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小宮鐘之介が球聖位を奪取!

2021.10.11

第29期球聖戦 球聖位決定戦

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初挑戦でタイトルを獲得した小宮鐘之介

10月10日(日)、東京の『AZ.Place』で『第29期 球聖位決定戦』がおこなわれた。前日に杉本優太をセットカウント3-0で倒して現球聖、小笠原晋吾への挑戦権を得た東日本代表の小宮鐘之介がこの日も躍動。セットカウント5-1で小笠原を倒し、小宮が初挑戦にして見事にJAPAタイトル獲得だ。ちなみに球聖位決定戦がJAPA連盟員ではない選手同士で争われたのは第11期以来であり、これで二期連続してJAPA連盟員以外から新球聖位が誕生したことになる。

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会場となった『AZ.Place』

前日の勝利で勢いに乗る挑戦者に対して、小笠原にはホーム開催という地の利と、球聖位獲得以来、マスターズや名人戦といったアマ連タイトル戦で上位争いをしてきた経験値がある。第1セットは共にマスワリを出せない展開から小笠原がリードを奪い、6-4リーチからこの日の初マスワリが小宮に出て6-5となるも、小笠原もマスワリでこのセットを締めた。

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小笠原晋吾

しかし第2セットの第3ラックがこの日最初のターニングポイント。小宮2-0で迎えたこのラック、小宮が9番コーナーをミスしたがこれがサイドにインしてマスワリに。そのまま7-1で小宮がこのセットを取り、スコアはイーブンに戻る。続く第3、第4セットではマスワリ数が小宮5に対して小笠原0。先にペースを掴んだ小宮が3セット連取に成功する。

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小宮は前日の勢いそのままのプレーを見せた

第5セットは小宮の4-1リードから小笠原が巻き返してヒルヒルに。最終ブレイクの小宮、取り出しが見えてマスワリかと思われたが、決して難しくはなかった7番をミス。この残り球が行くに行けない微妙な配置。エクステンションを使い切って悩んだ小笠原の選択はセーフティだったが、入れが残ってしまう。小宮が取り切ってリーチ。

そして後がなくなった第6ラックで小笠原はこの日一番のプレーを見せる。3-0ビハインドから自身のブレイク番で4連マスを出して逆転。しかし、6-5リーチで上がり5連マス!……となるはずだった9番をミスしてしまいヒルヒルに。最終ラックは4番の攻防からオープンになったところで小宮が取り切り、一気に頂点へと上り詰めた。

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この試合、結果から見れば、先にブレイクが決まりだした小宮が試合のペースを握り、小笠原の倍となる14回のマスワリを出して圧倒したことになる。だが、第5&6セットの結果次第では大接戦に縺れ込んでもおかしくなかったはず。勝負の女神はこの週末、常に小宮に微笑んでいたようだ。

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小宮は今年27歳になる。20代での球聖位は第13期、当時22歳だった栗林達(現プロ)まで遡らなければいけないから、久々に若き球聖位が誕生したわけだ。そして次期球聖戦、第30期は年明けの2月から予選がスタート予定になっている。将棋の世界にある「タイトルは防衛して一人前」という有名な言葉をご存じだろうか。失うもののない挑戦者と、守るべきものが出来てしまったタイトル保持者では気持ちの上で大きな違いがあるから、防衛に成功して初めて、本当のタイトルホルダーになれるという意味だ。この週末、小宮の出来が秀逸だったのは明らかだが、初防衛戦の見えないプレッシャーから小笠原が自分のリズムで撞けなかったのも事実。順調なら7ヶ月後に開催されるであろう防衛戦で、27歳の若武者がどんな戦いぶりを見せるのか今から楽しみでならない。

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