カミー、有終の美を飾り次のステージへ
第20回JPBAシニアオープン@サンク
最初にして最後のシニアオープンで優勝を果たした神箸久貴
12月5日の日曜日。京都の『サンク』において『第20回JPBAシニアオープン』が開催された。結論から先に入ると、この大会を制したのは、初出場の神箸久貴。出場権利(50歳以上)を得た昨年はコロナ禍で非開催だったため、今年が同大会に初めての参戦となっていた。
「今日は引退試合ということで応援に来ました」
会場で会った梢夫人から聞いて、神箸の引退試合だと知った。春に愛知県で開かれた『グランプリウエスト第1戦』の会場で「ポケットを引退してキャロムのプロになる」という話は本人から教えてもらっていたが、まさか今日がその日だとは。
会場となった『サンク』
この大会は2002年の創設当初から『ポケット界の同窓会』的な意味合いを持つ。歴代のプロアマ名手や趣味で続けている人も含めて、同じ競技に関わってきた者同士が再会を喜び、健在ぶりを披露し合う場でもある。「目が」、「腰が」と、老化を嘆く声も飛び交うものの、形が出来上がった時の無駄のないスピーディーな取り切りなどは、現役のプレイヤーにとっても参考になる点が多い。フォーマットはテンボール勝者ブレイク、6ラック先取。決勝シングルは今年は「終了時間を早めるため」(大江明西日本ブロック長)5先とした。
3位タイ・慈幸徳樹
3位タイ・石川淳
そして神箸のような現役世代も混じっている。3年前に青山和弘(JPBA)が優勝した時も満50歳で、ビリヤードでは現役の第一線で戦う年齢だ。引退試合で有終の美を飾りたい神箸は、予選から無傷でベスト16へ進出すると、津田徹、田島正典、そして予選の再戦となった慈幸徳樹と、3人のアマチュア選手を退けて決勝戦へ駒を進めた。一方の山からは、いぶし銀・大橋清孝が、松島睦真アマ、そして横田武、石川淳というベテランプロを連破しての登場だ。
準優勝・大橋清孝
神箸曰く「僕がアマチュアで少し芽を出し始めた頃、既にトッププロとして活躍していた雲の上の存在」が大橋。そのダンディズムは今も健在で、独自に醸し出す雰囲気も変わらない。それでも神箸が25年にわたるJPBAプロ生活最高のフィニッシュを目指すことに変わりはない。試合は1-1から神箸が4連取をして5-1のスコアで優勝を決めた。ゲームボールを沈めた後、神箸に促され駆け寄った梢夫人と抱擁を交わし、その後に梢夫人は神箸に向かって「お疲れさま」労うように何度も頭を下げた。
表彰式で梢夫人と
「最高の形で(ポケットプロの)現役を締めくくることが出来て嬉しいです」と満面の笑みで語った神箸。キャロムのプロ転向については、「色んな事情から自分を必要としてくれる状況ということなので、何かお役に立てたら、という思いでJPBFにお世話になります」とのこと。「今後もキャロム、ポケット、スヌーカーという枠に関係なく、ビリヤードを盛り上げていけたら」と、変わらぬ意欲も示した。
大会ベスト4。左から3位タイ・石川、優勝・神箸、準優勝・大橋、3位タイ・慈幸
いつも以上に明るい雰囲気の表彰式が、神箸の人柄と貢献度を何よりも物語っていた。最高の形で区切りをつけた神箸。今後の活躍と繁栄に期待が寄せられる。まずはひとまず、長いプロ生活お疲れさまでした。感謝の気持ちを込めて。
JPBA斉藤健悟理事長と
Akira TAKATA