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2014.11.06 プレイヤー

"大井最強説"の根拠を探してみました

西日本GP5戦3勝のキングを分析

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「一番強いのは大井直幸」とは今や、どれほどの人が口にしてきただろうか

トッププロ。明確な定義があるわけではないものの、戦績や風格などをふまえて用いられるこのフレーズ。この記事をお読みになられているアナタが考えるトッププロの条件は何でしょうか? 主観による相違は生じたとしても、おそらく先の『西日本グランプリ第5戦』で今シーズン公式戦4度目の優勝を果たした大井直幸プロの名前は、その1人として誰もが名前を挙げることでしょう。

そして業界内でよく聞くのが「大井最強説」です。国内の戦績アベレージがJPBAのランキングに反映されるので、ランキング順に強いと判断するのが順当な訳ですが、彼だけは例えランキングを落としていても、『最強』という評価が下される傾向にあります。これは群を抜く「プレーの速さ」や「笑顔率の高さ」が窺わせる余裕、そんな要素が大きく影響していると考えてよいでしょう。

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11月2日(日)、『西日本グランプリ第5戦』優勝で公式戦3連勝を達成した

そんな大井プロですが、実は先の西GP優勝の時点で、『今シーズンGP5戦中3勝』というシリーズ優勝率6割をマークすると同時に、『JPBA公式戦3大会連続優勝』という自身タイ記録(前回は2010年)も打ち立てて継続しています。優勝してもニュースにならないのがトッププロかもしれませんが、公式戦で3連続優勝をしても騒がれないのはレアケースです。

では大井最強説を数字で検証してみることにしましょう。まずプロデビューした2006年から昨年までの8年間で、年間ランキング1位が2回、2位が2回で、平均ランキングは3.5位と期間トップの数字。同じ時期に限定したランキング比較をすると、川端聡プロが4.0位、赤狩山幸男プロが5.5位、栗林達プロが5.88位、土方隼斗プロが6.25位と続き、ここに最強と呼ぶにふさわしいデータが出ています。(※)

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羅立文は大井に勝ち越す数少ないプレイヤーの1人だ

そして公式戦優勝回数は、9年目の今年を加えると、19回で1シーズン平均2.1勝となっています。直接対戦成績では、"トッププロ"の中に2人だけ大井プロに公式戦で勝ち越しているプレイヤーがいました。羅立文プロが4勝3敗(勝率0.571)、田中雅明プロが7勝6敗(勝率0.538)。この職人肌の技巧派たちとの対戦は今後も注目したいところですね。

そして大井プロの4大会連続優勝が懸かる次戦は、今年の最終戦となる『全日本選手権』。世界王者クラスが勢揃いする国内最大のトーナメントで記録挑戦というスケールの大きさも彼らしいところ。今年発症した腰痛が心配されるところですが、現在は「五輪選手なども診ているスポーツドクターのところに通って、改善のためのトレーニングをしている」状況とのこと。

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ケガとも戦っているが、そのプレーにはやはり期待は大きい

またJPBAがUSTREAMで試合を中継する際に、「大井が出ているか否かで視聴者数に大きな影響を及ぼしている」という情報もあります。「すべてが規格外なプレイヤーだけに、何かをやってくれるのでは?」。そう期待させる彼のスター性が多くの人を惹きつけていることは間違いありません。故障を抱えた今年でさえ、ファンの注目を集め、そして結果も残しているのですから。

注目の全日本選手権は11月20日(木)〜24日(月・祝)の期間に、恒例の『アルカイックホール・オクト』(兵庫県尼崎市)で開催。迎撃態勢を整えたチーム日本を援護射撃できるのは、観客席に座る1人1人の拍手と声援です。

※土方プロは海外戦挑戦のため国内戦欠場もあった2011年(15位)を含んだ数字。羅立文プロはシーズン途中でデビューした'09年のランキング(23位)を省くと、4年間('10〜'13年)の平均ランキングが2.25位となる。このあたりはあらためて検証課題に

Akira TAKATA