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過去のニュース(2016年)

2016.12.25 トーナメント

河原千尋が世界女王にもう一歩、羅立文はアジア連覇

2016年のワールドプールシーン

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2016年も残すところ1週間、今年も日本、そして海外のビリヤードシーンで数多くのプレイヤーが活躍し、様々なドラマが生まれた。今日から6回に渡って、そんな2016年シーズンを振り返っていく。まずは積極的に世界に挑んだJPBAプレイヤー達の足跡を中心に、新星登場、悲願の初優勝など話題の多かった世界のプールシーンにスポットを当ててみたい。

今年、JPBA勢の中でもっとも世界で力を発揮したのは、やはり河原千尋だろう。未だ記憶に新しい今月開催の『女子ナインボール世界選手権』で初の決勝進出。優勝こそならなかったものの、昨年大会の4位からまた一つ順位を上げて準優勝。最新のWPA女子ランキングでも、6位に順位をアップさせた。

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河原はアムウェイカップでも自己最高の3位タイでフィニッシュ


2016年に河原が挑んだWPAランキング対象の国際トーナメントは3位タイだった『アムウェイカップ』、9位タイの『チャイナオープン』、そして『女子ナインボール世界選手権』の3試合。いずれもベスト16以内に入る安定した強さを見せたことで、日本のエースとしてさらに世界での存在感を増した。国内でも4年連続MVPを獲得した河原の2017年にはいよいよ世界獲りの期待がかかる。

2016年JPBA男子のトップ3は、土方隼斗羅立文大井直幸。1月の『チャイニーズエイトボールマスターズ』を皮切りに、例年にも増して海外遠征を増やした大井、国内での圧倒的な成績を自信に海を渡った土方、それぞれに海外トップ勢と堂々渡り合ったが、優勝という実績を残したのは羅であった。

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2016年、大井直幸はJPBA勢の中で最も多く海外戦に出場


今年のJPBA男子ランキングは土方に続く2位ながら、国内では勝利のなかった羅だが、まず8月に行われた『アジア選手権』決勝で、現在のWPA男子ランキング1位、台湾の柯秉逸を下して大会連覇を達成。ちなみに同時開催の『アジア選手権・ジュニアの部』では田中汰樹も優勝を果たした。さらに羅は、9月の『World Tournament of 14.1』では、優勝したミカ・イモネン(フィンランド)に敗れたものの3位タイでフィニッシュする活躍を見せた。

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アジア選手権で連覇を果たした羅立文(右)と田中汰樹


この2試合はいずれもWPAランキング対象ではないが、出場メンバーはともに世界選手権レベル。羅の正確無比なテクニックと勝負強さが、いずれもワールドクラスであることを証明するトーナメントであったことに間違いはないだろう。

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World Tournament of 14.1でダレン・アプルトンとツーショット。羅の14-1はアメリカでも話題となった(写真/羅立文)


こうしたトップランカーだけでなく、高みを目指す志を持つJPBA勢の海外挑戦は年々増加の傾向にあり、この流れが確実に国内のレベルを引き上げている。来る2017年、今年にも増したJPBA勢の世界での活躍を期待したい。

世界のプールシーンに目を向けてみると、今年開催された世界選手権は男女ナインボールのみと、やや寂しいシーズンとなった。男子ではオーストリアのアルビン・オーシャンがアメリカのエース、シェーン・バン・ボーニングを下して初優勝を果たし、女子は地元の韓雨が自身2度目の女王の座に就いた。

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オーシャンが初の世界タイトルを奪取(Photo Courtesy of Qatar Billiards & Snooker Federation/Bo Bader)


その他最も印象的であったのは、フィリピンのチェスカ・センテノの衝撃的な世界デビューだろう。一昨年の『ジュニアナインボール世界選手権』女子の部で優勝を果たしたセンテノは、今年6月の『アムウェイカップ』でテンポ抜群の攻撃的ビリヤードを武器に快進撃を見せ、決勝でケリー・フィッシャーを下して初のメジャータイトルを獲得。一気に女子のトップ戦線に名乗りをあげた。センテノのWPAランキングは現在、河原に次ぐ7位。来年以降も目が離せない存在だ。

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衝撃的なプレーで世界デビューを果たしたチェスカ・センテノ


2017年のWPAカレンダーを見てみると、1月に新たな『WORLD 8-BALL SERIES』の第1戦が予定されている他、9月には男女の『エイトボール世界選手権』さらには『ワールドゲームズ』『ユニバーシアード』といった国際競技大会も組み込まれている。日本勢の戦いはもちろんこと、これらのトーナメントが繰り広げられる世界のプールシーンで生まれる新たなスター、そしてドラマにも注目していきたい。