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世界へ拡散し続けるチャイニーズビリヤード〜その1〜

2025.06.22

GBE、世界が注目する最大のビリヤード展示会

世界のビリヤードは今、ワールドプールシーンだけでなく、キャロム、スヌーカーを含めてこれまでにない活況を呈しており、プール、キャロムともに盛んなベトナムや、今年初めてWPA公認の世界選手権開催国となるインドネシア、スヌーカーを含めたビッグイベントを10年契約で招致しているサウジアラビアなどのアジア圏の盛り上がりが注目されている。

その中にあって、人口はインドに次ぐ14億人、その経済規模でもアメリカに次ぐ2位の超大国である中国が世界のビリヤードに与える影響力は、この数年間だけを見ても拡大の一途にある。

ここでは世界で最もプレイヤー人口も多く、巨大マーケットであると同時に、莫大な資金を投じながら独自の『中式台球』(チャイニーズビリヤード)を世界に普及しようと様々な展開を行っている中国ビリヤードの今を概観してみる。

世界最大のビリヤード展示会
Guangzhou International Billiards Exhibition

マーケットとしての中国市場の巨大さを最もシンプルに表し、ここへの参入を目指す世界中のビリヤードアイテムメーカーが現在最も注目しているのが『Guangzhou International Billiards Exhibition 2025』(GBE 2025)。今年で19回目を迎えるこのビリヤード展示会は、中国ビリヤードの活況をバックにして、2020年代に入ると国際的なイベントとしても発展を続けている。

中国の国内状況については、2024年にGBEが出展社向けにまとめた中国ビリヤード市場分析によると、2017年に167億元(約3350億円)であった市場規模は2023年には314億元(約6300億円)に成長を遂げ、ビリヤードファンは9000万人から1億2300万人に増加、テーブル販売台数については2017年の61万台から2022年には102万台へと増加しているという。

このような流れが続く中、今年のGBE 2025は、5月10日〜12日(土〜月)までの3日間の日程で、中国・広州の『中国輸出入商品交易会会場(エリアA)』の6つのホールを使用して行われたが、その総面積は80,000平方メートル(サッカーコート約11個分)と広大で、そのスペースに国内外600社以上の出展者を迎え、期間中には130,000人を超える来場者が訪れている。

ここには、今や世界一のビリヤード企業としてアイテムの製造・販売だけでなく、プロモーターとしても数々の国際イベントをプロデュースする『PREDATOR』(プレデター)はもちろん、Aramith(アラミス)、Simonis(シモニス)といった老舗メーカーも出展。日本からも『(株)アダムジャパン』『(株)三木』の2大キューメーカーから、『早川工房』、『KAMUI』、『ZAN』、『Naolly』、『EBR Products』といった多くのメーカーがブースを構えた。

Naollyは今年で2回目の出展となった

EBR Productsのニューモデルはここで世界デビュー

さらに、世界のプールを統括するWPA、その傘下でアジアの大陸連盟であるACBSの要人も多数訪れるGBEは現在、チャイニーズビリヤードとワールドプールに関する様々なミーティングも行われる場ともなっている。

その中で今回のイベントで目立っていたのは中国国内のテーブルメーカーで、2023年の時点で国内に1億2300万人と言われているビリヤードファンに支えられて成長し、さらに世界進出を狙う『Xingpai(星牌)』、『Yalin(雅林)』、『Rasson(ラッソン)』、『Duya(独牙)』といった大メーカーのブースには、期間中多くの来場者が足を運んでいた。

Yalinは現在、男子エイトボール世界選手権の冠スポンサーとなっている

今や中国メーカーにとって、国内だけでなく、全世界に向けて自社のアイテムを発信する機会となっているGBE、さらにこの手法を推し進め、今年10月にはタイ・バンコクで、初めての『Thailand (Bangkok) Billiards Expo 2025』(TBE 2025)を初開催する予定となっている。

次回は、このGBEで発表される主力アイテムとなっている中国式テーブルを使った様々なトーナメントと世界のビリヤードの関わりを中心に、広がり続けている中国ビリヤードを概観していく。

写真提供:NaollyEBR Produts

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