WEB CUE'Sトップ > 過去のニュース(2012年) > 「『僕の戦い方』が固まりつつある」

過去のニュース(2012年)

2012.05.21 プレイヤー

「『僕の戦い方』が固まりつつある」

プレイヤーピックアップ 羅立文

ppu_lo.jpg

飽くなき向上心を武器にさらなる進化を遂げようとしている

昨日(5月20日)の『東男子グランプリ第3戦』(以下、GPE-3)で、約1年9ヶ月ぶりの公式戦優勝を飾った羅立文(ロー・リーウェン)。'10年に国内6勝を挙げ、同年の『USオープン・テンボール選手権』では準優勝している。そんな羅の実績からすれば、1年9ヶ月は長い空白期間だ。

昨年は国内で準優勝が4つ。悪い結果ではない。羅は「今まで以上に強くならなければ海外では勝てない」と考え、昨年はWPAランキング対象試合のほとんどに遠征し、海外トップ勢達を徹底的に研究した。つまりは、さらなる成長の過渡期にいた。

「海外で採り入れるべきものがたくさん見付かりました。でも、僕の元々の性格やプレースタイルに合わないものもあった。それに、採り入れてもすぐにはものにならないでしょう。だから、昨年は中途半端な状態で試合に出続けていました」

「'11年は苦しかった」と羅は認めた。そのままでも国内で勝ち続けられたはずの男が、世界タイトルを獲るために自分を「リストラ」していたのだ。

そして今年に入って多くの映像や書物にあたり、自分の内面を見つめ直した。「今ははっきりとわかります。自分の持ち味は何で、どうプレーすべきかということが。もう『自分の基盤』は簡単には替えないです」

今はまだ羅のスタイルが完全に出来上がった訳ではないが、今回の優勝が大きな手応えをもたらしたことは疑いない。では、具体的に何が変わったのか。あの、程良く脱力したストロークと優しいタッチ感、そして組み立ての巧さに変化はない。変わったのは、攻め:守りの比率とリズムだ。以前より、バンクやコンビに積極的になった印象で、判断も早い。「今までバンクやコンビは敬遠することが多かった。でも、今は練習しているし、選ぶ局面が増えている。世界のトッププロ達を見ていても、オフェンス力が強い人が勝ちやすいですからね、テンボールやナインボールは。それに以前の僕はセーフティが多くて、それが自分を苦しめたというゲームもある」

羅は、自ら言うように「慎重で丁寧で我慢強い」プレイヤーだ。だが、度が過ぎてしまったことがあったのだ。「丁寧はOK、でも、丁寧にしすぎるのはNG、ですね(笑)。もっと自分のことを信じて攻めようと思ったんです。そうしないとなかなか上手くならないし、なかなか撞けなくなるからね。自分を信じていると、リズムは早くなるんです」

そこまで洗い出して、変えようとしていたのかと驚く。羅の向上心の強さは来日当初から全く変わらない。昨日のGP優勝は、羅立文の新たな章のプロローグだ。この男の復活で『ジャパンオープン』の楽しみがまた一つ増えた。[T.KOBAYASHI (BD)]