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プレイヤーの意志を手球に伝える!

2024.02.01

タップの誕生と進化の歴史①

●タップの誕生

キューの最先端に付いている小さなキューパーツが「タップ」(tip)です。19世紀の初めにフランスのフランソワ・マンゴーによって作られたと言われている革製のパーツは、ビリヤードを大きく変える大発明でした。その10年ほど前までにチョークはすでに使われるようになっていましたが、キュー自体は先端部も木のままだったため、現代のように効果的に手球にスピンを与えたり、手球自体に正確にパワーを伝達することが十分にできなかったのです。

しかし、適度な弾力を持ち、しっかりと表面の摩擦係数が少ない手球を捉えることができるタップの登場と、そこにチョークを塗ることの相乗効果で、引き球や押し球、横を撞くヒネリなど、現代ビリヤードの基本となるショットがより思い通りにできるようになったのです。

●タップを変えたメイドインジャパン

タップの誕生以降、そのメインとなる素材は20世紀に入ってもしばらくは牛革でした。これは一枚の革をプレスしてタップにしていたため、素材に関してもある程度の厚み必要だったことと、良質な牛革の供給量が十分にあったためでした。

しかし時は流れ、農耕牛を含めて厚い革の取れる牛が減少し、良質な牛革の供給量が世界的に減少していきます。そんな時に登場し、タップに大変革をもたらしたのが、今もメインとなっている「積層タップ」でした。

初代moori

その開発者は、当時『日本プロビリヤード連盟』(JPBF)のプロプレイヤーでもあった毛利秀夫氏。一枚でタップが作れるほどの牛革が手に入れにくくなったことで、薄い革を重ねてタップを作ることを世界で初めて考案し、地道な研究を重ねた末に遂に、上質な豚革と特別な接着剤を使った『Moori Tip』を完成させたのでした。

開発当初は少量生産だったMooriは、1992年に量産体制が整い幅広く販売を開始。そこから徐々に海外にも広まっていき、その性能と一枚革のタップにはなかった圧倒的な製品の安定性から日本だけでなく世界のビリヤード界でも『Moori』がタップの代名詞となるほどの人気を集めたのでした。

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