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過去のニュース(2013年)

2013.04.17 プレイヤー

頂点は常に一人

Player  Pick up  佐原弘子

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アマチュア界不動の女王。佐原は決定戦を観た誰もにそう思わせる強さを見せた


先日行われた『第5期女流球聖位決定戦』で米田理沙をセットカウント4-2で下して、見事に防衛を達成した、アマチュア界の女王・佐原弘子。これで同大会における歴代女王は久保田知子(現JPBA)の2連覇(の後にプロ転向)、米田理沙、そして佐原が2期にわたる女流球聖位に就き、来年は史上初となる3期連続を狙うこととなった。

佐原のインタビューは次号のCUE'S誌面でお伝えすることとして、今日は5年目を迎えた 同大会が示すことと、当代最強女性アマチュアと称して異論が出ないであろう彼女の強さと進化について記してみたいと思う。

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最強女子アマ決定戦。女流球聖戦は現在、多くの女子プレイヤーの目標となっている


まず女流球聖戦は、男子のそれと同様に、東西の各代表になるところまでが非常に厳しい道のりとなっている。下に5年間の東西代表選手を示すが、いずれも名実ともにトップアマとして認められるプレイヤーが並ぶ。

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また、東西代表による『挑戦者決定戦』は7ゲーム先取の3セット先取り、その勝者が前女流球聖に挑む『女流球聖位決定戦』は7ゲーム先取の4セット先取りとなることから、実力を反映するという点では、国内では男女の球聖戦と名人戦くらいしか、これに匹敵するものはないといえる。

今回の決定戦のインターネット中継で、川端聡プロや松田翼プロとともに解説を務めた大井直幸プロも「こんなフォーマットはプロにもないので、僕らもやってみたいですよ。楽しそうだから」と試合中にコメントを残している。実際、長い一日を戦う中では、精神的にも肉体的にも波は上下に振れ、それを自身でコントロールしながら最善を尽くし、その末のタイトルだけに重みも一際だろう。

先のデータも示しているように、今回の挑戦者である米田は紛れもなく最強挑戦者であり、昨年のリベンジを誓う気持ちも強かったに違いない。だがこれによって一層、佐原の強さが結果で示されたといえる。佐原応援団が用意した応援幕の『不動』『女王』『頂点は常に一人』というコピーも秀逸なら、その期待にきっちり結果で応えた佐原にはただただ脱帽というところ。

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心技体。その全てにおいて昨年にも増した強さを発揮した


一段と進化したテクニック、そしてムラのない安定感もさることながら、終了後に司会者によるインタビューが行われた際には、去年以上に『応援への感謝』が強くなっていることを窺わせていた。昨年の本誌のインタビューでは「(タイトル防衛への)過剰な意識はしないように」と語っていた佐原。実際、この一年間が彼女にとってどんなものだったのか?  その過ごし方が正解であったことは結果が示したとして、重圧や葛藤がどのように生じて消化していたのか、などを次号に向けてじっくり話を聞いてみたい。

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女流球聖戦は一人の戦いではない。佐原はこの1年で何を感じたのだろうか


なお女流球聖位決定戦ではUSTREAM配信の映像クオリティを高めるために、主催のJAPAがテーブルの周囲に3台の撮影用ライトを設置。その恩恵を被って、ウェブキューズや誌面に使用するプレイヤーの画像も普段以上に良い写りとなっている。もちろん美しい被写体の力に因るところが大きいのだが、ぜひ写真もご堪能いただければ幸いだ。

Akira TAKATA