WEB CUE'Sトップ > 過去のニュース(2012年) > 壁として、楯として

過去のニュース(2012年)

2012.06.06 プレイヤー

壁として、楯として

プレイヤーピックアップ  川端聡

http://www.billiards-cues.jp/news/2012/player/pp_kawabata04.jpg

ジャパンオープン決勝。会場の期待を一身に背負って戦った川端

6月3日(日)、自身12年振りとなるジャパンオープン決勝に登場した川端聡。'00年の本大会で、アメリカのトッププロ、ジョニー・アーチャーを破って初優勝。これが川端にとって初のメジャータイトルで、以降、名実ともに奥村健(現JPBF)、利川章雲、高橋邦彦らと共に4強時代を形成し、常に日本ランキングのトップ10に位置してきた。

そのキャリアの中でのハイライトは、'06年にカタールのドーハを舞台に開催された『アジア競技大会』。'98年のバンコク大会で正式競技となったビリヤードは、プール(ポケットビリヤード)、キャロム、スヌーカーの3つのカテゴリーで戦われているが、川端は、プール部門の男子エイトボール・シングルスで優勝。これは日本のポケットビリヤード界にとって記念すべき、初めての金メダル獲得であった。

それから現在に至るまで、川端はJPBA(日本プロポケットビリヤード連盟)の看板プレイヤーとして国内・海外で戦い続け、日本のポケットビリヤード界を牽引してきた。

その流れの中で、川端の3年後にプロ入りし、常に上を目指し自ら環境を作りながら、昨年遂に世界ナインボール王者に登り詰めた赤狩山幸男、アマチュア時代に「球聖位」「名人位」の2大タイトルを獲得して後にプロ入りを果たした栗林達、「華の40期」と呼ばれる'06年プロ入り組である大井直幸、土方隼斗、さらには、強くなるため、世界を獲るために台湾からJPBA入りした羅立文といったプレイヤー達が続々と登場し、日本のプロの総体的なレベルはアップし、彼らの視線はしっかりと世界を捉えるようになった。川端はその中で、時に大きな壁となって後輩達の前に立ち塞がり、時に大きな楯となって後輩達の進む道を作ってきた。

気が付けばすでにベテランの域に達しつつある川端。近年はプレーばかりではなく、JPBAのこと、ここに所属するプロプレイヤーのことを含め、日本のビリヤード界の将来を考え、行動する事も増えた。だが、まだまだ川端に止まる事は許されない。

「川端さ〜ん、頑張ってーー!」
緊迫感ある決勝会場に響いたファンの声援に応えるためにも、自分自身のためにも、そして後に続く志高いプロ達のためにも。

ジャパンオープン決勝で川端が魅せてくれた激闘、トップレベルのスキルと闘志までの全てが、観戦していたギャラリー、世界を狙う者、日本のトップを追い求める者、その全てにとって大きな刺激となった。

プロの戦いは過酷で時に無情。だがそれも含めてビリヤードはたまらなく面白い。トッププロが大舞台で、大勢のギャラリーに見守られながら戦う姿は、どんな言葉よりも人の心に響く。


第25回ジャパンオープン・男子決勝の模様は、井上浩平プロと有田秀彰プロの解説で6月11日、ビリヤード Web TV『CBNT』で配信予定!