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2014.12.19 その他

見られてナンボの世界

視聴率獲得という大切な仕事

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今日のテーマは「プロと視聴率」


「プロは勝ってナンボ」。そんな言葉があります。今日は先の『全日本選手権』の話として、このテーマに触れてみたいと思います。引き分けのない競技の世界ですから、結果がすべてという点に異論はありません。ただし、プロとアマチュアではそもそもの目的が違います。先にこの点をおさらいしてみましょう。

アマチュアスポーツでは(トレーニングを通じて)健全な精神や肉体を備えること、日々の訓練の成果を競い合う晴れの舞台が試合(大会)だと位置付けることができます。一方、プロは興行と切り離すことが出来ず、またスターの存在は競技そのものの盛衰を左右するほどの影響を及ぼします。ゴルフ、野球、サッカー、大相撲、そして最近だとテニスが代表例となりますね。

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この写真でも見る人が見ればきっと誰だかわかる。こんな個性もプロには欲しいところ


つまりプロ選手には華やかさと強さの両方が求められることになります。両立して初めてスターとして認めらるのだと。煌びやかなコスチューム、リズミカルで楽しそうなプレー、スポーツマンシップに反する悪態。仮に戦績が伴わず話題先行であったとしても、「なんだアイツは?」という声が上がったとしても「誰それ?」よりはプロとして認められたと考えてよいでしょう。もちろんカッコよく勝つ。これが最高です。

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立ち見の観客を最も集めたであろう杉原vs柯戦


さらに対戦相手とシチュエーションも重要。例えば今年の選手権ベスト64の回転では、井上浩平プロがロドニー・モリス(アメリカ)を撃破。同様にベスト32では杉原匡プロが柯秉逸(台湾)を仕留めました。こうした海外のトップスターを日本勢が打ち破るシーンもまた、全日本選手権ならではの見どころであり、そこで日本人選手が客席と一体となった末に勝利を収めてくれることが醍醐味でもあります。北谷好宏プロがジェフリー・デルーナ(フィリピン)とのハードブレイカー対決で劇的な勝ち方を見せてくれたのも今年の目玉でした(2015年1月ビリヤードネットTV『CBNT』にて配信予定)。

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大井vs張のゲームは『CUE'S 3月号』付録DVDにて!


そして最強にして超視聴率男である大井直幸プロが、世界最有力の1人である張榮麟(台湾)を準々決勝という大事な場面で激闘の末に下したゲーム。これぞまさに今年のベスト・オブ・ベストバウトでしょう。このカードは次号の『CUE'S』に本人解説入りDVDが付録となる予定ですので、日本が誇るスーパースターの勇姿とスター本人が語る試合時の心境や戦略などをお楽しみいただければ幸いです。

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試合中のガッツポーズも生で観る楽しさを増す。熱さを見せるのも個性


繰り返しになりますが、プロ選手には視聴率が求められます。「見られてナンボ」です。もちろん全員が最強なんてことはあり得ないですし、誰もが爽やかスターの資質を備えている訳ではありません。だけど『その人にしかない個性』があることも事実です。その個性を磨き上げて、「一年に数回は決勝日に残る」くらいの実力を備えていただければ、あとは伝える側の仕事。私たちも個性がキラリと光る瞬間を逃さぬ様、カメラとレンズ、そして撮影技術を日々磨いております。

読者の皆さま。身近に応援するプロがおられましたら、「もっと目立って」とか「衣装、地味なんじゃない?」などと煽っていただければ幸いです。「いや、実力と実績をつけてから......」なんていう謙虚さはプロには無用。リップサービスだって大歓迎です。そもそも、愛した競技の世界で『プロ』の肩書きを背負うことは、既に『出る杭』になっているのですから。世界中からプロフェッショナルが集う全日本選手権。そこで魅せたプレイヤー、見られたゲーム、まだまだ紹介記事は続きます。

Akira TAKATA