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吉岡正登が故郷に錦を飾るV!

2023.02.15

第26回京都オープン

暖かい陽が射した2月12日(日)の京都。市内および近郊の計11軒のビリヤード場を用いて『第26回京都オープン』が催された。
新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となったが、過去最多となる309名の参加者を迎え、主催の京都府ビリヤード協会および京都ローテーションクラブ(KRC)のメンバーが一丸となって運営に当たった。

京都オープンはショートゲームのハンデ戦(プロ6、A級5、B級4ラック先取)。ローカルオープン的なポジションだが、歴代優勝者に豪華なレジェンドクラスが名を連ねる。
第1回に片岡久直(JPBA)、その後は奥村健(現JPBF)、利川章雲(JPBA)、そして川端聡(JPBA)の2連覇。また4年連続でアマチュアが優勝したり、フィリピン勢が4年続けてタイトルをさらったりと、かなり興味深い歴史がある。
2010年代には飯間智也の2連覇後に大井直幸が3連覇を達成。そして前回開催(2020年)は学生時代を京都で過ごした強豪アマ・中野雅之が第2の故郷に錦を飾っている。

3位タイ:田代亮太(春岡クラブ2)

長い前置きはここまでにして、当日は計45組に振り分けられたWイリミネーションの予選を経て、ベスト256の回転からシングルで計15名まで絞り込み、前回優勝シードの中野が待つ本戦会場(『Y’s』)に集結した。
ベスト16からはYouTube配信に音声解説も入り、そこに本大会最多ファイナル進出(5回)の記録を持ち、昨年のジャパンオープン覇者でもある飯間がマイクの前に座り決勝戦まで解説するサービスぶり。
また吉岡正登(JPBA)も対戦相手が到着するまでの間に自ら実況を買って出たり、鳥取から参戦した有田秀彰も飛び入りでナイスボイスを披露するなど、アットホームで温かい雰囲気を形にしていた。

3位タイ:山岡修二

本戦会場でもっとも注目を集めたのは最年少15歳の金澤蒼生アマ(サムライ)。若き勇者が猛スピードでランナウトの山を築く様に、多くのギャラリーが熱視線を送っていた。
その金澤はベスト16から杉原匡、浅野正人、山岡修二(いずれもJPBA)という強豪プロをなぎ倒して、同大会で最年少決勝進出を決める。
一方の山では、前回優勝者の中野を竹中寛(JPBA)が完封してプロの貫録を見せる。次の回転ではその竹中を今度は田代亮太アマ(春岡クラブ2)が完封勝ち。
その田代をワールドワイドに活躍中の吉岡が6-1のスコアで仕留めて自身初となる本大会ファイナル行きを決めた。

『令和版なにわのプリンス』にしても中学生の金澤とは22歳差。この注目を集めた一戦は、ファイナルの緊張感か、タイトなコンディションの影響か、両者にそれまでになかったミスが出る。
と言っても、この日の両者の仕上がりにしては、程度のものだが。
そしてゲームを決めたのは金澤が追い上げて5-3とした第9ラック。取り出しの①を上手く決めて②⑨コンビを狙うも逸らす。吉岡が残りをきっちり取り切り、ご両親が見守る中、最後まで奮闘した金澤を抑えて、京都オープン初優勝を飾った。

準優勝:金澤蒼生(サムライ)

終了後にいつもの爽やかな笑顔で「やっと(京都オープンで)勝つことが出来ました。ようやく故郷に錦を飾れました」と語った京都生まれの吉岡。
一方、歴代最年少ファイナリストにして最年少ベストアマ賞を獲得した金澤は、疲れた様子もなく笑顔で「優勝したかったです。でも予選を勝ち上がれたことがまずよかったです。今年の目標はタイトルを獲れたらいいなと思います」
とコメント。また3位の山岡は「2度目の3位・・・。精進します」とワンデートーナメントを勝ち上がる過酷さを表情が物語っていた。
同じく3位入賞の田代は「準決勝で敗れましたが、昔の仲間と入賞できて最高です!」と声を弾ませた。

優勝:吉岡正登

そう、実は吉岡と山岡と田代の3人は、京都オープンの初代優勝者でもある片岡久直プロ(JPBA)が経営する『ボンバークラブ』(大阪府茨木市)の出身。
過去には同店所属の下川晃義アマが、本大会でアマチュアで唯一2連覇を達成したこともある。
今回のOB勢の活躍について片岡プロは「報告ももらって、やっぱり嬉しいですよね。ただ、ここに現役の所属選手が入ったらもっと嬉しかったかな? でもOBの活躍は嬉しいし、吉岡君には『世界で活躍を』といつも言っているので、今年も海外戦の報告が入ることを楽しみにしています」と檄を飛ばした。
また片岡プロは田代選手が同店にスタッフとして入った頃のことも懐かしそうに語ってくれた。

 

左から3位タイ:山岡修二、優勝:吉岡正登、準優勝:金澤蒼生(サムライ)、3位タイ:田代亮太(春岡クラブ2)

ビリヤードに歴史あり。ビリヤード場に物語あり。26回目の京都オープンもまたひとつ年輪を重ねた。
主催の京都府ビリヤード協会の小堀泰次郎理事長は「過去最多の309人という出場者を迎えて、終了時間を心配する声も上がりましたが、参加者の皆さん、運営に協力をしてくれた皆さんのお陰でスムーズな進行となりました。来年以降もより良い大会にしていきたいと思いますのでよろしくお願いします」
と、感謝の気持ちを添えて盛会を喜んだ。玉のみやこの一大イベントはスケールアップしつつクオリティも高めて未来へと続く。

Akira TAKATA

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