奥田玲生がプロ公式戦初優勝、男子はPJ・オルテガが制覇
第30回東海グランプリ&第25回東海レディースグランプリ@愛知

プロ入り5年目、奥田は嬉しいプロ公式戦初優勝
日本中どこに行っても30度オーバーだった7月19~20日(土・日)の週末、中日ドラゴンズの連勝に沸き立つ名古屋で『第30回東海グランプリ』『第25回東海レディースグランプリ』が開催された。
今回は男子202名、女子64名がエントリー上限だったのだが、〆切日を待たずに男女共に枠が埋まってしまった。フォーマットは男子がテンボール7ラック先取、女子がナインボール6先で、それぞれ決勝シングルに入ってからは8先と7先になる。また今回初めて、現JPBFプロ、神箸久貴のお店である『ビリヤードJIN』が決勝会場となった。もちろん、神箸渓心が所属プロだ。

決勝会場となった『ビリヤードJIN』
今回一番の話題は、年明けにアナウンスされたJPBAの新公式ボール、ダイナスフィア「パラジウム」がこの試合で初お目見えなったこと。写真を見て貰えばおわかりのように、アマ連が2020年以降公式ボールとして使用しているダイナスフィア「プラチナム」とは⑥と⑦の色が違っているだけ。重さやコーティング等に違いはないため、ボールの変化によるトラブルがあったという話は聞かなかった。今後のJPBAの試合では、一部の例外を除いて全て「パラジウム」が使用される。

今大会でデビューの『ダイナ スフィア パラジウム』
さて試合の方を振り返っていこう。まずは男子から。ベスト128からシングルとなる男子は、各組1位によるベスト16からが決勝日となる。昨年の決勝といえば、アントニオ・リニングによる羅立文の完封劇が記憶に新しいが、そのリニングはベスト64で菅原利幸に敗れて「JIN」に辿り着けず。昨年のリベンジを目指した羅はベスト8で栗林達と対戦。
過去に何度もキューを交えて来た両者だが、2014年の決勝では羅が栗林を0点に抑えて初優勝している。栗林が先行したこの試合、7-4から羅が追い上げて7-6。栗林が取り切り態勢になったのだが、⑤ミスで上がりきれず。しかし羅が⑨から⑩への出しでまさかまさかのサイドスクラッチ。大会3勝目を目指した栗林だったが、続くベスト4でフィリピンのポール・ジョン・オルテガに敗れてしまう。

3位タイ:栗林達

3位タイ:杉原匡
反対の山を上がってきたのは、アマナイン2勝の織田賢人だ。三重が地元の織田はベスト4で杉原匡との会場を沸かせた死闘ヒルヒルを制して勝ち上がり、東海の期待を一身に背負ってJPBA公式戦初ファイナルを戦うことになった。ちなみに東海のJPBAプロは原口俊行のベスト32敗退が最高で、男女共に決勝日に残れなかった。
ホーム優勝を目指した神箸渓心はベスト128で松本寛人に敗れている。決勝にJPBAプロがいないのは、2011年のジュンダル・メゾン vs カルロ・ビアド以来のこと。またアマチュアが決勝に残るのは1999年に準優勝だった元プロの藤本共史以来、約四半世紀ぶりの快挙だ。

準優勝:織田賢人
この決勝までに織田は7名、オルテガは5名のJPBAプロを倒してきた。会場の「JIN」にはスヌーカーとキャロムも含めると全12台のテーブルがあるのだが、そんな広い店内には多くのギャラリーが決勝まで残り、織田に熱い応援を送っていた。

優勝:PJ・オルテガ
試合はオルテガの3-0リードでスタート。織田も中盤で5-4と逆転したのだが、3連取されてリーチ。最後は8-6でオルテガの優勝となった。オルテガはJPBA公式戦初優勝。フィリピン勢としては2年連続、通算5回目の東海制覇となった。惜しくも頂点には手が届かなかった織田だが、実力は今回の結果が示す通り。これからもJPBA公式戦を賑わせてくれることだろう。
昨年は青木知枝が大会2勝目を挙げた女子。今回はランキング1位の河原千尋がインドネシアオープン出場で不在だったため、小西さみあがトップシードでの出場となった。今期&大会2勝目を目指した小西だったが、ベスト32で府川真理に敗れてしまう。
府川はベスト16で大会3勝目を目指した青木もヒルヒルで倒して決勝日に進出。ベスト8とベスト4で韓国勢を連破して、2020年の関西レディース以来のファイナルへと進んだ。反対の山から上がってきたのはベスト4で夕川景子を倒した奥田玲生。

3位タイ:夕川景子

3位タイ:クォン・ボミ
奥田は4月の関東レディース以来となる4度目のファイナル。今年の女子は共に公式戦初優勝を賭けた戦いとなった。一般論だが、決勝で優勝経験者と未経験者が戦ったら、未経験者はまず勝てない。二人ともこれまでの決勝では河原千尋、栗林美幸、小西さみあに敗れている。つまり今回はどちらにとっても千載一遇の大チャンスなのだ。
ここまでの公式戦対戦成績は1勝1敗の五分だが、最新ランキングでは府川が13位で奥田が4位だ。勝ちたい、そして負けたくない思いがぶつかった試合は府川の先制で始まったが奥田がすぐに逆転して6-3でリーチをかける。しかし府川も簡単には土俵を割らず6-5まで盛り返す。

準優勝:府川真理
続く府川のブレイクは2個インも取り出しがなく、①セーフティが甘くなってしまった。奥田、残り7個のイージーではない配置を慎重に取り切り成功! プロ入り5年目にして悲願の初優勝を手中に収めた。昨年の全日本選手権3位が大きな自信となったという奥田、これからの活躍に注目だ。
遂に初勝利を手にした奥田、シーズン後半戦の活躍にも期待
敗れた府川には残念な結果になってしまったが、韓国勢を連破しただけに地力のUPは明らか。遠からず次のチャンスが回って来るだろう。JPBA次回公式戦は秋、9月のジャパンオープンだ。
on the hill
大会アーカイブ動画:JPBA YouTube
大会ライブスコア:Tokai Grandprix and Tokai Ladies Grandprix 2025