日本初開催の「ゴールデンナイン」をリポート〜その②〜
杉山功起ショートインタビュー「かなり戦略的な思考が求められると感じました」
杉山は今大会の翌週に行われたグランプリイースト最終戦でも優勝を果たした
11月1日〜2日(土・日)の2日間にわたり、神奈川県横浜市の『DUYA CLUB関内店』を会場に開催された日本初となるゴールデンナインを種目としたトーナメント『2025 Duya Legend Golden Nine international Tour -Japan Station』(DLT日本代表選考トーナメント)。ここでは今大会に勝ち、12月に中国で行われる優勝賞金200万元(約4,000万円)の本戦出場を決めた『日本プロポケットビリヤード連盟』(JPBA)所属の杉山功起プロに、今大会のこと、チャイニーズプールのこと、さらには自身の今後のことなどについてお話を伺った。
——まずは優勝おめでとうございます。そして、お疲れ様でした。
杉山: ありがとうございます。
——この「ゴールデンナイン」という競技フォーマットの試合に出場されるのは、今回が初めてでしたね。
杉山: はい、そうですね。日本でプレーするのは初めてです。
——実際に出場してみて、全体的な感想はいかがでしたか?
杉山: このフォーマットは、取り切りで4点、マスワリなら10点というように、非常にゲーム性が高いですよね。ですから、ただ闇雲に取り切れば良いという訳ではなく、かなり戦略的な思考が求められると感じました。「この場面ではファールを誘う」「ここは取り切りに行く」「ここは守りに徹する」、あるいは「この配置ならこういうブレイクショットを選択する」といったように、常に頭を使わないと自分の有利な展開に持っていくのが難しいな、と。最初は本当に手探りでやるしかなかったのですが、試合を重ねる中で「なるほど、こういう感じか」「これだけ点差が離れたらこうしよう」「今、負けているからこの選択をしよう」という判断が少しずつできるようになってきました。この2日間で得られた大きな経験です。
——テーブルコンディションはいかがでしたか?
杉山: このテーブル自体、普段プレーする機会がないので、正直「え?」と戸惑う場面は常にありました。それでも、その中で自分なりに状況を整理しながらプレーすることで、初日よりは徐々にパフォーマンスが良くなっていったかなと感じています。
——今日のプレーの方が昨日よりも良かったということですね。
杉山: はい、今日の方が断然良かったですね。もちろん、昨日はリーグ戦だったので、自分のプレーの感触を確かめながらという部分もありましたが、今日はシングルイリミネーションで、負けたら終わりという緊張感がありました。その分、かなり集中して、良いプレーができたかなと思います。
——先程、以前にチャイニーズエイトを2週間プレーした経験があると仰ってましたが、今回のゴールデンナインでも活きた部分はありましたか? 特にシュートのタッチなど。
杉山: はい、それは間違いなくありますね。あの経験があったのと無かったのとでは、全く違ったと思います。もし今回、生まれて初めてこのテーブルでプレーしていたら、もう何が何だか分からず、ちんぷんかんぷんだったでしょうね。一度でもプレーした経験があったからこそ対応できた部分は大きいです。実際、今回のベスト4に残ったメンバーは、みんなこのフォーマットの経験者でした。みいなちゃん(谷みいなプロ)もよくプレーしていますし、たまちゃん(奥田玲生プロ)も中国で経験を積んでいます。福田さん(福田豊アマ)は言うまでもありません。
——やはり経験が重要になってくるのですね。
杉山: はい、そう思います。
——今大会で優勝したことで、12月に中国で開催される本戦への出場権を獲得されました。意気込みはいかがですか?
杉山: 本当に厳しい戦いになると思いますが、出場するからには、一つでも上を目指して頑張りたいです。
——本戦で賞金圏内に入れば、日本人初の快挙となります。
杉山: はい、そうなれるように頑張りたいです。以前出場したチャイニーズエイトの大会も、1試合ごとに2日休みが入るなど、スケジュールが非常にタフで長く感じました。体調管理もしっかりやらないと厳しいですね。
——それもまた海外での戦いの難しさですね。杉山プロは今年、チャイニーズエイトだけでなく、積極的に海外のプール(ポケットビリヤード)の試合にも出場されていますが、そちらの手応えはいかがですか?
杉山: はい、その経験は本当に大きいと感じています。勝っても負けても、そこには必ず学びがありますし、何より自分に足りないものがはっきりと見えてきます。もちろん、現地のコンディションに合わせる対応力もそうですし、基礎的な技術、そして戦術的な知識など、ビリヤードという競技の全てにおいて学ぶことがあると感じています。日本だと、対戦相手も知っている選手が多いので、ある意味「慣れ」の中でプレーしてしまう部分がありますが、海外では様々なタイプの、しかも非常にレベルの高い選手と対戦します。だからこそ、1試合1試合の重みが全く違いますし、勝ちたいという気持ちもより一層強くなります。
——海外での経験を経て、ご自身のプレースタイルに変化はありましたか?
杉山: 僕はもともと攻撃的なプレースタイルなのですが、最近変わってきたと感じるのは、守備の重要性です。もちろん攻撃力は非常に大事ですが、それと同じくらい、守備の精度や状況判断も大切だと改めて認識しました。そのあたりのバランスが、僕なりに少しずつですが、良くなってきているのかなと感じています。
——杉山プロは今25歳で、これからますます活躍が期待される世代だと思います。ゴールデンナインのような新しいフォーマットも登場し、ビリヤードを取り巻く環境も変化しています。プールプレイヤーとしての、今後の大きな目標や具体的な目標について聞かせていただけますか?
杉山: そうですね、あまり遠い未来のことは見ていません。もちろん、世界チャンピオンになることは大きな夢ですが、それよりも、まずはもっと身近な目標を一つひとつクリアしていきたいです。国内の試合では、出場する全ての試合で安定して良い成績を残し、優勝を重ねていくこと。そして海外の試合では、まず一つでも上に勝ち進んで、入賞することです。特定の大会で勝ちたい、というよりは、どんな試合でも自分のパフォーマンスのアベレージを高いレベルで安定させたい、という気持ちが強いですね。海外の大会でも、決勝ラウンドに残るのが当たり前、というレベルまで自分を高めていきたいです。その積み重ねの先に、世界チャンピオンという目標が見えてくるのだと思っています。一歩一歩、着実に経験を積んで、上手くなっていきたいですね。
——12月の本戦、そして今後のご活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
杉山: ありがとうございました。頑張ります!












