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北谷好宏が地元で貫録のV!

2022.07.04

西日本グランプリ第2戦

7月3日の日曜日。佐賀市の『sesSion(セッション)』において『西日本グランプリ第2戦』か開催された。九州でのグランプリ開催は実に11年ぶりで、関西や東海のプロにとっては文字通りの『遠征』。また九州地区のプロアマ選手は、西日本の上位プロが揃って参戦するグランプリを「見て」「戦って」「交流して」楽しむイベントとして期待も大きかった様子。無論九州のトッププロにすれば、地元勢タイトル死守の意地と重圧を感じたことだろう。

会場『セッション』

また今回は久しぶりの九州開催という以外に、もうひとつ大きなトピックスがあった。それは予選を含めてすべてを単独会場で完結したという点。これは会場のセッションが通常営業の店舗の奥に18台のポケットテーブルを常設した特設さながらのスペースを有するから実現したもの。訪れた選手が口々に「体育館みたい」「天井が高い」「台間が広い」と声に出してリアクションをするほど驚く姿も印象的だった。

3位タイ:赤司哲雄アマ(正崎)

会場の広さにどことなく特設のような雰囲気も感じつつ試合は順調に進んでいく。予選14枠の頂点が出揃ったところで、前回優勝シード(アマチュアが優勝のため準優勝)の竹中寛とスポンサーシードの北谷好宏を加えた16名でラストラウンドがスタートした。ここで特筆は九州勢が16人枠中7人(プロ3、アマ4)が残ったこと。ベスト16にアマチュアが4人入った例はほとんど記憶になく、この状況はシンプルに九州勢のレベルの高さと層の厚さと捉えてよいだろう。

3位タイ:川端聡

さらに九州男児の勢いは止まらず、準決勝では4人中3人を九州で占めた。その顔ぶれは枠順に赤司哲雄アマ(正崎)、北谷好、川端聡、重田寛之アマ(淡路)という面々。ここで北谷は大量リードから赤司の猛追に遭い少し暗雲が立ち込めたが、追う赤司にも重圧がかかったか、結果7-4のスコアで北谷が逃げ切った。隣の川端と重田は中盤まで激しく競り合う展開の後に、終盤は重田がきっちりポイントを押さえて逃げ切った。(スコアは7-5)

準優勝:重田寛之アマ(淡路)

こうしてファイナルは北谷と重田のプロアマ対決となった。北谷といえば技術・知識・パワーの三拍子を備えたトッププロ。一方の重田は北谷(父)が経営するビリヤード『淡路』の常連客で、互いに長年にわたって親交を持つ馴染みの間柄だという。また重田のビリヤードについては、九州のプロアマが揃って極めて高い評価を口にしていた。北谷にすれば、これほど複雑な心境で重圧を負う試合もそうそうないだろう。

優勝:北谷好宏

北谷が3-0とスタートダッシュを決めたところで、決勝戦の勝勢が見えたかに感じた。しかしそれは勘違い。4-2としたところで3連取を許し逆転を喫する。しかし北谷も2連取で先にリーチをかける。だが重田も追いつきヒルヒルに。そんなドラマティックな展開にギャラリーも釘づけ。重田の最後のブレイクは③イン。グッドヒットも取り出しは微妙に攻めることができない。ここからクッション巧者同士のセーフティ戦が始まる。

ようやく①の視界が開けた重田。ここにきてポケットに弾かれた①。最後に訪れたチャンスを前に北谷は大事に大事にシュミレーションを繰り返した。長考の末に北谷は逆ヒネリの撞点を用いて②⑩コンビが狙える側に手球を運んだ。そして慎重に狙って、きっちりと沈めた。地元九州のエースという重圧、スポンサーシードの重圧、アマチュアと対戦する重圧。北谷は様々な重圧を背負って1日を戦い、最高の笑顔で締め括った。「本当に嬉しいですね」という言葉の中に想いや重圧、そして達成感が詰まった深くて長い1日を最高の形で締めた北谷。8月にも同店を舞台に第3戦の開催が予定されている。興味深く追いかけたい。

左から、3位タイ:赤司哲雄アマ(正崎)、優勝:北谷好宏、準優勝:重田寛之アマ(淡路)、3位タイ:川端聡

写真・文/Akira TAKATA

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