関ポケとは?」「日本縦断とは?」。そんな疑問を紐解くべく、大会運営に当たる大江明プロ(JPBA西日本ブロック長)に尋ねてみた。
「大会が始まったのは僕も知らない時代のことなので、このあたりは大先輩に確認をしてください」(大江プロ)という前置きを踏まえて、皆様も一緒に読み解いていただきたい。

決勝会場となった『マグスミノエ』

「関ポケというのは、古くからアマチュア団体の関西支部を指して用いられていたので、この大会もそこが起点ではないかと思います」(同)と、大会の起源はアマチュア団体の主導であった可能性を示唆。現在も『日本アマチュアポケットビリヤード連盟』(JAPA)には、各地方ごとに(地域ごとの都道府県支部で連携した)支部が存在するので、本大会が『関西ポケットビリヤード連盟』が主催するオープン戦として始まったと考えるのが順当だろう。

●日本縦断とは?

次に大会名にある『日本縦断』だが、現在は本大会のみで聞くフレーズ。実際に日本を縦断していた事実はあるのだろうか?
「平成元年。僕はまだアマチュアだったので、その意図や真意はわからないですが、(当時ポケットが盛り上がっていた)関西のプロが各地へ行って盛り上げましょう、という雰囲気であったと記憶しています」(同)。
調べてみると、確かに平成元年に国内の各地域で『日本縦断』の第1回大会が開催されていた。そして、その多くが地方のオープン戦として継続されてゆくこととなっていった。

「自分の話で恐縮ですが、この年の関ポケで僕は兵庫の松井(実)さん(名人位在位5期の名手)に決勝戦で負けて準優勝でした」(同)。これも記録が残っていて、他の地域が第1回であるのに対して、該当の大会は『第15回関西ポケットオープン』として開催されていた。「日本縦断はすべてローテーションで開催されていました。その後にナインボール、テンボールに変わっていったはずです」(同)。調べてみると、全国のすべてが180点先取のローテーションで行われていた。ちなみに平成元年は1989年なので今から37年前のこと。

●今年度『日本縦断』の見どころ

このように半世紀を超える歴史を有し、国内各地へポケット種目の普及に貢献したであろう大会群の総本山として、最古にして令和の現在も単独継続している「日本縦断」が本大会。大会名称に謎が多いため、前置きがずいぶん長くなってしまったが、およその輪郭が見えてきたところで、今年のレポートに入らせていただきたい。

各組8名で16組に分かれた予選を勝ち抜き、決勝シングルに残ったメンバーの内訳は、男子プロ9名、女子プロ1名、アマチュア6名という布陣。紅一点の女子プロは不動の女王・河原千尋で、4年前の本大会で女性として初の優勝を飾っている。ただし、今年は初の試みとして男女プロ(およびアマチュアA級)にハンディをつけず一律6先(B級・女子アマは4先)としたので、河原にとっては一層の気合いがみなぎっていたのではないかと思われる。

3位タイ:河原千尋

このように注目を集める河原が順調に勝ち上がる中、一方の山では超大型ルーキーの金澤蒼生が階段を駆け上がってゆく。吉岡正登、飯間智也という本大会近年の優勝者を退け準決勝に進出を果たすと、師匠である竹中寛との対戦に。ここも中盤で引き離して、自身本大会初となるファイナルへ駒を進めた。隣の台ではアマチュアの新免和真が河原にリードを許すことなく逃げ切る。これで半世紀の歴史で間違いなく(両選手とも)最年少のファイナルが確定した。

3位タイ:竹中寛

●若き戦士は、明るく速く潔く

この春に高校を卒業したばかりの金澤に対する新免は、1学年下の高校3年生で、この時点でともに18歳。ジュニアの大会等を通じて親交も深く、かなりの早撞きである点も両者の共通点。これもタイパ世代か。バンキングシーンを収めようとカメラを構えたところ「ポーズを取っていいですか?」と、笑顔のピースサインに癒される。

金澤のブレイクでスタートした決勝戦は、金澤がブレイクスクラッチを喫すると、手球を手にした新免が、①に構えてから1分弱で8球を沈めるという、スピードプールさながらの全速力。次ラックも新免が1分マスワリ。と思ったら、⑨と同時に手球も豪快にインして1-1。

その後もスピーディーにゲームは進行し、先輩である金澤がプロの貫録を示す格好で勝利を収めた。スコアは6-4。勝負のポイントを挙げるとすれば、新免が5-3と先リーチをかける局面で勝負を懸けて放った一球が明暗を分けたか。ファイナルの所要時間は35分。2人揃ってキューは3本ともカーボンシャフト。第51回大会は、令和を感じさせるファイナルとなった。

●ティーンネイジャーの今後に期待

西日本グランプリ第1戦に続いてタイトルを獲得した金澤。1日の振り返りを求めると、「調子がメッチャいいということはありませんでした。でも、相手のワンミスから『取り切り、マスワリ』で上がれたゲームが2つあり、そこは自分でもよかったかなと思います」と、いつも通り等身大で明快なコメントを返してくれた。

また、ルーキーイヤーである今年の抱負に話を向けると、「(西日本)グランプリの連覇を目指すことももちろんですが、やはりランキングを上げるためにもG2以上のタイトルを狙っていきたいです」と、こちらもストレートな想いを預かることが出来た。

金澤の次なる目標はハイグレード戦の制覇だ

一方の新免は高校三年生ということもあり、「おそらくこの大会を最後に受験に備えることになると思います」。聞けば「ビリヤードをしたことで『両立しよう』という意識が芽生えて、これまでも準備はしています」と頼もしい言葉。外野の戯言で恐縮だが、一線級の文武両道を体現してもらって、次世代の希望の光的存在になることを願ってやまない。そして来春のカムバックを楽しみに陰ながら応援することで、受験生へのエールと代えさせていだく。

新免は学生プレイヤーの道を目指す

そして10代にして超大型ルーキーとして耳目を集める金澤。同じく目が離せない存在である織田賢人とのコンビで、令和ビリヤードを力強く牽引してもらうことに期待。その壁となる頼もしい大勢の先輩たちが国内外を舞台に活躍中で、キャスティングはパーフェクト・オーダーになりつつあり、ここからの盛り上がりは必至と言えるだろう。

Text & Photo by Akira TAKATA

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