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小宮鐘之介が3度目の防衛に成功

2024.04.22

第32期球聖戦 球聖位決定戦@千葉・Anything

小宮はこれで在位通算4期となった

前日の挑戦者決定戦がフルセットに縺れ込んだ余韻がまだ残る21日(日)の朝10時、千葉の「Anything」にて第32期球聖位決定戦がスタートした。現球聖位は連続3度目の防衛戦に挑む小宮鐘之介。小宮はコロナ禍の2020年におこなわれた第29期東日本A級戦決勝で本間俊行を倒して東の代表になり、挑戦者決定戦では西代表の杉本優太、球聖位決定戦では初防衛に挑んだ小笠原晋吾に勝って初戴冠。

第30期は広島の高上真一にストレート勝ちして初防衛に成功し、第31期はダブルフルセットの死闘の末に東京の持永隼史を競り落としてタイトルを守り抜いた。昨年はその後に『全日本アマチュアナインボール選手権大会』(全日本アマナイン)でも初優勝を飾り、小宮が現時点で誰もが認めるアマチュア最強プレイヤーであることは間違いない。

決戦前の2人

対する増渕享士は挑戦者決定戦で0-2ビハインドから3セット連取でファイナルステージに駒を進めてきた。7ラック先取を5セット戦い抜いた疲れも残っているだろうが、今回の滑るコンディションを実戦で経験しているのはアドヴァンテージでもある。球聖位決定戦のフォーマットは前日より2セット増えて、ナインボール7先交互ブレイク、5セット先取だ。

試合は小宮のマスワリでスタート。増渕もマスワリで続き、第1セットは接戦に。小宮はこのセットで2発目のマスワリを出すも、まだコンディションを掴み切れていない感じのミスが続き、5-5に追い付いたもののスクラッチが続いて増渕が先制する。

まずは増渕が先制

しかし第2セットからは小宮が徐々にペースを握り始め、7-4,7-4,7-1と3セットを連取。第4セット終了時点でのマスワリ数は小宮11に対して増渕3と大差がついてしまっていた。だが長丁場のタイトル戦はそう簡単には終わらない。第5セットに入って、大応援団に後押しされた増渕が息を吹き返し、自分ブレイクでの3連取を含む4発のマスワリで小宮を3点に抑えこむ。

小宮が3セット連取でリードを奪う

そして迎えた第5セットが今回のクライマックス。嫌な流れを変えたい小宮と、勢いに乗ってセットカウントを振り出しに戻したい増渕の意地と意地がぶつかり合い、1-1で迎えた第3ラックの増渕ブレイクからマスワリ合戦がスタート。両者譲らず2人合わせて実に6連マス! そして第9ラック、増渕は7連マスまであと1個まで辿り着く。

今録画を見直してみても、傍目にはミスしようのない完璧なポジションだったのだが、増渕はこれをとばしてしまう。お互いにミスが出ない状況が40分近く続き、本人達にしか分からないプレッシャーがどんどん強くなっていっていたであろうことは想像に難くないが、増渕にとっては悔やんでも悔やみきれない一球になってしまった。

第5セット以降の流れを掴んだのは小宮

ここから増渕も一つ返したが、7-5で小宮がセットカウントリーチ。第7セットは小宮のイリーガルから増渕が先取するも小宮が4連取で主導権を握り、第8ラックは増渕の③入れスクラッチで小宮が6-2リーチ。小宮は次の第9ラックを万感の思いのこもった渾身のマスワリで締め、3期連続防衛に成功だ。

小宮応援団

増渕応援団

これで球聖位は通算4期に。球聖位は喜島安広の通算6期が最高だが、連続4期は高橋邦彦、喜島安広に並ぶタイ記録になる。ちなみに両者の5期目は、高橋がプロ入りし、喜島は大坪和史とのフルセット死闘を落として失冠している。果たして来期の小宮はどうなるだろうか。

この一年の小宮は第一子誕生によって生活環境も変化し、球を撞く時間は減っていたそうだ。ホームの「Anything」に足繁く通って防衛戦に備えるというわけにもいかなかったようだ。この日の小宮はヒネリや力の加減がわずかに合わず、穴に蹴られてしまう「ほんのちょっとずれた」ミスが多かった。しかしそうしたズレが時間と共に微調整されていった点はさすがだった。果たして最強アマチュアを倒すのは誰か。小宮の次の目標は6月末におこなわれる全日本アマナイン連覇だ。

On the hill!

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