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2016.10.23 トピックス

北陸オープンに見えた光と影

第49回全日本選手権に向けて

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今シーズン圧倒的な力を見せている土方隼斗

先に行われた『第30回北陸オープン』は、既報の通り男子は土方隼斗が、女子は台湾の新鋭・王婉菱がそれぞれ初優勝を飾って、記念大会は幕を下ろした。今日はそこで示された勢力図や記録を見ながら、全日本選手権の見どころを探ってみたい。

まず男子の決勝戦、土方隼斗vs栗林達は、まさにワンツーフィニッシュと呼ぶにふさわしい好カードであった。栗林は北陸のファイナル進出は2年連続の計4度目で、優勝こそないものの、その実力がいかに高いかを如実に示す。一方、土方は今年すでに公式戦7勝目で、ビリヤードという運勢などの要素も絡む競技性を考えると、まさに「神ってる」状況だ。いや、今年の勝率は神の領域。

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栗林達は惜しくも北陸初制覇ならず

そして忘れてならないのが、高橋邦彦と並ぶ北陸5度の最多優勝タイ記録を持ち、今年は史上初の大会3連覇が懸っていた大井直幸。北陸参戦をあきらめ『USオープン』に挑戦して、勝者側で張榮麟、敗者側で柯秉中(ともに台湾)に敗れて終了となったものの、初戦から4戦連続の圧勝劇や、150名近い参加者の中で17位タイにつけたことは、満足のいく結果ではなくとも存在感を示したと言える。

ここに北陸では振るわなかったが昨年の選手権ではJPBA最後の砦として存在感を示した実力派・羅立文。そして川端聡田中雅明竹中寛北谷好宏赤狩山幸男らのキャリアを有するグループがチーム日本を支えつつ自らも海外勢を迎え撃っての頂点を狙っている。さらに塙圭介早瀬優治吉岡正登といった面々も近年のアベレージが安定感を示していて期待が寄せられる状況だ。

一方、女子を見てみると、北陸決勝日8人の中に台湾勢が4人。それも最年長が優勝した王の19歳で4人の平均年齢は17.5歳と、台湾の新勢力台頭を讃えると同時に、経験値の高さで壁とならなければチーム日本としては、選手権に赤信号が点滅しているという危機感を覚えるところ。北陸では台湾若手のワンツーフィニッシュとなったが、選手権にはさらに格上の先輩グループも来日することだろう。そして他の国からも。

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北陸でも存在感を見せた河原千尋

と厳しい状況予想を先に記したが、この北陸で3位入賞を果たした河原千尋は、準決勝でもエースの貫録を存分に見せる追い上げも披露し、現役選手として北陸入賞回数も5に伸ばして単独2位に踊り出た。国内リーグを牽引する河原は、着実に昨年よりパワーアップを果たしている。北陸で力を出し切れなかったものの、梶谷景美夕川景子曽根恭子高木まき子らのアベレージは高いところでキープされていて選手権に期待が寄せられる。また5位タイに入った野内麻聖美光岡純子は揃って復調気配で上向きであることは間違いない。

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驚異となった台湾若手勢

さらに今シーズン、戦績を伸ばしている栗林美幸藤田知枝藤井寛美青木絵美らは、それぞれ過去最高の状態で選手権に臨むことは間違いない。そこに大型新人・平口結貴らも強力な戦力となることだろう。

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復調気配の野内麻聖美

国内最大のトーナメントは、JPBA所属の各選手にとって最大の目標であると同時に、チーム日本としてはタイトル奪取・奪還が悲願となっている。海外から来襲するプレイヤーたちの多くがタイトルを獲りに来ている現状を踏まえると、勢力図として劣勢であることは否めない。だが、男女とも日の丸を背負て戦う覚悟を決めたプロが一定数存在し、地道に準備を重ねている。

さかのぼれば全日本選手権に女子の部が創設されたのが1988年。男女揃って日本人選手が優勝したのは、1992年の利川章雲と梶谷景美が優勝して以来。それほど難しく、それほどに価値は高い。

Akira TAKATA