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過去のニュース(2012年)

2012.07.11 その他

「僕の基礎は14歳の1年間で培われた」

羅立文の14-1哲学

『全日本14-1』で優勝した羅立文。その夜、幸運にも14-1をテーマに本人と話をする機会に恵まれたのでここに記したい。14-1を扱った解説企画はなかなかないので、14-1好きな方の参考になれば幸いだ。羅も14-1愛好者の増加を願っている。

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全日本14-1、圧巻の100点ランで優勝した羅立文。

■14-1と羅立文
以前、CUE'S誌面でも語ってくれたことがあるが、羅は10代の頃から14-1漬けだった。羅の身体には14-1の技術と知識が染み込んでいる。

「14歳の時、師匠が僕に言ったんです。『強くなりたいなら、1年間14-1をやりなさい』って。それで毎日やっていました。初めは師匠とプレーする時に20点―100点っていうすごいハンデで戦っていたけど、1年間で75点―100点ぐらいで戦えるようになりました」

■14-1と他の種目
羅は14-1だけでなく、ナインボールテンボールでも優れた成績を残しているが、それはやはり14-1で基礎技術を培ったからこそである。

「『他の種目に役立つから14-1をやってみて』という言い方はあまり好きではないですけどね(笑)。14-1自体がものすごく面白いゲームだから。でも、14-1が強い人は他の種目でも強くなりやすいのは間違いないと思う」

■14-1での撞点
以前、羅は「14-1で使う撞点は、ほとんど毎回100円玉の直径に収まる」(=ミスを避けるため撞点は中心寄りにすべき)と語っていた。全日本14-1のファイナルで羅が見せた100点ラン。例えば100ショットの内、何%が「100玉内」だったのか。

「たぶん......95回。他の5回はたくさんスピンを掛ける必要がありました。5回中2回ははっきりと配置と撞点まで覚えています」

■他選手とのショット選択の違い
「エニーボール種目」(=どの的球から入れても良い)である14-1は、取り方・つなぎ方・ラックの割り方がプレイヤー毎に異なる。例えば、昨年羅は日本の名手、高橋邦彦に100点ランを出されているが、見ていて「自分とは違う」と思ったショット選択はあったのだろうか。

「ありました。特にコンビネーションショットの場面。高橋さんは攻撃力が高いのでコンビを選んで成功させていた場面があります。僕はコンビに自信がないので(笑)、別の取り方を考えていたと思います」

■14-1のハイラン
日本の試合は最大100点先取しかない。羅は何度も100点ランを出している(そこで試合が終わってしまう)。練習では313点を記録している。

「100点以上のランは、3時間以上練習していれば100%出ると思います。......いや、『ほぼ100%』にして下さい(笑)」

■ブレイクボールの作り方とブレイク
羅の14-1技術はその全てがハイレベルだが、他プレイヤーから賞賛されることが多いのは「ブレイクボールの作り方とブレイクの仕方を間違えない」こと。出たとこ勝負はしない。結果、ランが途切れにくい。

「ブレイクでは『手球がボール群の中に埋もれない』ような当て方や撞点やスピードを選んでいます。ラックのどこに手球を当てるかも狙っています」

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確認作業を怠らないからこそハイランが出る

■羅が好きな海外の14-1プレイヤー
海外の試合で直接見たり、映像で見た中で羅が好きなのは、O・オートマン(ドイツ)、M・シーゲル(アメリカ)という14-1巧者のベテラン達。さらにM・イモネン(フィンランド)、T・ホーマン(ドイツ)の名も挙がった。自分自身の映像もよく見るとのこと。

「シーゲルとオートマンは本当にすごい。ファンですね(笑)。やっぱり海外トップの14-1を見るのは、自分と違うショットも出てくるので勉強になる。例えばブレイクの仕方とか。ヨーロッパ人はかなりハードにラックやクラスターを割って、完全にバラけた形を取り切ろうとする人が多いですね。僕はそうしないけど、それも戦術です」

以上、駆け足になったが、羅立文と14−1について記してみた。『CBNT』で近日配信される羅の100点ランを楽しむ一助となれば嬉しい限りだ。〈T.KOBAYASHI(BD)〉