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台湾が誇るワールドトップスター、張榮麟が急逝

2025.07.15

享年40歳、世界中のプレイヤーとファンからの哀悼止まず

ワールドトップスターであり、台湾が誇るエースの1人である張榮麟が、
『INDONESIA INTERNATIONAL OPEN』(インドネシアオープン)に出場中、決勝トーナメント1回戦に勝利した後、ホテル自室内で心筋梗塞起こし死去。

7月14日(月)、衝撃とともにワールドプールシーンに深い悲しみをもたらしたこのニュースは瞬く間に世界中を駆け巡った。

台湾の報道によれば、張は体調不良の中で試合を終え、自室に戻り不調を訴える連絡を入れた後に倒れ、駆けつけたホテルのスタッフにより心肺蘇生が行われ救急車で病院へ向かったが、その搬送中に亡くなったとのことだ。

そのパーフェクトなプレーと、プールを愛し常に真摯にプレイヤーやファンと接する誠実な人柄により、台湾のみならず、日本、そして世界中にファンの多かった張。その早すぎる旅立ちを悼む声は、台湾内はもちろん、厳しいトーナメントの世界で鎬を削ってきたトップスターから日本で交流のあったファンまで、この報の後今も止むことなく続いている。

2011年のジャパンオープンで日本初タイトルを獲得

日本にも馴染み深い張の日本デビューは2010年の『全日本選手権』で、翌年の『ジャパンオープン』で日本初タイトルを獲得。そしてその3ヵ月後、2012年2月にはアラブ首長国連邦・フジャイラで開催された『エイトボール世界選手権』で自身初の世界タイトルを獲得するとともに、WPAランキング1位となった。

一躍ワールドトップスターの仲間入りを果たした張だったが、その後も2019年までの間欠かさず来日し、全日本選手権では2012年に優勝、さらに2017年にはジャパンオープン2度目の制覇を果たしている。

2017年は決勝で大井直幸を下して優勝

一方で2010年代後半からはアメリカでも積極的にプレーし、2016年の『USオープン』で準優勝、2018年の『THE INTERNATIONAL 9-BALL OPEN』でアメリカ初優勝を果たすと、翌年には『Derby City Classic Big Foot 10-Ball』、2020年には『DIAMOND LAS VEGAS OPEN』でも勝利している。

DIAMOND LAS VEGAS OPENはアメリカでの3勝目となった(写真提供:CueSports International – CSI)

2023年からはwnt.プロとしても活動するようになった張は、高校の後輩でもある柯秉逸、その弟の柯秉中とともに台湾トップ3として活躍を続け、昨年にはアジア選手権でナインボール、テンボールの2冠を達成。今年もワールドトップスターの1人として、21日にスタートする『WORLD POOL CHAMPIONSHIP』(ナインボール世界選手権)、そして8月7日からの『第12回ワールドゲームズ』男子テンボールに出場予定であった。

アジアテンボール選手権に優勝した張は、ワールドゲームズの出場権を獲得していた(写真提供:Qatar Billiard Sports Federation)

大会4日目を迎えたインドネシアオープンは、出場者、関係者によって黙祷が捧げられた後に試合がスタート。プールを愛し続けた張榮麟は、志半ばで斃れたことの悔しさはあっても、今日もきっと、仲間、そしてライバル達のプレーを見守っていることだろう。

YouTubeチャンネル『Pro Billiard TV』より

プールプレイヤーの完成形と評され、ファンに感動をもたらしなが楽しませ続け、大きな目標となり、日本のプレイヤーにも多大な影響を与えた張榮麟、その魂が安らかなることを心より祈ります。

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