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A級・金沢蒼生、女子級・増田真紀子、B級・安田譲が戴冠

2025.06.30

全日本アマチュアナインボール選手権@尼崎・あましんアルカイックホールオクト

左から、金沢蒼生、増田真紀子、安田譲

6月29日(日)、『全日本アマチュアナインボール選手権大会(アマナイン)』の決勝が兵庫県尼崎市の『アルカイックホールオクト』で開催された。この週末、既に兵庫は梅雨明けしており、屋外は真夏と言っても良いくらいの暑さと湿気だったが、ありがたいことに会場内は空調が効いていて過ごしやすかった。もっとも、テーブル上でワンショットに想いを込めて戦う選手達は自らが発する熱気もあって涼しいとは感じられなかっただろう。

決勝日、A級では前日会場使用時間の関係で持ち越しになってしまった新潟の伊崎秀樹と沖縄の棚原大成の2回戦が7-7からスタート。朝一からの2先の決戦はどちらもやはり行ききれずにヒルヒルとなり、伊崎が接戦を制してベスト32入り。

同時に始まった前回覇者、織田賢人の3戦目は岡山の冨高幸司を相手に0-3のビハインドスタート。中盤まで接戦が続いたが6-8で先に冨高がリーチ。そこから織田が追い付いたが、③セーフティが甘くなって冨高が取りきり。織田賢人の大会3勝目は来年以降に持ち越しとなってしまった。しかしその冨高も大阪の川野耕二にヒルヒル負けでベスト8入りを逃してしまう。

A級3位タイ・林秀忠

A級3位タイ・島田隆嗣

その川野を4点に抑えこんでベスト4入りしたのが、今年の日本縦断関西の覇者、滋賀の林秀忠だ。だがその林も地元兵庫の金澤蒼生に競り負けて決勝には進めず。反対の山のベスト8では奈良の増成亮太と大阪の大塚郷司が激突。両者は3月の球聖戦西日本決勝で対戦、ハイレベルなヒルヒルの一戦を大塚が制して西日本代表として東上していた。2015年のアマナインで勝っている大塚だが、この日は増成がやり返して9-2で勝利。

A級準優勝・増成亮太

その増成を待っていたのは国体三連覇の金看板を持つ愛知の島田隆嗣。島田は2018年に決勝まで進んでいるが、埼玉の青木聖に敗れて準優勝だった。両者の一戦は接戦となり、島田が7-7に追い付いて取り切り体制だったが、②で痛恨のミス。増成が取りきり、マスワリで初の決勝進出を決めた。

金澤と増成、もちろんどちらが勝っても初優勝。緊張の一戦はさすがに両者手探り状態で4-4まで競り合ったが、金澤が一気に抜け出してリーチ。追い詰められた増成が反撃に出て6-8。だが次のラックで③-⑥コンビが決まらない。⑥、級がトラブルで残っていたが、金澤が冷静に⑤セーフティを決める。増成のショットは上手く当たったが⑤は無情にも穴前残り、ここから金澤が入れて綺麗にトラブルを解消、嬉しい大会初優勝となった。

金澤蒼生はこれが男子A級の全国タイトル戦初制覇

これでアマナインA級は2年連続で十代が制したことになる。23年に全日本ジュニアを勝っている金澤だが、いわゆる男子A級カテゴリーではこれが初タイトル。既にプロの試合にも多く出ているだけに、この優勝がこれからの彼の礎になることだろう。同世代のライバルである織田と共に、これから二人がどれだけ強くなっていくのか楽しみだ。

昨年のマスターズ決勝、先に述べた球聖戦西日本A級決勝、そして今回と大一番で惜敗が続いている増成だが、逆に考えればそれだけ地力があるということだから、頂点に立つ日もそう遠くないはずだ。ちなみに今年のA級ベスト8で東日本は埼玉の建川雄司のみ。圧倒的な西高東低という結果だった。

今年から6先となったB級だが、1セットダウンとなった違いはほとんど感じられなかったというのが筆者の感想だ。今年の決勝に進んだのは山梨の小澤弘と愛知の安田譲。序盤で小澤が2-0とリードするも、そこから安田が6連取を決めて全国タイトルを勝ち取った。不思議なことに、アマナインB級チャンピオンがその後に全国区のSAになったという例がほとんどないように思う。ちなみに金澤は5年前に秋の全国B級戦であるシルバースターカップに勝っている。安田には是非、これからA級の舞台で活躍して欲しいと思う。

B級3位タイ・原田晃樹

B級3位タイ・朝日柳吏

B級準優勝・小澤弘

安田はこの優勝でA級昇格

最後に7先となった女子級。こちらも変更に伴う混乱はほとんどなく、スムーズに32名による二日目を迎えられたようだ。ちなみに女子1回戦では2時間16分という試合があったと聞いている。それにしても、セット数が上がろうが下がろうが強い者は強い。

増田真紀子は、今大会6試合での失点がわずか11。2回戦で今年の女流球聖戦東日本決勝まで進んだ岩手の千葉美幸に3点取られたのが最高で、全日本アマローテ5勝の西野早苗に準決勝でヒルヒル勝ちして全国大会初ファイナルに進んだ長崎の後藤由樹も決勝は2点止まり。ただただ増田の強さばかりが際立つ大会となってしまった。これで増田は史上初の大会二連覇を決め、大会通算3勝目は単独トップ。果たして増田一強状態を崩す対抗馬はいつ現れるのだろうか?

女子級3位タイ・西野早苗

女子級3位タイ・堀内みさよ

女子級準優勝・後藤由樹

増田は女子級史上初の大会連覇を達成

さあ、今年も暑い夏が始まった。秋のアマチュア全国大会へ向けて、皆さん、空調の効いた心地良いビリヤード場で練習に励みましょう!

On the hill!
大会アーカイブ動画:mathilda onthehill

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