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過去のニュース(2015年)

2015.03.15 アイテム

間もなく発売! 伝統工芸コラボキュー

本物志向の"和"デザインキュー誕生

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デザインのポイントとなっているのが、京都の伝統技法『截金(きりかね)』


既にご存知の方も多いと思うが、今年6月には『第27回九州オープン』が『ハウステンボス』(長崎県)において『ハウステンボス九州オープン』として開催される。これはテーマパークとビリヤードのコラボレートということで、双方にとって新しい風を吹かせてそれぞれの活性化につなげようというもの。長崎といえばビリヤードが最初に伝来した 地だけに、この先どんな発展をしてゆくのかにも期待が寄せられるところだ。

コラボの話はトーナメントに限ったことではない。ビリヤードのキューと日本の伝統工芸が融合した作品が間もなくリリースされる。これは日本ビリヤード商工連合会々員である有限会社フォックス(北九州市)が手がけたもので、黒檀のストレートキューの上に『截金(きりかね)』と呼ばれる伝統工芸の手法でデザインを施したもの。截金とは、金箔を重ねて熱を加えて圧着した厚手の金箔を細く切り、筆を用いて文様にしてゆく伝統的技法で、仏像や仏画などその技術を施す対象は限られていた。

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デザインは筆によって直に施されたもの


しかしフォックスの代表を務める牧野診市廊氏が、京都に住む知人に「京都の伝統工芸を生かしたキューを作れないか」と相談したことをきっかけに、截金でキューに細工を入れる案が浮上。そして縁が縁を呼ぶ格好となり数少ない截金師の中で「秘伝とされる手法の公開をいとわず技術の継承に尽力し、截金が持つ可能性を広いジャンルに探っている」という松久真や(まつひさ・まや)先生と出会ってコラボまで話が進んだ。

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截金師・松久真や氏。松久宗琳仏所(京都市中京区)にて


制作過程においては「先入観を持たず自由に創作いただくために一切の制約を設けずに 『好きなようにデザインしてください』とお願いして」(牧野氏)、完全に"先生"にお任せの状況に。截金は下絵を描かず、頭にイメージしたものをフリーハンドで形にしてゆくものなので、先生のインスピレーションに委ねた結果、「想像を遥かに上回る秀逸なデザインに」(同)仕上がった。

そして先ごろ初回生産の2本のキューが完成し、いよいよ販売が開始される。「デザインは予算や(オーダーの場合は)リクエストを伝えた上で細かいデザインは先生にお任せ。 なので1本1本がまったくのオリジナルになります。そして次回はフラッグシップとなるような渾身の作品をお願いする予定。ただし先生も多忙な方なので、今後の生産スケジュールなどはまだ未定の段階」とのことなので、興味を持たれた方は早めにアプローチをするのがよさそうだ。

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完成した2本のキュー。価格は上が30万円、下が28万円(ともに税別)


それにしても本物の金が放つ輝きや、口伝継承されてきた伝統の技法が醸し出す圧倒的な"品格"は、キューという道具と京の伝統工芸を見事に融和させていて、まさに「ため息を誘う」美しさ。今後、国内に流通するのか、アンテナを張る欧米のコレクターが求めるのか、はたまた流行りの"爆買い"対象となるのか読めない点は多い。

しかし『メイド・イン・ジャパン』が持つ信頼性の高さは世界中が支持するところであり、日本の伝統工芸が持つ魅力もしかり。今後も様々なコラボが登場することに期待が高まるところだ。完成した2本(アダムジャパン社のムサシキューがベース)については、28万円と30万円(いずれも税別)という価格に決定。もちろん世界中を探しても絶対に作ることは叶わないコラボ作品。お問い合わせは下記まで。

ビリヤード&ダーツショップ フォックス
福岡県北九州市小倉北区井堀4丁目7-13-2F
TEL093-582-0234

Akira TAKTA