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テンボール

テンボールとは

的球が1個増えて、ラックの形状が菱形から三角形に変わっただけで、相手より先に10番ボールをポケットすれば勝ちとなる部分はナインボールと同じです。しかし、テーブル上に的球が1個増えただけで、最小番号の的球から順番に当ててポケットしていくという制約を守りながら、最後の10番ボールまでミスせずに落とし続ける『ブレイクランアウト』(マスワリ)の難易度はアップします。その上テンボールでは、自分がシュートする的球と、入れるポケットを指定する「コールショット」ルールが採用されているため、さらに難易度が上がっていると言えるでしょう。真のビリヤード力が試されるということで、ハイレベルなプレイヤーに好まれる傾向にあり、現在は国内・海外に関わらず、テンボールを種目としたトーナメントの数が多くなってきています。

テンボールの基本ルール

■使用するボール

1番ボール~10番ボールまでの的球10個と手球。

■ラックの組み方

ブレイクショットをする側から見たラックの頂点に1番ボール、その後ろ3列目の中央に10番ボールを配置します。その他のボールは任意の位置で構いません。(図1。※トーナメントによって、2番ボールと3番ボールの位置が5列目の両サイドの任意の位置に決められている場合もあります)

■ゲームの目的

相手より先に10番ボールをポケットする。

■基本ルールのポイント

ブレイクショット以外の全てのショットで、自分がシュートする的球と、入れるポケットを指定する「コールショット」ルールが適用されます。また、プレーの権利を持っているプレイヤーは、ショットの際、最初に必ずテーブル上に残っている最小番号の的球に手球を当てなければなりません。

テンボールの流れと勝敗

Step1:対戦形式を決める

10番ボールをポケットしたプレイヤーが1ポイント獲得して1ラック(1ゲーム)が終了となるため、対戦する際には、あらかじめ5ラック(ゲーム)先取や7ラック先取などと対戦形式を決めます。その後バンキングで先攻・後攻を決めてゲームスタートです(図2)。

もし相手と実力差があるなら、「相手5-3自分」と獲得ゲーム数でハンデを付けたり、「相手は10番ボール、自分は8番以上のボールを入れたら1ポイント」などと、ボールハンデを付けてプレーする方法もあります。

Step2:ブレイクショットからゲームの終了まで

先攻のプレイヤーがキッチン内の任意の位置からブレイクショットを行ってゲーム開始(図3・4)。


この時にファウルすることなく、10個の的球の内のいずれかのボールがポケットされればそのままプレーを続行し(10番ボールがポケットされた場合については「Original Rule1」参照)、ファウル、もしくはどの的球もポケットされなかった場合にターンは交代します。そして、ショットの権利を持つプレイヤーは必ずコールショットルールに則ってプレーを続けなければなりません(図5)。

この際、もしシュートできる的球がなく、その意志もない場合は、「セーフティ」(図6)とコールしてからショットして、その後に相手とターン交代となります。

このようにプレイヤーはシュートかセーフティかを常に明確に示しながらプレーを続け、最終的に10番ボールを先に入れたプレイヤーが1ポイント獲得となります。また、コールショットであれば、テーブル上に他の的球が残っている状態でも、10番ボールをポケットすれば1ポイント獲得となります。

楽しく遊ぶためのルールのポイント

Foul1:ファウルの種類

ポケットビリヤード共通のファウル(※)の他、ナインボールでは、ショットされた手球が、最初に最小番号の的球に当たらなかった場合(ノーヒット)、ショットされた手球が最小番号の的球に当たった後、手球、的球のどちらもがクッションに届かなかった場合(ノークッション)がファウルとなります(図7)。

さらにテンボールでは、同じプレイヤーが自分のターンで3回連続ファウルを犯した場合、その時点で1ラックを失うペナルティが適用されます(スリーファウル)。

Foul2:ブレイクショット時のファウル

テンボールのブレイクショットで的球がポケットインしなかった場合、手球が1番ボールに当たった後、手球も含めて4個以上の的球がクッションに当たらなければブレイクファウルとなり、相手プレイヤーは以下の3つの選択権が与えられます。

  1. もう一度ラックを組み直して選択権を持つプレイヤーが再度ブレイクショットする
  2. もう一度ラックを組み直してファウルを犯したプレイヤーに再度ブレイクショットさせる
  3. 選択権を持つプレイヤーが現状のままプレーを続ける

Foul3:ファウルした場合

テンボールでファウルを犯した場合、相手プレイヤーは手球をテーブル上の任意の場所に置いて、そこからプレーを再開できます。これを日本では「フリーボール」「手球フリー」などと呼びます(図8)。

Foul4:ファウル後のボールの処理

ファウルとなるショットでポケットされた的球、また球場外となった的球はテーブル上には戻さずに、ポケットされたものとしてプレーを再開します。ただし10番ボールだけは、フットスポット(図8)に戻します。

Original Rule1:ブレイクショットで10番ボールが入った場合

テンボールでは、ブレイクショットでポケットされた10番ボールはフットスポット(図8)に戻されます(※トーナメントにより、そのまま1ポイント獲得〈ブレイクエース〉となる場合もあり)。ブレイクショット時に10番ボールのみがポケットした場合は、的球のポケットインとして認められ、10番ボールをフットスポットに戻した後に、ブレイクショットしたプレイヤーがそのままプレーを続行することができます。

Original Rule2:プッシュアウト

例えば、ブレイクショット直後にショットの権利を持つプレイヤーにとってあまり有利とは思えない配置の時、テンボールでは一度だけ「プッシュアウト」を選ぶ事ができます。これはノークッションやノーヒットのファウルを取られることなく、手球を任意の位置にショットする事ができるルールです(図9)。

プッシュアウトされた側のプレイヤーは、そのままの手球位置で自分がショットしてプレーを再開するか、パスをして相手にショットさせるかを選択することができます。

Original Rule3:オプション

もう一つナインボールと異なるルールに「オプション」があります。コールショットで進められるテンボールでは、ファウルのない単純なシュートミスでターンを交代する状況以外にも、以下のようなシチュエーションでプレイヤー交代が起こることがあります。

①コールした的球とは別の的球がポケットした(図10)。

②コールした的球が別のポケットに入った(図11)。

③セーフティをコールしてショットしたが、何らかの的球がポケットした。

この時、基本的にはナインボールと同じように、ショットミスでターン交代となりますが、ショットの権利を得たプレイヤーは、残されたテーブル上の状況を見て、そのままの状態から自分がプレーを再開するか(図11)、ショットをパスして相手プレイヤーにターンを譲るか(図12)を選択する事ができます。

このオプションは、プッシュアウトと同様に、偶然のボールの動きによって生じる1ラック毎の「運」の要素を、できる限りなくし、よりプレーの技術でゲームを進めていくために考えられたものだと言えるでしょう。

※ポケットビリヤード共通のファウル

  1. スクラッチ
    ショットした手球が、直接または何らかの的球に当たった後にポケットに落ちてしまうファウル。ゲームの種類によって、その後の処理は変わってきます。
  2. 球触り
    ショットの際に手球に触れて良いのはキュー先に付いている革製のタップだけ。それ以外の部分が触れるとファウルになります。また的球に触れた場合もファウルとなります。
  3. 球場外
    ショットされた手球がテーブル外に飛び出した場合、ショットによって的球がテーブル外に飛び出した場合にファウルとなります。
  4. 2度撞き
    ワンショットの間にタップが手球に触れて良いのは一度だけです。一旦ショットされた手球を2度以上撞くとファウルになります。
  5. 両足が床から離れる
    ショットの瞬間は、必ずどちらか片方の足が、つま先だけでも地面に触れていなければなりません。例えばテーブルの上に腰掛け、両足が宙に浮いた状態でショットするとファウルとなります。
  6. 目印を付ける
    ショットをする時に、自分が狙いたい場所を特定するために、何らかの目印を置くとファウルとなります。

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