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中野雅之が第二の故郷で念願のV!

2020.02.10

第25回京都オープン

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大会初優勝を果たした中野雅之

2月9日の日曜日。朝から雪が舞った”玉のみやこ”京都で『第25回京都オープン』が開催された。今年の決勝会場は『サンク』(京都市伏見区)で、予選は京都府ビリヤード協会加盟店舗計11店を用いて行われた。15組の予選枠から決勝会場へ進めるのは各組1人と非常に狭き門。そこに前年度優勝シードの飯間智也(JPBA)が加わって、夕方に決戦の火蓋が切って落とされた。

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決勝会場となった『サンク』

16名に残った選手の内訳は飯間を含む男子プロ4名、男子アマ10名、そしてフィリピンのラミル・ガレゴに紅一点の久保田知子(JPBA)。男子プロ6ラック、男子アマA級・女子プロ5ラック、男子アマB級・女子アマ4ラック先取りのショートゲームのハンディ戦とはいえ、今年は男子アマの躍進が目立つ格好に。そしてベスト8へは、枠順に飯間、竹中寛(JPBA)、中野雅之(ファイブナイン)、大塚郷司(K)、山下直生(BUZZ)、ガレゴ、佐藤正行(ウィリー)、宮本一(ブレイクナイン)というメンバーが勝ち残った。

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女子プロとして唯一ベスト16に勝ち残った久保田知子

飯間と竹中の西日本トッププロ対決は優勢で折り返した飯間がそのまま6-2。ともに現在は広島を拠点とし互いに手の内を知る中野と大塚は、随所でスーパーショットを披露しあった末、5-3で中野に軍配。地元KRC(京都ローテーションクラブ)最後の砦となった山下とガレゴの一戦はフルゲームとなり、最終ラックで見応え十二分な長時間にわたる白熱した攻防を山下がドラマティックに制した。

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3位タイ・山下直生

2010年の本大会で準優勝の成績を収めた後にプロ転向を果たし、2018年に惜しまれつつ引退した経歴を持つ佐藤は久しぶりの表舞台への登場。対するは兵庫の球巧者として知られる宮本。このゲームはスタートで3連取のダッシュを決めた宮本がリードを守り切り準決勝へ。スコアは5-3。

こうして準決勝は飯間vs中野、山下vs宮本のカードとなる。ここで京都オープンということで京都ゆかりの選手をあらためて紹介させていただく。中野は宮城県の出身で大学受験時にビリヤードの環境も考慮して京都を選び、ここで頭角を現してKRCの主力にまで成長。学生生活最後に当時京都で開催されていた『全日本アマチュアポケットビリヤード選手権』(アマローテ)で日本一の座に就き、その後の活躍は周知の通り。

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3位タイ・飯間智也

宮崎県出身の山下も大学進学にともない京都市民となり、こちらは京都でビリヤードと出会い、その後は中野と同じく学生時代からKRCに籍を置き『KANSAI 14-1』も制した若き京都のエース格の一人。過去にCUE’S誌面でも紹介をした通り、京大医学部出身という異色のキャリアを持ち、今なお多忙な業務の合間を縫って積極的にトーナメントにも参戦中。この2人にはやはりホームのムードが後押しをする。そんな注目の中で準決勝がスタートした。

飯間が軽快に走るが粘る中野がフルゲームに追い付く。最終ラックは6番と7番のトラブルが肝。しかし事前での解消はならず、6番でのセーフティ戦へともつれこんだ。これを制した中野が「学生時代から出場を続けている」京都オープンで自身初の決勝戦進出を果たした。一方のカードは序盤を山下が優位に運ぶが、山下が「(クラブの)対抗戦などでも対戦していますが、最難敵の1人」と実力を認める宮本が終盤のゲームを支配して、こちらも本大会初のファイナル進出を決めた。

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決勝はアマ対決となった

決勝戦のバンキングを制したのは宮本。マスワリスタートかと思われたが5番を僅かに逸らすと、残りを取り切った中野がマスワリ3連発を見舞って一気にリーチをかける。この間、積極的な攻撃とその精度の高さにギャラリーから嘆息が漏れること数度。第5ラックは難解な配置でようやく宮本に出番がまわったが、制約の多い条件下での取り切りには至らず、最後は6番でチャンスを得た中野がランアウトを決め優勝を飾った。

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準優勝・宮本一

「学生の頃から出場し続けてきた思い入れの強い大会なので喜びもひとしおです」とは優勝を決めた直後の中野のコメント。激闘が続いた長い1日の疲れも吹き飛ばす笑顔を見せて、家族が待つという滋賀県の保養所へと向かった。一方、惜しくも準優勝に終わった宮本だが実力の高さは存分に披露した印象。しかし「まだ(優勝という)結果を出すには、自分には不足が多く足りない点を感じました。また練習をしてきます」と謙虚な言葉で締め括った。

年々、遠方からの参加者も増えて盛り上がりを見せる本大会。さかのぼって過去25大会を調べてみたところ、開催時に京都在住の選手で優勝を果たしたのは2006年の西拓也(アマチュア)ただ1人。京都に所縁の深い中野の活躍に触発されて来年以降、京都のプロアマ名手達の発奮にも期待したい。

Akira TAKATA

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