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過去のニュース(2013年)

2013.12.25 その他

船木耕司、飛躍の年。

2013年プレーバック・JPBF

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全日本選手権を含め4勝を挙げてのMVP獲得となった船木耕司(写真提供:JPBF/Carom Seminar)


2013年もJPBF(日本プロビリヤード連盟)のプロ公式戦では多くの名勝負が生まれた。本稿では主にスリークッション(以下、「3C」)戦線を中心に振り返っていこう。一言で言うならば、今年はやはり、年間プロ3CランキングMVPを獲得した船木耕司の「飛躍の年」だった。

船木は、5月の『全日本3C選手権』(初V)を皮切りに、7月『東北3C選手権』、9月『JPBF東日本プロマスターズ特別大会・アカデミーZ戦』(ファイナルでT・ブロムダールを倒す)、11月『アダム杯全日本プロ3C選手権』(初V)という4つのランキング対象試合に勝利して、2位の界敦康以下に大きなポイント差を付けて悠々と年間MVPに輝いた。

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全日本選手権では決勝で宮下崇生を破り悲願の初制覇


2008年に続く自身2度目のMVPだが、船木本人は、「初めて全日本選手権を制覇した上で年間1位にもなれたので、今回の方が喜びが大きいです」と語る。

その全日本選手権直後に船木が「今回の全日本選手権は従来より準備期間を長く取って、前年の9月ぐらいから日々コツコツとやってきました」と語るのを聞き、改めて国内スリークッション界における全日本選手権という大会の重みを実感した。「第70回」という節目の記念大会で初優勝を飾り、一つ高いステージに上がった船木が、来年どういう戦いを見せるのかが今から楽しみだ。

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萩原孝昌はプロ18年目で嬉しい公式戦初優勝を飾った


また今年は、2月の『東京オープン』で萩原孝昌がプロ入り18年目で初勝利を飾り、6月の『全関東3C』では、すでにアーティスティックビリヤードのフィールドでは優勝多数の界が、3C公式戦初優勝を決めた。界は一年を通じて高い入賞率を発揮し、年間ランキングで2位に入った。

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界敦康も3C公式戦初優勝を決めてランキング2位となった(写真提供:Carom Seminar)


さらに、ランキング対象試合ではないが、7月の『全日本アーティスティック選手権』では小林英明が大会初優勝で自身3つ目の「全日本」タイトルを獲得し(他は3Cとバンドゲーム)、10月の『全日本シニア3C選手権』では、ポケットビリヤード界で一時代を築いた後に2008年からJPBFプロとして活動している奥村健が嬉しい公式戦初優勝を飾った。

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奥村健も今年、JPBFプロとして初優勝(写真提供:JPBF)


国際大会に目を転じると、6月末の『アジアンインドア・マーシャルアーツゲームズ』のビリヤード競技で森陽一郎が「ワンクッション」で銅メダルを、そして、「スリークッション」では竹島欧が銅メダル、梅田竜二が金メダルを獲得した。

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梅田(左から2番目)はアジアンインドア・マーシャルアーツゲームズで日本初の金メダルを獲得(写真提供:NBA)


この梅田の金メダルは日本勢にとって同大会初の金メダルであり、梅田にとっては、『アジア大会』(2006年)、『世界選手権』(2007年)に続く名誉ある金メダルとなった。梅田は今年、日本国内では勝ち鞍が少なく(2月の『ヤマニカップ』のみ)、年間ランキングは3位に後退したが、この海外での強さと安心感、さすがは「日本No.1プレイヤー」である。

ここで、JPBF女子プロ達の戦いも振り返ろう。彼女達が出場するレディーストーナメントは例年とほぼ同様の開催数と規模で行われた。8月の『全日本レディース3C選手権』では「女王」肥田緒里恵が通算13度目の優勝を決めている。第20回大会で優勝13回......日本女子3C界の全体的な競技レベルが上昇傾向にある中で、今なお肥田は高い意識を持ってトップを張っている。また、年末には『レディース3C グランプリ』が6年ぶりに復活(5回目)。こちらは実力者・西本優子が2度目の優勝を手にした。

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女王・肥田緒里恵は今年もハイレベルなプレーを魅せた


来年、女子3C界で最大の注目は10月にギリシャで開催予定の『女子3C世界選手権』だ。昨年(2012年)東京で行われた前回大会では、優勝の東内那津未以下、表彰台を日本勢が独占した。ディフェンディングチャンピオンとして本番の出場権を持つ東内以外の日本代表は、現時点でまだ決まっていない。「世界一の女子3C強国」と言える日本だけに、国内代表選考会(※日程やフォーマットなどは未定)から熾烈な戦いが繰り広げられるはずだ。

以上、簡単ではあるが、2013年のプロスリークッションシーンを振り返ってみた。2014年の見所を述べるならば、挑まれる立場となる船木が梅田を始めとする国内トッププロ達をもう一度抑えこみ、海外でも結果を残すことができるかどうかだろう。2000年代後半の梅田がそうであったように、日本で勝ち続けて海外タイトルも獲って初めて「時代」を作ることができる。

T.KOBAYASHI(B.D.)