スリークッション日本一決定戦、35年ぶりのアマ優勝で閉幕
第83回全日本3C選手権@東京・霞が関プラザホール特設会場
板井篤信アマは決勝トーナメントに入り5名のプロを倒して戴冠
35年前、あなたは何をしていましたか? トウカイテイオーがダービー馬になった年、都内の繁華街では、終電を逃すとほぼタクシーは捕まりませんでした。
3月6~9日(金〜月)、キャロムウィークの最終イベント、『第83回 全日本3C選手権』がテーブル4台が設置された霞が関プラザホールで開催された。フォーマットは48名を16組に分けた30点の予選ラウンドから上位32名が決勝シングルに進出。35点のベスト32を戦い、ベスト16からは40点となる。
3大会の会場となった『霞が関プラザホール』
今年の注目は何と言っても梅田竜二が前人未踏の大会5連覇&8勝を達成するかどうかだ。昨年後半にはジャパンカップとADAM杯を制して年度MVPを獲得しているだけに、優勝候補の筆頭であることは間違いない。対抗の一番手は2年連続準優勝の竹島欧だろう。竹島が勝てば14年ぶり2勝目だ。
それでは予選から振り返ってみよう。初日にハイラン11を出したP組の樋渡順也は連勝で1位通過。2日目に同じハイラン11を出した三戸雅之も連勝のアベ1.500で1位通過。初日に12キュー上がりを披露したN組の加藤一寛は2戦目で肥田明に8点に抑えこまれて2位通過。
選手が一人欠場となったため、界敦康と西本優子が連戦することになったI組では界が連勝。アベ1.764! 初戦ドローだったH組の甲斐譲二は2戦目も全日本アマ覇者の伊藤孝志に苦戦。29-21から6点当てて追いすがるも、30点を先に当てられ、ドローにすれば初戦負けの伊藤を逆転するところだったのだが、29点までで予選敗退が決まった。
神箸久貴は2戦目でシードの竹島を27キューで撃破。これにより3人が1勝1敗で並んだE組は2位が竹島になり、神原正嵩が涙を飲む。そして、これが波乱を呼ぶことに。神箸、実に全日本チャレンジ7回目での初勝利だ。
17位タイ:神箸久貴(JPBF)
予選で上位陣に大きな波乱はなく、各組シード16名はすべてシングル入りを果たす。ここからは一つ負ければ即終了だ。3日目から始まるベスト32で注目カードとなったのが宮下崇生(第3シード) vs 竹島(第5シード)。前述のように、竹島が予選2位になったことで宮下の隣に飛び込んできた形。試合は終盤で竹島が突き放して勝利となり、宮下夫婦優勝は次回以降への持ち越しとなってしまった。
17位タイ:宮下崇生(JPBF)
船木耕司(第2シード) vs 板井篤信(関西予選1位 / アマチュア)は大接戦。後撞きの船木が34-31と先にワンモアとしたが、板井が33点から2点当てて逆転勝ち。初のベスト16入りを目指した神箸は中盤で高橋朋隆に8点ランを出されてシングルは初勝利はならず。ベスト32では新井達雄(第4シード)、小野寺健容(第6シード)も敗れてしまった。
ベスト16では竹島が樋渡に苦杯を喫してしまう。これで樋渡は全日本での自己最高成績を更新だ。唯一のアマチュア対決となったのが佃昌憲 vs 山本雅幸。ジリジリした接戦から佃が先にワンモアに到達するが、山本も意地を見せてワンモアに。しかし、最後に勝利の女神が微笑んだのは佃だった。板井 vs 船木翔太は37-37から3点当てて板井が勝利。板井はベスト32で船木耕司も倒しているから、一日で親子をまとめて葬り去ったわけだ。
5位タイ:樋渡順也(JPBF)
決勝日はベスト8から。今年はプロ6名、アマ2名が勝ち残った。ただプロ勢は昨年優勝の梅田竜二の次がシード7位の森陽一郎という陣容で、梅田のライバルとなるべき上位シード勢が壊滅状態。試合は森がまず佃を倒してベスト4一番乗りを果たす。森はこれで2年連続となるトップ4残りだ。続いて板井が米山聡に勝って自己最高位を更新し、そして界が樋渡を倒して4年ぶりのベスト4入りを決めた。
5位タイ:佃昌憲アマ
大接戦となったのが梅田 vs 鈴木剛。序盤で鈴木がリードするも中盤過ぎに梅田が追い付いてからは大接戦。2時間20分に渡った激闘は最後、梅田37-38から梅田が決めて、偉業達成へあと2勝とした。
5位タイ:鈴木剛(JPBF)
5位タイ:米山聡(JPBF)
ベスト4、プロ3名はいずれも全日本選手権者だ。梅田 vs 界は前戦で競り勝った勢いのままに梅田が勝利。森 vs 板井は終盤突き放した板井が初の決勝進出を勝ち取った。トップシード vs 決勝初進出のアマ。正直、意外なカードとなった一戦、忖度なく書かせてもられば、誰もが梅田の5連覇達成を疑わなかったはずだ。様々なプレッシャーはあっただろうが、それを乗り越えて今の梅田があるのだから。
3位タイ:界敦康(JPBF)
3位タイ:森陽一郎(JPBF)
正直なところ、初球で梅田が7点出した時は、ああもう決まってしまったのかと思ったことを書いておく。だが、逆に板井からすれば、負けて当然くらいの状況の方が撞きやすかったのかもしれない。板井は7キューで12-7と逆転に成功すると、19-11とリードを拡げる。梅田が反撃して20-18となったところでタイムアウト。
ここからは僅差の攻防が続くも31-31から板井がスリーモア。梅田も37-36まで詰めたが、最後は見事に板井が39キューで押し切った。運営サイドからの情報によれば、関西勢の優勝は大会史上初とのこと。また、アマチュアの優勝は1991年の一瀬励二以来、実に35年ぶりの快挙。何よりも、会場で板井を応援していたアマチュア勢がまるで我がことのように板井の勝利に満面の笑みを浮かべていた姿が印象的だった。
歴代ファイナリスト①はこちら
準優勝:梅田竜二
板井は1971年生まれだから今年55歳。これまでに全日本アマなどのタイトルは獲っていない。決勝シングルでプロ5名をなで切りにした板井だが、予選J組では1敗して2位での通過。今大会唯一板井に土を付けたのは、同じアマの桒原昭彦だった。ちなみに余談ではあるが、今回の出場選手48名の平均年齢も板井と同じ55歳だった。
昨年秋にはポケットのジャパンオープン男子で史上初のアマチュア同士による決勝が実現。ネット動画を検索すればいくらでもトップクラスのプレーが観られる時代だから、今回のようなアマチュアの下克上があっても不思議ではないのかもしれない。試合後にさかんにプロ入りを勧められていた板井だが、どうするだろう。一瀬は初優勝から5年後、プロとして大会2勝目を飾っている。今後の板井の動向に注目したい。
大会ベスト8。後列左から樋渡、米山、鈴木、佃。前列左から森、梅田、板井、界
35年前、あなたは何をしていましたか? KANの「愛は勝つ」がレコード大賞を取った年、筆者はまだスリークッションを知りませんでした。
Text & Photo by On the hill!
大会オフィシャルサイト:全日本スリークッション選手権大会 公式特設ページ
大会ライブスコア:第83回全日本スリークッション選手権大会
大会アーカイブ動画:mathilda onthehill












