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過去のニュース(2013年)

2013.01.27 その他

2人で踏み出した大きな一歩

藤本コーチプロジェクトが始動

昨日のリポートで紹介した藤本共史氏のコーチ・プロジェクト続編を。東北の仙台出身で北陸の金沢を舞台に活躍中の櫻井裕之プロが、藤本氏のコーチを受けようと動き始めたのは昨年の秋。以後、メールを中心に様々なやりとりを経て、今シーズンより本格的にスタートを切ることになった。

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藤本氏と共にトップを目指すこととなった櫻井裕之プロ


その第一歩として藤本氏が選んだのは「世界に通じるレベルを体感する」というもので、これは「そのレベルを水準に練習に取り組んでいく」ためのもの。そこで白羽の矢が立ったのが「いつ世界を獲ってもおかしくない域にいる」大井直幸プロ。大井プロの快諾とプロが練習の拠点としている『Z(ツェット)九条店』の協力を得て、昨日の模擬試合が実現した。

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大井プロはいつでも元気。そして昨日もやはり上手くて強かった


「協力してもらった大井プロとセッティングしてくれた藤本さんに感謝しています」。会場に到着して挨拶を済ませた櫻井プロは、開口一番に2人への気持ちを述べて、軽いウォーミングアップの後にさっそく対戦をスタート。予定していたナインボール、テンボール、ローテーションの3種目を休むことなく消化した。

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ゲームを見守りながら、気がついた点は即座に携帯でメモを取る藤本氏


結果は大井プロの3勝で終わったが、櫻井プロは「貴重な体験ができ、とても勉強になりました」と上々の手応えを得た様子。本来ならこれで終わるところだが、対戦の一部始終を見守った藤本氏は、時折気づいた点を携帯でメモに残し、終了直後にレクチャーが始まる。今回は「全体に予想以上にしっかりとプレーできていた」とした上で、「ブレイクとラックが緊急の課題」であると示唆。

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「早急にクリアすべき課題」であるラックとブレイクのレクチャー風景


そこからレッスンがスタート。藤本氏が培ったラックの極意を惜しみなく伝授し、またブレイクについては安定した撞点と当て前をキープするための具体的なイメージの取り方が 伝えられた。さらに対戦の模様は櫻井プロが持参したビデオカメラに収められており、場所を変えて具体的な反省会が行われるとのこと。

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終了直後に櫻井プロの心情や反省を聞き出す藤本氏。ここが出発点だ


大井プロも櫻井プロにワンポイントアドバイスを送り、質問にも丁寧に答えていた。「なかなか(対戦しようと)来てくれる人はいないから僕も嬉しいですよ」とは大井プロ談。経験、そして課題を抽出して「2月の『京都オープンまでに』」と期限を切った練習目標を提示されて、櫻井プロも一層気を引き締めた様子。

新たな試みは伝える意義があるものの、プロに不用意なプレッシャーをかけてしまう懸念もある。しかし櫻井プロは「僕の故郷は津波で消えました。僕の師匠である森康人元プロをはじめ、東北のビリヤードプレイヤーに何かを届けられたら」と、取材や報道について強い意思で承諾をしてくれた。今後もプロジェクトの様子は続く限り、その成果などを伝えていく。

2人の歩く道のりは平坦ではないかもしれない。しかし、後の道へとつながる貴重な足跡であることは間違いないだろう。