吉岡正登が6年半ぶりのGPW制覇!
グランプリウェスト第4戦@佐賀:sesSion
吉岡はベトナム遠征に弾みのつく勝利を挙げた
9月28日の日曜日。佐賀市の『sesSion(セッション)』において、『西日本グランプリ(以下、西GP)第4戦』が開催された。同店でのGP開催は2022年に始まり、今回で7回目となる。通常の店舗とつながる敷地に計20台のテーブルが並び、その壮観な様は常設の特設会場さながら。今回は吉岡正登の久しぶりとなるGP制覇の足跡と、上位に絡んだ選手のデータを見ながら大会を振り返ってみたい。
今大会で注目を集めたシーンは、準決勝のカードがいずれも「プロアマ対決」になったことだろう。ちょうどジャパンオープン(JO)でも同じ構図になり、史上初となるアマ対決の決勝戦になったことが記憶に新しい。キャスティングにJOの準決勝に立っていた稲川雄一がいたことも、より記憶を呼び覚ます要因となっていただろう。
会場となった『sesSion』
その稲川から順に足跡を記していくと、ベスト16では九州不動のエースでスポンサーシードで登場した北谷好宏を撃破。更に同じ東海支部の先輩で親交が深い原口俊行を倒しての準決勝進出。稲川は今シーズンこれで国内公式戦において5度目となる表彰台を確定させたことからも安定感が窺える。上位ランカーとの対戦で臆することなく渡り合える強さを纏った感もある。
3位タイ:金澤蒼生
その稲川とは反対の左の山から残ってきたのは吉岡。ベスト16では前回王者の浅野正人を下して、次戦は松本寛人を追う形からの最後に4連取で勝ち上がってきた。その吉岡の相手は現役高校生にして今や知らぬ者はいない金澤蒼生アマ。ベスト8の川端聡戦では、リーチをかけた場面のシュートミスから、ジワジワと追い上げられヒルヒルとなり、最後は会場を驚かせたミラクルジャンプショットを含む渾身の取り切りを決めての登場だ。
3位タイ:重田寛之
そして稲川の相手は福岡の重田寛之アマ。九州で超のつく有名選手だが、特に佐賀開催の西GPでは、過去5戦に出場して準優勝が2回という、驚異的な強さを示している。今回もベスト16で木原弘貴、ベスト8では正崎洋行という、いずれも福岡を拠点に着実に戦績を伸ばしている2人を倒しての準決勝進出を果たしている。ちなみに今回を含め計6回西GPに出場して、23勝6敗、勝率0.793という数字を残す。これは「(シングルイリミネーションの大会で)平均4回勝っている」ことを示していて、圧巻の数字に適切な形容が見当たらない。
さて、準決勝では吉岡と稲川が揃って7-5のスコアで金澤、重田を下して(阻止して?)プロの面目躍如を果たした。そして海外でも存在感を示していて、国内戦の西GPでタイトルを逃したくない吉岡。対する稲川もJOで表彰台に立つ難易度を考えれば「西GPは苦手」と言われることを払拭したい。そんな強い想いを抱いた両者のファイナルが始まった。
準優勝:稲川雄一
吉岡先行で進んだ決勝戦は、リズムの良い吉岡に展開が向いたこともあり短時間の決戦になると思われた。しかし王手をかけた吉岡が久しぶりの優勝を意識したのか歯車が狂い始めると、稲川が追い上げのムードを作り上げていく。そして6-5まで稲川が追い上げて迎えた第12ラック。ウィニングボールに向かう土壇場で「まさか」を経て、最後は縦バンクを見事に決めて優勝を飾った。
吉岡は大会終了後の翌日にはベトナム遠征に出発
「久しぶりの優勝でホッとしました。海外試合を主にした時期もありますし、国内と海外の違いもありますが、やはり国内でしばらく優勝出来ていなかったことは気になっていました。明日から海外(ベトナム=ペリオープン、ハノイオープンに出場)に弾みをつけることが出来てよかったです」と、続く海外戦に向けて気持ちを引き締めた様子の吉岡。ベトナムでも活躍が期待出来そうだ。また惜しくも準優勝に終わった稲川もハイアベレージに手応えを感じていることだろう。
こうしてアラフォー世代の活躍で幕を下ろした西GP第4戦。次の第5戦は大阪開催。西GPを長年にわたって牛耳ってきたアラフィフ世代が押し戻すのか、はたまたアラサー世代が突破してくるのか。個性が光る西日本勢が演じる2025シーズンのドラマは終盤に突入した。
Akira TAKATA
大会アーカイブ動画:JPBA YouTube
大会ライブスコア:Grand Prix West 2025 4th











