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小宮鐘之介、圧巻の初防衛成功!

2022.05.17

第30期球聖戦 挑戦者決定戦・球聖位決定戦@Anything

GWも終わった5月の週末、第30期球聖位決定戦が開催された。土曜日が東西代表による挑戦者決定戦で、日曜日が球聖位決定戦というスケジュール。どちらも現球聖位のホームを会場にして開催されるのが慣例だ。

会場『Anything』

3月におこなわれた東日本A級戦は実力者が揃った激戦となった。第27期球聖位の喜島安広がベスト8で鹿児島記念国体覇者の川連一斗に、第28期球聖位の小笠原晋吾がベスト16で元アマナイン覇者の青木聖に敗れて復位チャレンジはならず。川連を倒した青木に決勝で競り勝った神奈川の小宮裕樹が、第27期以来となる2度目の東日本代表の座を手にした。小宮裕樹は昨年12月の東日本埼玉でも優勝と、最近勢いがあるプレイヤーだ。

小宮裕樹

対する広島の高上真一は4月に大阪でおこなわれた西日本A級決勝で「国体記念大会3連覇」男こと、愛知の島田隆嗣を倒して東上権利を獲得。JAPAタイトル戦への登場はこれが初めてだ。また、55歳での東西代表は恐らく最年長記録の更新ではないだろうか。

高上真一

現球聖位、小宮鐘之介のホームは千葉県松戸市の「Anything」。両代表は前日入りして挑戦者決定戦に臨んだ。フォーマットはナインボール交互ブレイク7先の3セット先取。試合は高上のブレイクでスタート。第1セットは5-5まで競ったものの、高上が突き放して7-5で先制。続く第2セットは小宮裕樹が第1ラックを取ってスタートしたものの、高上がすぐ逆転して7-3でリーチ。第3セット、ここは後がない小宮裕樹が奮起して7-2で1セット取り返した。勢いに乗って次を取ればもう勝負はわからなくなるが、第4セットは序盤2回のファウルを利して高上が3-0とリードを奪い、7-1で勝利。高上、長距離移動や初めての店での試合といった様々な不利を跳ね返して、翌日に駒を進めた。

小宮鐘之介

球聖位決定戦はセット数が2つ増えて5セット先取。フルセットにもつれ込めば10時間を越える長丁場になるスタミナ勝負の側面もあるが、今回は全く逆の展開になってしまった。「ホームの利」という言葉があるが、これはとても不安定なアドヴァンテージで、扱い損ねると簡単に逆に作用してしまうものだが、最大限に活用すれば圧倒的な力となる。この日の小宮鐘之介がまさにそれ。残念ながら高上は試合中一度もリードを奪うことが出来ず、5セットを連取されてしまった。

高上からすればもちろん悔いが残る一戦ではあっただろうが、それくらいこの日の小宮鐘之介の出来は素晴らしかった。少なくとも周囲の眼には全くプレッシャーを感じているようには見えず、まるでホームのハウストーナメントでプレーしているかのよう。タイトル戦でこれだけ伸び伸び撞く姿はちょっと記憶にないし、セットカウント5―0は10年以上球聖戦を取材している筆者に初めてだ。ちなみに小宮鐘之介は前回1セット取られてから5連取して球聖位に就いているので、現在10セット連取継続中ということになる。果たしてこの記録が第31期でどこまで伸びるのか楽しみだ。

最後に1つ今回で特筆すべきは、2日間計88ラックで一度も⑨ボールのミスがなかったこと。新羅紗とはいえ、写真の通りコーナーはかなり渋めだったのだが、3選手揃って震えることなく⑨ボールを入れ続けたことに拍手を送りたい。

JAPAの次なるビッグイベントは6月第1週の和歌山、全国アマ連員にとって1年の集大成、3年ぶりに開催される都道府県対抗だ。

写真・文/『on the hill!

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