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12年ぶり2度目 & 10年ぶり3度目のドラマ

2025.10.13

第36回北陸オープン@富山・JR富山駅新幹線改札前イベントスペース特設会場

北谷好宏が12年ぶり、栗林美幸が10年ぶりの北陸制覇

昨年の北陸オープンは筆者以外の関係者全員が寒さに震えていたのに、今年は台風のフェーン現象なのか富山市の最高気温は31度を超え、熱さとの戦いとなった。第36回北陸オープンはこれで3年連続の富山開催。富山駅コンコース特設会場での開催はこれで2年連続となった。

決勝日の会場となった『JR富山駅新幹線改札前イベントスペース特設会場』

新幹線を降りて改札を抜けた先でビリヤードの大会がおこなわれているというのはまさにここでしか見られない光景だ。南北連絡通路のど真ん中にビリヤードテーブルが4台並んでいるのだから、通りかかった一般の人達が皆一様に驚いた顔で足を止めるのも無理はない。

会場スペースではビリヤードの試合だけではなく、進行の節目節目でダンスパフォーマンスが披露されて大会のイベント感を高めていたし、3台のミニテーブルが並べられたキッズコーナーは終日賑わっていた。こういう場所での大会が日本中で年間に複数回おこなわれるようになれば素晴らしいとは思うのだが、現実的にはなかなか難しいだろう。

男子214名、女子64名のエントリーがあった今大会だが、残念なことに男子8ボール世界選手権や女子10ボール世界選手権といった3つの国際大会と日程が被ってしまった。その影響から男子トップ10のうち3名、女子トップ10ではなんと6名が北陸に不参加となってしまい、その中には昨年女子ファイナリスト、小西さみあと村松さくらも含まれる。コロナ以降、海外試合が増えているのは喜ばしいことだが、国内トッププレイヤーがこれだけいないのはやはり寂しい。

男子ベストアマ:織田賢人

女子ベストアマ:倉田美穂

女子のフォーマットはナインボールなのは変わらないが、今年から交互ブレイクが採用された。予選ダブルが6ラック先取で、ベスト16~32が7先。決勝日のベスト8からまた一つ減って6先に。トップ3の河原千尋、奥田玲生、小西さみあがいない中、女子のトップシードになったのは栗林美幸。

予選を勝者側から通過した栗林は予選日の最終戦、ベスト16で高木まき子にヒルヒルまで追い付かれるも、ラストブレイクで高木が無念のスクラッチ。栗林はこれを取り切って決勝日に駒を進める。ベスト8で梶谷景美を0点に抑えた栗林は、ベスト4でも先月のジャパンオープン(JO)を制した青木知枝に6-1で快勝して決勝進出を決めた。

女子3位タイ:曽根恭子

女子3位タイ:青木知枝

今年は全日本女子プロツアー第2戦と京都レディースで2回ファイナルを撞いているが、今季まだ優勝がない栗林。正直、このメンバーでは負けられないという思いが強かったはずだ。そして、反対の山からは髙田奈実が上がってきた。これまでベスト4の壁を破れなかった高田、予選最終で稲川名保美に敗れたものの敗者側から勝ち上がり、ベスト4では2年ぶりの北陸制覇を目指した曽根恭子を倒しての決勝舞台だ。

女子準優勝:高田奈実

一気に公式戦初優勝を決めたい高田だったが、対戦成績を調べると対栗林はここまで5戦未勝利。勢いで難敵を倒したかった高田だったが、序盤から4-0と栗林にリードを許してしまい、1点返すのが精一杯。栗林、10年ぶりの北陸3勝目。決勝日は3戦で失点2という圧巻の勝ちっぷりだった。

栗林はトップシードの重責を背負い勝ち切った

9ボール交互ブレイクの予選ダブル7先、ベスト128からベスト32までが8先で、決勝日のベスト16からは7先となった男子。昨年感動の公式戦初優勝を飾った照屋勝司はベスト64で鳴海大蔵にヒルヒル負けして連覇ならず。土方隼斗(ランキング1位)、杉山功起(3位)、ジュリアン・セラディラ(8位)がいない試合ではやはりこの人、羅立文の存在感が強い。

男子3位タイ:高橋邦彦

ランキング2位の羅は順当に勝ち上がってベスト4で高橋邦彦との対戦となった。北陸5勝の高橋は2004年以来のファイナルが目前だったが、7-3で羅が勝利。一昨年優勝、昨年準優勝と、羅は北陸オープン富山開催とすこぶる相性が良い。反対の山ではランキング6位の北谷好宏とJOで3位タイだった稲川雄一が激突。

男子3位タイ:稲川雄一

先月のグランプリウェストでも準優勝と好調な稲川だったが、北谷が7-4で勝利して決勝は羅 vs 北谷となった。この二人の決勝は実に21年前の北海道オープン以来。あの時はヒルヒルの最終ラック、北谷の①-⑨コンビが決まらず、羅の大会初優勝だった。

男子準優勝:羅立文

共に大会2勝目を目指したファイナルは女子と同じく北谷が4-0と走る。羅も3連取で4-3と追い上げたが、自分ブレイクの第8ラックで、取りきり配置の④を穴前に残してしまう。ちなみに今回の特設テーブルはかなりの渋台だったことは書いておきます。是非写真で確認して欲しい。

上がコーナー、下がサイドポケット

北谷、これを取り切って、次の自分のブレイクをキープして6-3リーチ。続く羅のブレイクで6-4となるも、第11ラックをマスワリで締めて、北谷、12年ぶりの北陸制覇だ。2013年の北谷の北陸初優勝は仲間達からのとても暖かい祝福が強く記憶に残っている。あれから12年も経ったのがちょっと信じられない思いだ。

北谷は今シーズン初勝利がビッグタイトルとなった

昨年は男女共初優勝、それが今年は一転して10年ぶりと12年ぶりの優勝。36回目の開催を終えた北陸オープン、来年はどんなドラマが繰り広げられるのだろうか。

On the hill!

協力:北陸オープン実行委員会
大会オフィシャルサイト:ビリヤード北陸オープン
大会ライブスコア:2025 北陸オープン【公式】
大会アーカイブ動画:JPBA YouTube

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