女子アマ最高峰のナインボールタイトル戦、増田真紀子が圧巻の防衛劇
第17期女流球聖戦 挑戦者決定戦 & 女流球聖位決定戦@大阪・マグスミノエ
増田真紀子が2度目の防衛に成功
4月第一週の大阪は満開の桜に覆われ、各地の鑑賞スポットは大賑わい。だが、決戦に臨む彼女たちの目には、新しい季節を彩る美しい花びらでさえも目に入って来なかったことだろう。第17期女流球聖位戦は、東西代表による挑戦者決定戦が4日(土)、現タイトルホルダー増田真紀子と挑戦者による決定戦が5日(日)に、それぞれ女流の聖地マグスミノエでおこなわれた。
今年の挑戦者は東西共に初登場。東日本代表の小宮千彩は東日本A級ベスト4で元女流球聖位の米田理沙を予選に続いて連破。昨年挑戦者の坂田夕紀はその米田にベスト8で敗れて連続チャレンジならず。決勝は第14期挑戦者の井上直美をベスト4で倒した堀ノ江香代子との共に初挑戦を賭けた決戦になったが、小宮が序盤のリードを守り切って嬉しい初挑戦の権利を掴み取った。ご存じの方も多いと思うが、小宮は現球聖位小宮鐘之介の実姉。姉弟でタイトル獲得となればもちろん史上初の快挙となるが、果たして。
会場となった『マグスミノエ』
西日本代表の鳥谷奈央も初登場だが、こちらはどちらかというと「ようやく来たか」という印象。元JPBAプロでもある鳥谷は第14期の西日本A級戦で吉見佳世に敗れて2位。翌年もまた最後に増田真紀子に敗れ、昨年は3位タイ。抜群の安定度から毎年大本命と目されてきたが、今年は決勝で昨年のアマナイン準優勝、長崎の後藤由樹を倒して遂に西日本代表に。挑戦者になれば増田真紀子への二年越しのリベンジマッチとなる。
東日本代表・小宮千彩(左)と西日本代表・鳥谷奈央
3期目を目指す増田は昨年の防衛後に全日本アマナインで優勝。年末から年明けにかけては全日本女子プロツアーと関西レディースOPで連続ベスト8入りと、アマチュア界では明らかに一枚上の実力を誇示しているというのが現状だ。挑戦者決定戦のフォーマットは1セットがナインボール、交互ブレイク、7ラック先取の、3セット先取。女流球聖位決定戦では4セット先取となる。
鳥谷応援団(上)と応援旗
土曜日、マグスミノエは例年より多くのギャラリーで埋まっていたように思う。鳥谷側には愛する子供達を含む広島からの応援団が多数集まり、小宮側には鐘之介の姿もあった。「仲間に応援されながら球を撞く」という経験は両者共にほとんどないはず。独特の緊張感に包まれてのプレーでは思うように撞けないものだし、だからこそ声援が予想外の力を先取に与えてくれることもしばしば。
小宮応援団(上)と応援旗
そして、12時にスタートした挑戦者決定戦は第1セットから大激戦となった。中盤、小宮がマスワリを出すと鳥谷も返して4-3。そこからシーソーゲームになるも鳥谷が先に5-6とリーチをかける。だが、鳥谷が⑤を隠してしまいファウル。ヒルヒル!
最終ラックは鳥谷ブレイクからセーフティになり、②でオープン。この配置が②サイド穴前で隣に⑨。見た目には②を⑨に当てればコーナーに向かいそうだったのだが、小宮は②インに集中。しかしコーナー穴前の⑥で痛恨のサイド入れラッチ……。
小宮千彩は第1セットを取るチャンスをものにできず
結果論でしかないが、エクステンションも沢山残っていただけに、ここで全集中出来ていればこの日の流れは全く違ったものになっていたことだろう。残り3球を取り切った鳥谷が第1セットを取り、続く第2セットも7-1で挑戦権にリーチ。第3セットは小宮が意地をみせて7-1で返したものの、あっさり1セット返されたことで吹っ切れた鳥谷が第3セットでも走って7-1勝利。セットカウント3-1で鳥谷が挑戦者となった。
増田真紀子(左)と鳥谷
増田と鳥谷、2年前の西日本A級決勝以来、公式の対戦はない。その時は7先で鳥谷3-1リードから増田が捲って勝っている。結果が逆であったならば、今回の立場が入れ替わっていた可能性もあったのだ。ちなみに、西日本代表同士が戦うのは第2期以来、16年ぶり2度目となる。女流球聖位戦は圧倒的に東高西低だったのだ。
決戦は5日10時にスタート
決定戦は日曜日の10時にスタート。序盤、増田のプレーがちぐはぐで、ミスを突いた鳥谷が5-1と走るも、徐々に持ち直した増田が5-5に追い付く。そしてこのセットの山場は③出しミスから増田がファウルしたところにあった。入れるのはさほど難しくはなさそうな③-⑨コンビ配置残り。鳥谷、勿論狙うが……ミス。増田が次もファウルから取り切って「セットカウント1-0」となった。あのコンビはゴルフで言えば1mのパットで、平撞きやハウスであれば難なく入れていたことだろう。ここが勝負所という思いが強過ぎて普通には撞けなかったのだろうが、このミスで流れは増田に行ってしまった。
鳥谷は出だしのチャンスを活かしきれず
第2セットは序盤で鳥谷がリードするも、中盤で増田が5-3と逆転。イーブンになった第11ラック、鳥谷の入れラッチから取り切って増田6-5。最後も3番オープンから増田が取り切りで「セットカウント2-0」に。
ちなみに、2セット終わった時点で両者共にマスワリ0。昨晩は6時間眠れたという鳥谷だが、疲れが残っているのか、今日のプレーに精彩がない。対する増田にもちょいちょいミスが出てスコアが拮抗するのだが、随所で増田が持ち味である入れの強さを見せつけてプレッシャーをかける。セットの要所は確実に締める勝負勘はさすがの一言だ。第3セットは増田が5-3にする9番を飛ばして4-4。鳥谷の8番ミスがラッキーインになって4-5。だがここから増田が3連取で「セットカウント3-0」に。ここまでの3セット、スコアは全て7-5だ。
増田が要所をしっかりと抑えたプレーを見せた
第4セット、後がない鳥谷は1番セーフティ戦から渾身の取り切りで1-2。しかしこれに触発されたのか、増田が見事なこの日唯一となるマスワリ返しでイーブンに戻す。そして3-3からは電車道となり、6-3の第10ラック、鳥谷の2番セーフティが見えてしまい、それを増田が土手撞きロングであっさりイン。取り切って二度目のタイトル防衛に成功。これで女流球聖位は通算3期となった。タイトル3期は佐原弘子の4期に次いで、梶原愛と並ぶ2位となる。
益田応援団(上)と応援旗
終わってみれば増田圧巻の防衛劇。ちょっとライバルが見当たらないような状況だが、当面の目標は6月のアマナイン連覇になるだろうか。鳥谷も前日には随所にギャラリーを沸かせるプレーをしていただけに、決定戦での調子落ちが残念。ただそれだけ、挑戦者決定戦とは心身共に疲れ切ってしまう厳しい戦いだということなのだ。
さあ、次は球聖位決定戦。小宮鐘之介の防衛が続くのか、そして誰が挑戦者になるのか。決戦は4月18~19日だ。
Text & Photo by On the hill!
大会アーカイブ動画:japa _Billiards












