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門前貴大と谷みいなが初制覇!

2019.11.19
第6回日本学生ナインボール選手権大会

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会場となった兵庫県尼崎市の『あましんアルカイックホール・オクト』

11月17日(日)に『第6回日本学生ナインボール選手権大会』が兵庫県尼崎市の『あましんアルカイックホールオクト』において開催された。33名が参加した『大学生・高校生の部』はダブルイリミネーションの予選を行い、16名による決勝シングルをいずれも4ラック先取。11名が出場した『中学生・小学生の部』は3ラック先取で、2グループに分かれたリーグ戦の各グループ上位2名、計4名による決勝シングルというフォーマットで行われた。

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小学生・中学生の部ファイナルは昨年優勝の織田賢人(左)と今年アジア選手権ダブルスで優勝に輝いた谷みいな(右)の対戦

ジュニア世代のレベルアップは目覚ましい。この日は”教え子”の応援にJPBAのプロたちも会場に姿を見せていたが、「中学生・小学生のレベルがもうジュニアの域ではない」といった声が複数上がっていたほど。昨年の同部門のチャンピオンである織田賢人(四日市市立河原田小学校)も一段と安定感を纏った球を披露したが、ファイナルでは今年のアジア選手権ダブルスで優勝を果たした谷みいな(南毛利中学校)が更に上回る内容を見せ、3-1でゲームを制して初優勝を飾った。

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今年は谷にとって実りのある1年だったことだろう

試合後に谷は「昨年3位だったこと。そして今年がこの部門で出場できる最後の年なので優勝できて嬉しいです」と満面の笑みを浮かべた。そして充実したプレーに話を向けると、「(今日の自分の状態は)いいんじゃない!? って」と爽やかな笑顔を咲かせた。またジュニア世代は保護者も親交が深まっていて、「精神面でも安定していて、今日はみいなちゃんの日でしたね」と、子供のライバルへ賛辞を贈る温かい声も印象的。谷は来年は次の部門での活躍を、織田は返り咲きを、それぞれの目標を土産に名残りを惜しみながらの散会となった。

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初出場で初の決勝のステージへ上がった門前貴大(左)vsディフェンディングチャンピオンの劉之渝(右)

大学生・高校生の部門でも同様に、昨年の優勝者がファイナルに進出。ディフェンディングチャンピオンである劉之渝(日本大学)は、無傷で決勝シングルへ進出を果たすと、昨年ファイナルの再戦となる上手佑香戦(ベスト8)を含む3試合すべてを1点に抑えて決勝戦へ。対するのは、こちらも頭ひとつ抜け出した印象の門前貴大(中央大学)。逆転に次ぐ逆転の好ゲームは第6ラックで?から取り切った劉が追い付きフルゲームに突入。劉が回ってきた薄めでやや距離がある?を見事に沈めるも、手球が?にキスをしてスクラッチ。門前が残り2球をきっちり取って初出場初優勝を決めた。

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門前は学生最後の年を見事優勝で締めくくった。

「昨年は学校のテストがあり出場できず4年の今年が初出場」だった門前。「A級になって約1年」という話に長けた安定感にも納得させられる。さらに興味深い話は続いた。「大学に入ってビリヤードを始めた頃、まわりの人から『ちゃんと単位が取れるのか?』と心配されましたが、4年で卒業出来るメドが立ち、就職も無事に決まったので両立できたことが嬉しいです」と、ビリヤードに捧げた学生生活と、本分を全うした集大成としてのタイトル奪取に喜びもひとしおという様子だった。一方、敗れた劉は「(最後のアンラッキーな結末について)ビリヤードはそういうもんです」と昨年以上に流暢な日本語で上級者らしいコメントを発した。そして最後は「来年取り返しに来ます」と締め括った。

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小学生・中学生の部、優勝:谷みいな

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高校生・大学生の部、優勝:門前貴大(中央大学)

こうして両部門で新王者が誕生した今大会。昨年もまったく同じことを感じて記した記憶があるのだが、今年もやはりビリヤードが競技として浸透して、次世代、次々世代の選手が育っていることを実感した。前述のような保護者を含む家族での交流や、会場の爽やかでフェアな雰囲気もしかりで、何よりビリヤードに対して真摯に取り組んでいる姿勢が試合中の態度から伝わってくるプレイヤーが多いこと。背景には過去に世界選手権やアジア競技大会といった舞台で結果を出してきた先輩たちの影響があると感じ、そこには明るい未来しか見えない。彼ら彼女らに一層輝いてもらって更に次の世代を繁栄させていくためにも、練習環境や試合環境の整備向上は我々大人の責任であることもあらためて。

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小学生・中学生の部、入賞者。左から3位タイ:金澤蒼生、優勝:谷みいな、準優勝:織田賢人、3位タイ:増田薫

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高校生・大学生の部、入賞者。左から3位タイ:斎藤輝、優勝:門前貴大、準優勝:劉之渝、3位タイ:御喜田宰

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小学生・中学生の部3位タイの金澤蒼生(左)と準優勝の織田賢人(右)

写真提供・文/Akira takata

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