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過去のニュース(2014年)

2014.12.26 その他

13歳の大冒険とセンチュリーブレイク!!

2014年プレーバック・スヌーカー

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今年最大のサプライズは「神箸渓心」そのもの


14年の国内スヌーカーは、実に話題に富んだ1年だった。日本スヌーカー連盟(JSA)が開催する試合はシーズンが6月〜7月から始まり翌年の5月までとなっているので、それらは13-14後半と14-15とシーズンをまたいだ話となることを先に明記しておく。

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JPBA水下広之が全日本選手権者に


まずは、5月に開催された『第13回全日本スヌーカー選手権』。これはシーズン最後の集大成となる大一番だ。ここで日本プロポケットビリヤード連盟(JPBA)所属ながらもスヌーカーを愛好してきた水下広之が「絶対、1度は獲りたかったタイトル」を奪取した。それも現在の日本スヌーカー界のエース・桑田哲也を倒して(ベスト8にて)。これだけでも話題性は十分だったが、そのファイナルの相手もまた「ニュース」。JPBAのプロ・神箸久貴の長男、13歳の中学校2年生・神箸渓心だ。

決勝では涙したものの、この中学生はメキメキと頭角を現し、迎えた新シーズンからいきなり結果を残す。7月の『第3回全日本6-redスヌーカー選手権』(※)に出場し、歴戦のキャリアを誇る栗本高雄や松村浩史といった強敵を退けて全日本選手権者の称号を手にした。※6-redスヌーカーとは、本来15個のレッドボールを6個に減らして戦うもの。カラーボールの数は変わらない。

そこには、何度も繰り返されることになったタイへの修行の旅の成果も大きい。タイは現在、前述の桑田が修行のために長期滞在をしているスヌーカー先進国。桑田夫妻にお世話になる形で最初は親同伴での旅だったが、途中からは単身で飛行機に乗り込むようにもなっていた。中学生にしてみれば、競技を超えた次元でメンタルタフネスを手に入れる好機だっと予想できる。

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ジャパンオープンを連覇、通算9勝の福田豊


忘れてはいけないのがこの男。ジャパニーズ・ドラゴンこと福田豊だ。前年の『第13回スヌーカージャパンオープン』でカムバック早々に優勝を果たした国内スヌーカーの第一人者は、衰えなど全く感じさせず、第14回大会も連覇を果たした。福田にとってはこの大会は抜群に相性の良い大会、これが9度目の制覇だった。

そして、14年のラストニュースは桑田と神箸親子がもたらす。舞台はインド・バンガロールで開催された『IBSF世界選手権』。桑田と神箸渓心は「MEN」、神箸久貴は「MASTERS」の部門に出場した。

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ポケットプレイヤー・神箸久貴はスヌーカーでも強かった


神箸久貴はスヌーカーでは初の世界挑戦となったが、ここで競技は違えどプロの実力、そして同会場で戦う息子に「父の背中」を見せ付け、予選グループを突破。決勝シングルでは1回戦(ベスト48)で敗れたものの、ポケットビリヤードのプロとして活動しつつの成績と考えれば、「さすがは神箸」といったところ。

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桑田はIBSFで日本スヌーカー界に光を点すセンチュリー!!


桑田は非常に厳しい組み分けとなった予選グループをわずかな差で突破とならなかったが、毎試合のように、時には1試合で3回ハーフセンチュリーを記録するなど、アベレージは高かった。そして世界の舞台で日本人初のセンチュリーブレイク(※)もやってのけたのだ。スヌーカーの母国、イングランド代表選手を相手に。そのセンチュリーブレイクは動画で見てもらいたい。※センチュリーブレイクは、1ターンにおける100点を超す連続得点。ハーフセンチュリーはその半分の50点

また、同じく予選グループで一緒になったアジア6-redチャンピオンにも勝利。これはIBSFの公式サイトにてニュースとして大きく報じられる。2年連続の予選突破とはならなかったが、修行の成果は確実に実を結んでいる様子。


結果こそ芳しくはなかったが、神箸渓心には数多くのメディアが注目し、何紙もの新聞が試合や練習の様子を伝えていた。スヌーカーにおいて珍しい日本人選手、それも最年少の13歳の少年が真剣に取り組む姿、親子での挑戦、そして行き届いた礼儀作法などが注目を集めていた模様。神箸渓心の予選最終ゲームには、カメラマンが一挙手一投足を追った。そのシャッター音とともに、13歳が世界で記念すべき1勝を遂げたゲームのラストフレームも見届けてほしい。近い将来、この映像が貴重なお宝映像となることを期して。