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過去のニュース(2013年)

2013.03.07 プレイヤー

牽引する"永遠の若手筆頭"

ダイナマイト・エボリューション・川端聡

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今日43歳となった川端聡。幸先の良い'13年シーズンスタートとなった


先に広島市の『ファイブナイン』で行われた『西日本グランプリ第1戦』は、既報の通り川端聡が昨年に続いて開幕戦を飾った。これによって一昨年から大井直幸と2人でグランプリタイトルを独占する状況も3年目へと突入した(※昨年の最終戦は2人が海外遠征のため不参戦)。

ちょうど今日、43歳の誕生日を迎える川端。近年は登山を趣味にしてトレーニングを兼ねるなど精神的にも体力的にも充実してきており、それは絞り込まれた体型を見ても明らかだ。さらに今回の広島で彼が披露したのは、一プレイヤーとしてだけでなく業界を俯瞰する目を培い行動で牽引する姿だった。

会場内のメインテーブル脇に据えられた黄色い看板。大きく『HAWAII』と記されたそれは、アマチュア優勝者への副賞をPRするためのもので、来シーズンまでに該当者が出なかった場合には、アマチュア選手のみでトーナメントを行い、優勝者に贈られることが決まっている。つまり必ずハワイ旅行を獲得するアマチュア選手が誕生することとなる。

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ファイナルで対戦する川端と田中雅明。奥に見えるのが副賞PRの看板


これを協賛する『未来教育出版株式会社』は昨シーズンから川端のスポンサードを務める会社で、個人のスポンサーから大会サポートを取り付けたのも川端ということになる。さらにフルゲームのテーブルがあれば、自らマイクを握って拍手を促した。自身の試合がそうなった際には自発的なアクションを起こした。いずれも「ギャラリーを楽しませたい」という気持ちが十分に伝わるものだった。

さらに準決勝の前にはギャラリー参加型のワンラックチャレンジマッチをセッティングして、川端はプレーの解説やチャレンジャーのナイスショットを讃えるなど、試合の合間にも大会を盛り上げることに全力を尽くしていた。

実は川端のこうした動きは以前から徐々に活発になってきていたが、今回はいよいよそこにウェイトを大きく移した印象。プレイヤーとして先頭を走りつつ、プロとしてファンを喜ばせることを自らの使命として定めたようにも窺えた。

そして会場全体にその意気込みは伝播する格好となり、試合そのものも見て楽しいものへと変化を見せていた。思えば試合出場者の多くは川端より若い。先輩プロといえば斎藤健吾西日本ブロック長や大江明関西支部理事たちで、川端が動けばそれをサポートしてチャレンジマッチの勝利賞を即断したり、マイクを通してギャラリーを楽しませようと従来以上のパフォーマンスを披露した。

若手プロも中堅プロもチャレンジマッチを快く引き受け、タイマーを指名されればストップウォッチを片手に試合を見守るなど、プロ全体の意識の高まりも感じさせていた。開催店のオーナーも「ずっと前にプロツアーを開催したことがあるけど、だいぶ雰囲気が変わりましたね」と広島のビリヤードファンを楽しませた今回のツアー開催に手応えを感じていた様子だった。

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もちろんプレイヤーとしても進化を続ける。ブレイクもさらにパワーアップした印象


全体に明るいムードになってきた。関西特有の笑いの要素も西日本グランプリの味になるだろう。以前に「永遠の若手筆頭」と自らの立ち位置を語った川端が、キャリアと実績をひっさげて『若手筆頭の本気』を見せ始めたというのが率直な感想だ。ブレイクなどはさらにパワーアップを果たしていて、ダイナマイトレフティとしても進化を続ける。

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大会ベスト4。次は他のプレイヤー達が川端・大井を止める革新の主役となる番だ


西日本にはそれに呼応する役者(プロ選手)も揃っている。もちろん次戦以降では川端・大井のタイトル独占を止めるべくさらにヒートアップするに違いない。今大会の告知ポスターにも謳った『革新』の文字が光る。

Akira TAKATA