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A級:織田賢人、女子級:原口さゆり、B級:三木慎平が戴冠

2025.11.10

文部科学大臣賞 第72回全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会@名古屋・名東スポーツセンター

各級優勝者、左からA級:織田、女子級:原口、B級:三木

今年ももう残すところあと二ヶ月。日本シリーズとワールドシリーズの熱狂が去った11月8日〜9日(土・日)、名古屋市の名東スポーツセンターで今年最後のアマチュアタイトル戦、『第72回 全日本アマチュアポケットビリヤード選手権大会(以下、アマローテ)』が開催された。フォーマットと参加人数は例年通り、ローテーションの完全ダブルイリミネーションで、A級が192名180点、B級が128名120点、女子級が64名120点。

毎年書いていることだが、完全ダブルイリミというフォーマットは現在では世界的に見てもほとんど採用されなくなってしまった。完ダブは参加者全員に1敗までは許され、2敗した時点で大会終了だ。なので決勝は無敗の勝者側の選手と、1敗してから敗者側を勝ち上がって来た選手との戦いになり、勝者側が勝てばそれで終了。敗者が勝てば両者1敗となり、プレーオフで雌雄を決することになる。つまり勝者側からそのまま勝ちきれば7~8連勝で優勝なのだが、初戦で敗者側に回ってしまうと15連勝が必要になる計算だ。とにかく回転数が多くて試合がなかなか終わらない・・・・。これが完ダブが廃れてしまった最大の理由だ。

会場となった『名東スポーツセンター』

毎年のことだが、A級で敗者側に回ると勝っても勝っても全国SAクラスとの対戦が続く地獄が待っている。だから一つでも多く勝者側で勝ち上がることが優勝への最低条件なのだが、それはそれでもちろん難しい。昨年の覇者、愛知の松本真明は初戦で敗者に回り6連勝で力尽きる。今年の名人位挑戦者、北海道の山﨑洋平も勝ち負け負けで終了だった。

A級3位:秋本真吾(静岡)

A級準優勝:二渡行基(東京)

勝者最終に残ったのは東京の二渡行基と三重の織田賢人。そして、無敗での決勝進出を賭けたホットシートマッチを二渡がW-25で制す。二渡、初の全国タイトルまであと一つ。そして、敗者最終に勝ち上がって来たのは2012年のA級覇者、静岡の秋本真吾。秋本は初戦負けからここまで12連勝だったのだが、織田のこの試合はハイラン賞獲得となる会心の出来。秋本を一蹴した織田は決勝の二渡との再戦もW-62で勝ってプレーオフ突入だ。

織田は17歳で伝統のタイトルを獲得

だがこれまで全日本ジュニアやアマナインも勝っている織田と、アマタイトル初決勝の二渡とではメンタル面で差が出てしまったか。織田がプレーオフもW-55で制してアマローテA級初優勝となった。十代でのA級優勝は2019年の杉山功起(19歳)以来だが、17歳での優勝は関係者によると史上最年少ではないか、ということだった。

毎年ジュニア層の参加もあるB級だが、今年の最年少出場は静岡の小学4年生、柳下稜翔。柳下は初戦で裏に回ったが2勝を挙げている。来週の学生選手権での活躍に期待したい。

ジュニアプレイヤーの柳下稜翔が健闘

さて、今年のB級は兵庫の三木慎平と兵庫の新城安基によるプレーオフに縺れ込む熱戦となった。勝者最終ではまず三木がW-24で勝ち上がり、敗れた新城は大阪の吉川真司との敗者最終にW-86で勝って決勝へ。両者の第二ラウンドは新城がW-23で勝ってプレーオフへ。三木が優位で第二ラックに入り、遂に⑨-⑫コンビのゲームボールを撞いたが、これをミス。次は残り3球の⑬が回ってきたがこれもミス。そして三度目の正直、再び回って来た⑬をコーナーに狙うが入らない……。しかしこれがサイドにイン! B級はノーコールインがOKなので、劇的な幕切れとなってしまった。

B級3位:吉川真司(大阪)

B級準優勝:新城安基(兵庫)

三木はプレーオフの末に優勝を果たした

女子級のディフェンディング・チャンピオンは、先月青森国スポでも勝った米田理沙。加えて、21&22年に連勝した坂田夕紀、現女流球聖位の増田真紀子が三強と目されていたのだが、この3名が誰もトップ8に残れなかったのには驚かされた。

女子級3位タイ:森田由佳里(京都)

女子級準優勝:森光奈穂(兵庫)

勝者最終に進んだのは地元愛知の原口さゆりと兵庫の森光奈穂。原口、愛知ARCメンバーの熱い声援を背に受けて接戦を制す。しかし敗れた森光も敗者最終で京都の森田由佳里を倒して決勝へ。決勝第1ラックは原口の75-45で終了。しかし土手際からのブレイクとなった第2ラックはラックが割れない14-1のような状態からスタート。

原口は嬉しいアマ全国タイトル初制覇

森光は⑥まで落として追い上げたが、⑦をサイド前に残してしまう。原口、一球ずつ慎重に取りきりにかかり、⑪がゲームボール。原口、悲願のアマタイトル奪取に成功だ。これで愛知ARCは昨年のA級に続き2年連続で優勝者を出したことになる。また、西女子の優勝は2018年に4連覇を達成した西野早苗以来7年ぶり。

余談になるが、同日川崎でおこなわれていたグランプリイースト第6戦では、前述の杉山功起がグランプリ初優勝を遂げている。近々プロ入りするという話が出ている織田賢人も、これまでの実績を考えればプロ入り後の活躍を期待出来るだろう。アマローテの長い歴史に今年も新しいページが刻み込まれた。これでJAPAの今年度の全国大会は終了。来年、2026年のアマローテは愛知県でのアジア大会開催の為、11月下旬に日程がずれることが確定している。

On the hill!
大会結果:日本アマチュアポケットビリヤード連盟
大会アーカイブ動画:japa _Billiards

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